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2017-07

東京で(私的)茶碗祭・その1〜井戸茶碗・根津美術館 - 2013.11.26 Tue

東京の三井記念・五島・根津で三館合同キャンペーンの「茶陶三昧」なのである。東京へ日帰り、まる一日かけて三館を廻って個人的に頭の中は茶碗祭なのである。

そのしょっぱなは、やっぱりこれでしょう。

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柳宗悦の著書「茶と美」におさめられた「喜左右衛門井戸を見る」を読んで、かつその表紙を飾る喜左右衛門井戸にいつかお目にかかりたいものだと思っていたから、思いはひとしお。


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いや、ギャラリーのはしからはしまで、大井戸・小井戸・青井戸、そろいもそろった74碗の井戸には驚く。ひとつあっただけでヨダレをたらしているのに、これはいったいどういうリアクションをすればいいのか。


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でもやはり一番に見たいのは国宝でもある喜左右衛門さん。
思ったより大きい。そしてたしかにかしいでる。かしぎ具合がなんともいえず心をそそる。竹節高台へ向けてぐっとしぼるように削られているカーブがこれまたたまらん、、、。裏の兜巾がみたい。梅花皮が、、梅花皮が、、、ハァハァ(*≧ω≦)♪、、、いかん、すっかりあやしいおっさんみたいになっとる。


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維新までは松平様の許可なくして見ることがかなわなかった茶碗である。所持者には腫れ物が祟るという言い伝えがあり、最後の所持者であった松平不昧が腫れ物で亡くなり、その嗣子が同じく腫れ物を病むにいたり、奥方が菩提寺の大徳寺孤篷庵に寄贈した、という逸話付きである。


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柳は河井寛次郎とつれもって孤篷庵にこの茶碗を昭和6年春に見にいっている。茶碗は五重の箱、綿入れの紫の布からとりだされ、実際に手にとってみたという。

「いい茶碗だーだが何という平凡きわまる物だ。」


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それは朝鮮の飯茶碗である。それも貧乏人が普段ざらに使ふ茶碗である。
全くの下手物である。典型的な雑器である。一番値の安い並物である。
作る物は卑下して作ったのである。個性等ほこるどころではない。
使ふ者は無造作に作ったのである。
・・・・・・・・・・・
土は裏手の山から掘り出したのである。釉は炉からとってきた灰である。轆轤は心がゆるんでいるのである。
形に面倒は要らないのである。数がたくさんできた品である。仕事は早いのである。削りは荒っぽいのである。
手はよごれたままである。釉をたらして高台にたらしてしまったのである。
室は暗いのである。職人は文盲なのである。窯はみすぼらしいのである。焼き方は乱暴なのである。
引っ付きがあるのである。だがそんなことにこだわってはいないのである。

またいられないのである。安物である。誰だってそれに夢なんか見ていないのである。
・・・・・・・・・・・・
これほどざらにある当たり前な品物はない。これがまがいもない天下の名器「大名物」の正体である。



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あくまで柳の想像である。
飯茶碗である、という説にも異論があって祭器だという説もあるが、どちらにしても貧しい人たちの粗末なうつわであったことは間違いないと思う。
こういうゆがみを美しいと思って韓国の陶工がわざとそうつくった、という説を唱える人もいるが、それは多分違うと思う。柳も云うようにこのゆがんだ造型は巧まずしてできたからこそ、作為がないからこそ美しく、それに美をみいだしたのはやはり日本の茶人達であったと思う。


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細かい貫入〜梅花皮につながる景色、枇杷色の色調スケール、茶だまりがちょっとけばけばに見えるのは茶筅擦れかしら。持ちたい、手に持ってみたい。いっしょにガラスケースにかじりついてたお兄さんがため息をつくように「ああ、これでお茶飲みたい、、、」激しく賛同!


