綱維問訊(こういもんじん)〜西大寺光明真言土砂加持大法会2022 - 2022.10.10 Mon
真言律宗の最大寺院、西大寺では10月に最大の法会である光明真言土砂加持大法会が行われる。昨年仕事おわりの遅がけでいったのだが、肝心な部分を見逃していることにあとで気づく。で、今年こそはと気合いをいれて出かける。
ちなみに見逃したのは綱維問訊(こういもんじん)と呼ばれるスーパースロー五体投地なのである。なにせ立位から平伏、平伏から立位を15分もかけてするものなので、他では見られないはず。
西大寺を律宗として再興した(儲茶の)叡尊、その弟子忍性、などが有名。
一門としては般若寺、元興寺、白毫寺、岩船寺、海龍王寺などたくさんあって、この法要のためには一門の僧侶すべてが、あらゆるものをなげうって参勤すべきもの、という重い法会である。
かつては8日間行われたそうだが戦後は3日間、しかもびっちり24時間!僧侶が2時間交替で必ずご本尊の前の席で法要を行っているのだ。
ハブ駅のある西大寺の駅前(例の事件のあった場所のすぐそこ)という立地なのに、広い境内の中はほぼ別天地。
境内には毎年デザインが変わる光のアート、、、というかこれミラーボールなのでキラキラ(^_^;お寺さんにミラーボールというのもなんか面白いわ。
堂内はキラキラの密教的荘厳(好き)。若松、彼岸花、ススキや鶏頭など、昔から決められている荘厳、ご本尊の前には「土砂」。この土砂は文字通り砂なのであるが、秘密の場所で採取され、3日間唱えられる光明真言をびっちり吸い込んで聖なるパワーをもつようになるといわれている。
参拝客は少ない。30人前後といったところか。それだけに参拝している人はけっこうコアな趣味人か宗教者か、ご近所さんか、そんな雰囲気もまた好きである。
真言宗で最大最強の真言といわれる光明真言。
「ヲンアボキャベイロシャマウナカボダラマニハンドマジンバララハリタヤウン」
(大日如来をほめたたえ、その光明を放ち給え、、、)
この一文字一文字を約30人のお坊さんが、10秒くらいかけて唱える。くりかえしくりかえし。他の経文はなし、ひたすら光明真言を唱える。(これは今年はじめて知った!)
そして鉦が鳴らされると、他の鬱金色の袈裟に衣のお坊さんと違って、一人薄黄緑色の衣、白い袈裟のお坊さん=綱維(法会の進行を司る)が登場、いよいよ「綱維問訊」が始まる。(中日10月4日のみ)
(パンフより)
一臈とよばれる僧侶の前で、ゆっくり、実にゆっくり体をおりたたんでいく。あまりにゆっくりなので、ぱっと見に静止しているようにしかみえない。見守っているといつのまにか座り、いつのまにか平伏し、、そして立位にもどり、、そんな感じである。これはどれだけ筋力がいるのか想像するとかなりしんどいぞ。若い僧侶でないとできないと思う。多分15分かかっていると思う。これを人は「提灯だたみ」と呼ぶそうだ。
能「道成寺」の乱拍子(数10センチ四方をすごく時間をかけて進む)を思い出すなあ、、と思っていたら昨年の記事にも同じ事書いてた(^_^;
提灯だたみを終えたばかりの綱維さんが、何事もなかったようにすっと立ち上がって須弥壇の端を中啓(扇)でぽんとたたくと次は30人総出の真言行道である。(ちなみに叩くのは無事綱維問訊が終わったという合図らしい)
先ほどの真言の一文字を10秒掛けて唱えては数歩進み、また唱えては進み、、須弥壇の周りを何周かされるのである。、、じつにまどろっこしい、、、いや(^_^;実にスローな行道で、二月堂修二会の走りの行の対極にあるなと思う。
行道がおわるとご本尊の前の座におひとりだけ残る。2時間交替のおつとめで、この交替の時も、この座は明け渡さない、という意味で次の交替の僧が座るまで、手だけ座につけているのだとか。
去年はなんも知らんとみていたなあ、、今年は得ることがたくさんあった。来年は仕事日で無理やろうけど、もう一度拝見したいあのスーパースローな綱維問訊!
最後に今年だけご本尊の前に「故安倍晋三元首相」の大きな卒塔婆がたてられていた。合掌
- 関連記事
-
- 春日若宮御造替お砂持ち〜鹿の角切り
- 綱維問訊(こういもんじん)〜西大寺光明真言土砂加持大法会2022
- 飛鳥光の回廊2022
● COMMENT ●
トラックバック
http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/1874-fc597646
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)