速水滌源居初釜2023 - 2023.01.17 Tue

桜の平野神社近く、速水流滌源居の初釜に。
夜咄、朝茶事、夜桜、口切り、、、と一通りお邪魔したが初釜は初めてだった。
(この季節ならではの敷松葉が美しい)
待合の流祖・速水宗達の富士山画讃を拝見、お正客様はなんと平野神社の禰宜さんであった。速水家は現在ここの氏子であり、献茶式もされる御縁の深い神社。
広間にて炭手前
軸は関白忠良(一条家・昭憲皇太后の祖父)「春日詠山水告春」雪が溶けて樋をぬらし小川には白波が立つ、、といった和歌。関白忠良は宗達に「滌源」の号を与えた人なので深い関わりがある方。
炉縁は平安神宮古材の朱塗りで初釜らしい華やかさ、釜は芦屋で鶴・松・鐶付の亀とおめでたづくし。速水流は光格天皇、その弟の聖護院宮と深い関わりがあるので、火箸が聖護院の瓦釘。
(みんなに大人気、まつげみたいな敷松葉 罠みたいといわれればなるほど)
今回の初釜のテーマは卯年だけに「金烏玉兎」
香合がホタテ貝よりもかなり平べったい月日貝で、これは表が赤(うすい桃色)、裏が白という変わり種の貝なのだが、これの表、赤い方に「烏」、ひっくり返して裏を見ると「兎」と。
最初???だったのだが、ああ、そうか金烏玉兎か〜と遅まきながら気づく。
さらに替え茶器として棚にのせはったのが月と遠山の蒔絵の黒棗。
実はこれは速水家のお道具としては代表的なもので、朱塗りに黒い烏のもう一つの棗と対になっているうちの一方。吉妃棗(きっぴなつめ)といって、流祖好みのものだそうだ。
まずは薄茶席、三畳の変形小間+枡床の茶室<清冲軒>で、先代お家元のお点前にて。ここの小間は隅炉でなんだか狭くて落ち着くので好き。花見茶事ではここに釣釜が掛かると素敵な風情になる。
こちらの席香合は楽入さんの月日貝イメージを楽焼きで表したもの。軸は流祖(だったかな?)雪の朝を歌った歌。竹の花入れにすがすがしい水仙がいれられていたが、これは平野神社のお庭からとのこと。
水指は妙全さんの三友水指。寒中三友といえば松竹梅だが、松の絵に竹の耳、あと梅は、、、?おそらく共蓋に梅が使われていたのであろうが、失われたので、塗り蓋の裏に梅紋を先代宗匠が描かれたそうだ。なんとも茶目っ気のある洒脱な方なのだ。
茶杓は「兎の耳」 歴代宗匠のどなたか。確かに兎の耳のように、節から上が長い。
棗は「緑荷棗」七代宗哲 銀蒔絵の大亀の上に金蒔絵の小亀がよじ登っている意匠。緑荷とは水草、特に蓮を意味するのだそうで、なんとも速水流のお道具の名前は難しい。
主茶碗は志野であったがあとは先代、当代、奥様、がそれぞれ絵付けされたお茶碗で、このat home 感がすてき。我々のあとの席では小学生のお嬢さまが振り袖を着て点てたそうで、見たかったな〜。
懐石の八寸でお家元がそれぞれの席で一献さしつさされるしながら、速水家の茶の哲学である「礼法」について熱く語られる。それにしても先代がお酒好きというのは伝え聞いているが、さすがDNAを受け継いでおられてやっぱり当代もお好きなようで(^_^;
ここで広間にかかっていた宗達の思想を二代が書いた額に「燕居茶味甘(くつろいで過ごし茶が美味い)」の文字を見て、ご当代の宗名・宗燕の由来を初めて知った。
こちらで川端道喜の、食べるのが爆むつかしい、とろとろの味噌餡花びら餅をいただく。懐紙でクレープのようにつつんでかぶりつくのが正しい食べ方(*^_^*)
広間にて濃茶
床に毎年届けられるという長い根付きの青竹を花入れに、西王母と梅一枝。
主茶碗がのんこう「さざれ石」 やや大ぶりで特徴的な薄造り、初釜にはかならずこの茶碗なのだそうだ。
水指は仁阿弥道八、茶入は名古屋城お庭焼の御深井焼 「雪はれて」
茶杓が煤竹元節、紹鴎の筒だけがご当家に伝わっていて、それに合わせて三代宗匠が削られた、というめずらしい経歴を持つ。銘を「山がらす(柄に彫ってある)」、薄茶の「兎の耳」と合わせてここもやっぱり<金烏玉兎>、うまいっ!と思わず心の中で叫んだ。
ちなみに山がらすとは、山上宗二が利休に宛てた?「大井川 くいせにのぼる 山がらす 鵜のまねすとも 魚はとらじな」から。(鵜のまねする烏というのは古くからある言い回し、鵜のマネしたって魚はとれない)
ご家族総出で近しく初釜をされて、自流ではまずありえんな、と思いつつ感謝である。福引きでは珍しく香合当てた!
お土産に平野神社の桜の塩漬け。
なので帰りに平野神社にもお参り。
今年は桜祭り、3年ぶりに開催されるとか、屋台や宴会台はでないが、その方がゆっくり桜を楽しめるというもの。
ここの桜は種類が多くてもう花をさかせているものもあった。今年の桜はどうかな。
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