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もちろん喜左右衛門さんだけでなく、他の井戸もそれぞれ個性があって、一口に大井戸といってもヴァリエーションがあるのだな。どうしてこれが国宝にならないのか?とおもうようなすごい茶碗もある。全部なめるように見ていたら、すっかり消耗してしまった。いかん、いかん、あと光悦も志野もみないといけないのに。

青井戸は青くないのに(青いのもある)なんで青井戸なんだろう、と思っていたけれど、「朝顔型で鉢割れ、高台低めの井戸」ということを初めて学習した。でも、小井戸と区別がつかないのもあるよな。


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もし、自分が持つとしたら(まあ、一生そのチャンスはないと思われるが)小井戸かな。たしかにちっちゃいわ。女性の手のサイズにぴったり。大井戸は、、、やはり男性が扱ってこそ映えそうな気がする。


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図録を買って、(観光客がいっぱいで歩くのも困難な京都ではなくて)美術館の広大な庭園で紅葉を楽しみ、ついでにNEDU Cafeでお昼をいただいて茶碗祭ひとつめ終了。




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● COMMENT ●

何年前だったか 茶碗ばかりどっさりした展覧会と茶入ればかり100個くらいの展覧会が平行してあり 行きました。
東京は時々 すごい展覧会を一緒にしますね。
今年は行けないなあ。

三井戸

ともにご覧になられたわけですね。
光悦会で「加賀」をご覧になっているし。今回は喜左衛門と細川、そして柴田。
先日、某所で今回の展観のことが話題になり、「前持っていたのが今回出ているよ」といわれ
仰天しました。
それにしましても、しぇる様の獅子奮迅ぶりには驚かされます。
しぇる様が上京された日に、私は犬山の如庵横の正伝院書院で
近衛家煕の懐紙を華道家のお兄さんと眺めておりました。
拝見していました。

おおっ!しぇるさんは、東京ですかっ!
私の方、先週末から、「観光客がいっぱいで歩くのも困難な京都」におります。
それにしても、拙宅の近くの紅葉の状況を、
京都にお住まいの方のブログで(しかも、京都にいながら)
知るというのも、何か妙ですね !

先日、若い友人が喜左衛門を手に取る機会を得まして、感想を聞かせてもくれましたが、そこまで行ったらお茶点てたいですよねぇ〜(笑)。

ひいらぎ様

三館コンプリートしたら一館の入館券がゲットできるという、三館合同キャンペーンでした。やっぱり美術館の展示は東京、すごいわ。

N様

今年の光悦会の井戸茶碗は「准后」がでていましたが、「加賀」はなかったような、、、
細川はここで見ました。「へうげもの」の細川三斎のイメージと重ねて見てしまいましたが(^_^;)
しかし、どこのどなたでせうね、井戸をこともなげに入手したりてばなしたりされるようなご身分の方は(◎-◎;)
予楽院さんの懐紙ですか?なんだかどこからどこまですごくハイレベルなお話でついていけません〜(>_<)

S&Y様

ほんまに住んでるところと紅葉を楽しむ場所がテレコになりましたね(^◇^;)
今年の紅葉の京都はいつも以上に混み合っているようです。朝七時に永観堂にでかけてもう人が並んでいたそうです。ちょっと紅葉の名所は足がむきません。でも鴨川東岸のオータムリーフは最高ですよ。今年はこれだけで十分。

relax様

いったいどこのどなた?!
喜左右衛門を手にとったなんて、そんなことできるの〜っ!?(◎-◎;)

失礼しました

2年前の京都席で出ていたのもが「加賀光悦」でしたので、勘違いしていました。
私の知人には、藤田の曜変天目を持った御婦人と、不二山と卯花牆を持った青年がおります。
でも、御両名とも喜左衛門はさすがに無理なようでした。

私も憧れの喜左衛門に会うことができて満足でした。あんなに大きいのに370gとはちょっと驚き、本当に手に取ってみたいものです。しぇるさまと同じく、青井戸は青くないのにと疑問に思っていたのが、形の分類だと初めて知りました。納得です。
2階の季節の取合せも良かったですね。井戸を大量に見た後で、ちょっとホッとしました。

N様

不二山と卯花墻を持ったですってぇ〜〜〜(◎-◎;)!
どんな僥倖によってそんなことができたのかしら〜???

そらいろつばめ様

370g!最新の軽量コンパクト一眼レフくらいだな。ちょっとカメラを持ってみた。う〜ん、、微妙。
これだけ井戸を見てしまうと、自分が手に入れられる程度の茶碗がどれも物足りなくてね〜。こまったもんだ。(´・ω・`)
あと、根津の庭園がこんなにすごいと思わなかった!

以前 ある方の先生が釜を掛けられて 根津の茶会に行けました。よかったですよ。

ひいらぎ様

そういえば根津の茶会の話もちらほらでてました。まあ、行く機会はないやろけど。


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