fc2ブログ
topimage

2023-12

綱維問訊(こういもんじん)〜西大寺光明真言土砂加持大法会2022 - 2022.10.10 Mon

真言律宗の最大寺院、西大寺では10月に最大の法会である光明真言土砂加持大法会が行われる。昨年仕事おわりの遅がけでいったのだが、肝心な部分を見逃していることにあとで気づく。で、今年こそはと気合いをいれて出かける。


IMG_6540.jpeg



ちなみに見逃したのは綱維問訊(こういもんじん)と呼ばれるスーパースロー五体投地なのである。なにせ立位から平伏、平伏から立位を15分もかけてするものなので、他では見られないはず。


IMG_6565.jpeg


西大寺を律宗として再興した(儲茶の)叡尊、その弟子忍性、などが有名。
一門としては般若寺、元興寺、白毫寺、岩船寺、海龍王寺などたくさんあって、この法要のためには一門の僧侶すべてが、あらゆるものをなげうって参勤すべきもの、という重い法会である。


IMG_6556.jpeg


かつては8日間行われたそうだが戦後は3日間、しかもびっちり24時間!僧侶が2時間交替で必ずご本尊の前の席で法要を行っているのだ。


IMG_6564.jpeg


ハブ駅のある西大寺の駅前(例の事件のあった場所のすぐそこ)という立地なのに、広い境内の中はほぼ別天地。


IMG_6558.jpeg


境内には毎年デザインが変わる光のアート、、、というかこれミラーボールなのでキラキラ(^_^;お寺さんにミラーボールというのもなんか面白いわ。


IMG_6538.jpeg



堂内はキラキラの密教的荘厳(好き)。若松、彼岸花、ススキや鶏頭など、昔から決められている荘厳、ご本尊の前には「土砂」。この土砂は文字通り砂なのであるが、秘密の場所で採取され、3日間唱えられる光明真言をびっちり吸い込んで聖なるパワーをもつようになるといわれている。

参拝客は少ない。30人前後といったところか。それだけに参拝している人はけっこうコアな趣味人か宗教者か、ご近所さんか、そんな雰囲気もまた好きである。



IMG_6567.jpeg


真言宗で最大最強の真言といわれる光明真言。

「ヲンアボキャベイロシャマウナカボダラマニハンドマジンバララハリタヤウン」

(大日如来をほめたたえ、その光明を放ち給え、、、)

この一文字一文字を約30人のお坊さんが、10秒くらいかけて唱える。くりかえしくりかえし。他の経文はなし、ひたすら光明真言を唱える。(これは今年はじめて知った!)


IMG_6552.jpeg


そして鉦が鳴らされると、他の鬱金色の袈裟に衣のお坊さんと違って、一人薄黄緑色の衣、白い袈裟のお坊さん=綱維(法会の進行を司る)が登場、いよいよ「綱維問訊」が始まる。(中日10月4日のみ)


IMG_2762.jpeg
(パンフより)


一臈とよばれる僧侶の前で、ゆっくり、実にゆっくり体をおりたたんでいく。あまりにゆっくりなので、ぱっと見に静止しているようにしかみえない。見守っているといつのまにか座り、いつのまにか平伏し、、そして立位にもどり、、そんな感じである。これはどれだけ筋力がいるのか想像するとかなりしんどいぞ。若い僧侶でないとできないと思う。多分15分かかっていると思う。これを人は「提灯だたみ」と呼ぶそうだ。

能「道成寺」の乱拍子(数10センチ四方をすごく時間をかけて進む)を思い出すなあ、、と思っていたら昨年の記事にも同じ事書いてた(^_^; 


IMG_6561_20221005231649702.jpeg


提灯だたみを終えたばかりの綱維さんが、何事もなかったようにすっと立ち上がって須弥壇の端を中啓(扇)でぽんとたたくと次は30人総出の真言行道である。(ちなみに叩くのは無事綱維問訊が終わったという合図らしい)


IMG_6562.jpeg


先ほどの真言の一文字を10秒掛けて唱えては数歩進み、また唱えては進み、、須弥壇の周りを何周かされるのである。、、じつにまどろっこしい、、、いや(^_^;実にスローな行道で、二月堂修二会の走りの行の対極にあるなと思う。

行道がおわるとご本尊の前の座におひとりだけ残る。2時間交替のおつとめで、この交替の時も、この座は明け渡さない、という意味で次の交替の僧が座るまで、手だけ座につけているのだとか。


IMG_6563.jpeg


去年はなんも知らんとみていたなあ、、今年は得ることがたくさんあった。来年は仕事日で無理やろうけど、もう一度拝見したいあのスーパースローな綱維問訊!

最後に今年だけご本尊の前に「故安倍晋三元首相」の大きな卒塔婆がたてられていた。合掌




関連記事

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/1874-fc597646
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

板谷波山の陶芸〜生誕150年記念〜泉屋博古館 «  | BLOG TOP |  » Coffee Base NASHINOKI〜梨木神社

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (393)
茶事(亭主) (84)
茶事(客) (174)
茶会(亭主) (18)
煎茶 (10)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (109)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (32)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (143)
奈良散歩 (132)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (11)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (14)
中国茶 (49)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (2)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (5)
信州旅行2023 (2)
京都モダン建築 (3)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR