妙心寺・壽聖院で襖絵に10年ぶりの再会〜京の冬の旅2023 - 2023.01.21 Sat

行く先々が迷路のようになってひとつの村を形成しているような広大な妙心寺。洛中からややはなれているので、いつきても静謐な雰囲気を楽しめるので好き。
今期京の冬の旅で公開中の壽聖院、石田三成一族の菩提所という認識でお参りしたが、この襖絵、、、どこかで見たぞ、あ!雀!これは覚えている、若手女流画家村林由貴さんの雀だ。数羽を描くのに、おびただしい数の雀一匹一匹に名前をつけてスケッチしたという、、、
調べてみたら、それは10年前。
退蔵院方丈襖絵プロジェクト!
当時、いたんだ退蔵院の襖絵を刷新すべく、副住職がたちあげられたプロジェクトで、若手で無名だけれど宗教文化に理解があり、さらに京都にゆかりのある芸術家の手で新たに水墨画を描かせよう、絵師のみでなく、当時と同じ手法を現代によみがえらせよう、越前和紙、墨、筆などいままさに絶滅危惧種的な職人産業を支援しよう、という壮大な計画だったのだ。
そして選ばれたのが京都造形大卒の当時20代の村林由貴さん。
退蔵院に住み込んで掃除などの作務や坐禅の修行を積み、茶道などの経験も重ねながら墨絵の技術を体得し(それまで墨絵は描かれたことがなかったとか)退蔵院の前にここ壽聖院(退蔵院副住職の弟さんがご住職)をアトリエにしたことから、こちらでまず襖絵の制作にとりかかられた。
その完成記念の一般公開が2013年8月、1週間だけだったのですねえ。覚えているわ。まだかわいらしいお嬢さんで、どこにこんなダイナミックな絵を描かれるエネルギーがあるのかびっくりしたこと。そして墨絵にかける熱き思いなどなど。
入り口近くの襖の懐かしい雀たち!
墨絵と思えない色彩を感じつつ、現代の絵師らしく躍動感あり。
秋のみのりを描いた野菜や果物、その間に見え隠れする小さな虫や鳥にまで命が宿る。
なんといっても襖4枚に描かれた鯉と波<風浪双鯉図>が圧巻。
打って変わって厳しい直線の厳冬、雪をかぶった荒々しい松樹。
この後退蔵院の襖絵にかかられて、昨年5月に無事完成されたよし、この正月あけまでご本人の解説付きで公開されていたのに気づかなかった!!残念。退蔵院ならきっとまた襖絵は拝見する機会はあると思うので、その時には是非。
当時20代だった村林さんも脂ののった30代になられ、中堅どころとしてますますご活躍されることをお祈りする。
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