東京で(私的)茶碗祭・その3〜美濃茶碗・三井記念美術館 - 2013.11.26 Tue
東京茶碗祭、最後に時間ぎりぎりに訪れたのが三井記念美術館。

この美術館、来るのは二回目。そして他の2つの美術館の会期が12月までだったので、のんびりしていたら実はこの日が最終日だった!しかも閉館まで1時間のぎりぎりなんて、、、。あぶないとこだった(´・ω・`;A)

タイトルは「国宝・卯花墻と桃山の名陶」。
桃山時代に美濃で栄えた志野・黄瀬戸・瀬戸黒・織部を沢山集めたこれまたすばらしい展示だった。

まずはなんといっても国宝志野茶碗「卯花墻」。
志野ってなんとなく好みではなくて、使う機会もあまりないのだけれど、これはやっぱりすごいな。志野独特の釉薬の色もさることながら、惹かれたのはその形。篦でぐいぐい削った削り方が思い切りよくて、口縁は無骨にゆがんで飲みにくそうで、、、、これどこかでみたことが、、、ああ、そうだ!当代の楽さんの焼抜き茶碗がこんな感じだ。
卯花墻の銘は石州がつけたもの。箱の裏に書きしるされた歌に
「山里の 卯花墻の中つ路 雪踏みわけし 心地こそすれ」
志野のくすりは長石を砕いた白い長石釉、酸化鉄(鬼板といわれる)の赤が特徴なのだが、鼠志野とよばれるグレーの志野は、鬼板を掻き落として文様を描き、あとを長石釉で白く埋めたものをいう。この技法が高麗の三島に似ていて(そういや色も)来歴になんらかのつながりがあるのでは、といわれているのが面白く感じられた。九州につれてこられた朝鮮陶工が唐津、萩を作ったように、実は鼠志野も朝鮮陶工が関わっていたとしたらおもしろいな。
黄瀬戸。
油揚げのような黄色い肌に彫り文様、グリーンの胆礬(たんぱん)がきれい。黄瀬戸はもともと食器として作られたので、茶碗として作られたものはほとんどなく、あくまで見立てとして使われているとか。形も冒険が無くシンプル。若い頃はあまり魅力を感じなかった黄瀬戸だけれど、最近その魅力がなんとなくわかってきたような気がっする。
瀬戸黒。
これは碁石のような茶碗。 焼成中に釉薬の溶け具合を見計らい引き出し急冷させて 発色させた「引き出し黒」といわれる色。瀬戸黒茶碗をひとつもっているが、これだけはいまだにその魅力がわからない。だいたい黒楽とどうちがうん?見た目。
織部。
う〜ん、やっぱり好き♪美濃焼最後に登場したまさに「楽しい」陶器。
白や茶色で絵を描いてちょいとグリーンの釉薬をたらせばできあがり!と思っていたが実は色の違う土、釉薬を使い分けることによって作られる高度な技法が用いられていることを初めて知った。底にグリーンの釉薬がつやつやと溜まって、まるで今たまり醤油をそこに注いだかに見える向付など最高。
赤と白でなんだかわからないけど面白い文様の鳴海織部がやっぱりいいな。
織部菊文茶碗を見て、つい「へうげもの」のワンシーンを思い出してしまう。漫画では、あの文様(上のポスターの左上に載っている茶碗)はハチワレの猫がくしゃみをしたかなにかの状景を古織が写し取ったことになっていた。たしかにハチワレの猫の顔だ!(^◇^)
最後の方は「まもなく閉館」のアナウンスにせかされ駆け足になってしまったが、最終日にまにあってヨカッタと思える展示であった。

鑑賞後は美術館のある日本橋三井タワー内、千疋屋のカフェでフルーツポンチをいただき、ヒートアップしたおつむをクールダウン、帰りの新幹線へ。
東京はなにせ京都にくらべて町がデカイので、三館めぐりはあわただしく、走って歩いて走ってまた歩いて、、という怒濤のスケジュールだったなあ。でも、がんばって行ってヨカッタ、と心底思えるよき1日でありました。

この美術館、来るのは二回目。そして他の2つの美術館の会期が12月までだったので、のんびりしていたら実はこの日が最終日だった!しかも閉館まで1時間のぎりぎりなんて、、、。あぶないとこだった(´・ω・`;A)

タイトルは「国宝・卯花墻と桃山の名陶」。
桃山時代に美濃で栄えた志野・黄瀬戸・瀬戸黒・織部を沢山集めたこれまたすばらしい展示だった。

まずはなんといっても国宝志野茶碗「卯花墻」。
志野ってなんとなく好みではなくて、使う機会もあまりないのだけれど、これはやっぱりすごいな。志野独特の釉薬の色もさることながら、惹かれたのはその形。篦でぐいぐい削った削り方が思い切りよくて、口縁は無骨にゆがんで飲みにくそうで、、、、これどこかでみたことが、、、ああ、そうだ!当代の楽さんの焼抜き茶碗がこんな感じだ。
卯花墻の銘は石州がつけたもの。箱の裏に書きしるされた歌に
「山里の 卯花墻の中つ路 雪踏みわけし 心地こそすれ」
志野のくすりは長石を砕いた白い長石釉、酸化鉄(鬼板といわれる)の赤が特徴なのだが、鼠志野とよばれるグレーの志野は、鬼板を掻き落として文様を描き、あとを長石釉で白く埋めたものをいう。この技法が高麗の三島に似ていて(そういや色も)来歴になんらかのつながりがあるのでは、といわれているのが面白く感じられた。九州につれてこられた朝鮮陶工が唐津、萩を作ったように、実は鼠志野も朝鮮陶工が関わっていたとしたらおもしろいな。
黄瀬戸。
油揚げのような黄色い肌に彫り文様、グリーンの胆礬(たんぱん)がきれい。黄瀬戸はもともと食器として作られたので、茶碗として作られたものはほとんどなく、あくまで見立てとして使われているとか。形も冒険が無くシンプル。若い頃はあまり魅力を感じなかった黄瀬戸だけれど、最近その魅力がなんとなくわかってきたような気がっする。
瀬戸黒。
これは碁石のような茶碗。 焼成中に釉薬の溶け具合を見計らい引き出し急冷させて 発色させた「引き出し黒」といわれる色。瀬戸黒茶碗をひとつもっているが、これだけはいまだにその魅力がわからない。だいたい黒楽とどうちがうん?見た目。
織部。
う〜ん、やっぱり好き♪美濃焼最後に登場したまさに「楽しい」陶器。
白や茶色で絵を描いてちょいとグリーンの釉薬をたらせばできあがり!と思っていたが実は色の違う土、釉薬を使い分けることによって作られる高度な技法が用いられていることを初めて知った。底にグリーンの釉薬がつやつやと溜まって、まるで今たまり醤油をそこに注いだかに見える向付など最高。
赤と白でなんだかわからないけど面白い文様の鳴海織部がやっぱりいいな。
織部菊文茶碗を見て、つい「へうげもの」のワンシーンを思い出してしまう。漫画では、あの文様(上のポスターの左上に載っている茶碗)はハチワレの猫がくしゃみをしたかなにかの状景を古織が写し取ったことになっていた。たしかにハチワレの猫の顔だ!(^◇^)
最後の方は「まもなく閉館」のアナウンスにせかされ駆け足になってしまったが、最終日にまにあってヨカッタと思える展示であった。

鑑賞後は美術館のある日本橋三井タワー内、千疋屋のカフェでフルーツポンチをいただき、ヒートアップしたおつむをクールダウン、帰りの新幹線へ。
東京はなにせ京都にくらべて町がデカイので、三館めぐりはあわただしく、走って歩いて走ってまた歩いて、、という怒濤のスケジュールだったなあ。でも、がんばって行ってヨカッタ、と心底思えるよき1日でありました。
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● COMMENT ●
脱帽
三館廻り、一日で制覇とはすごい! 熱意はもちろんですが、吸収できる素地があってこそですよね。だからしぇるさまのブログはためになって楽しいんです。
志野、黄瀬戸、織部、時代の変遷も分かって充実した展示でしたね。それにしても図録は重たい。
年内にまた上京することがあれば、菊池寛実・智美術館もお勧め、林屋晴三さんセレクトの現代作家の名碗展です。
志野、黄瀬戸、織部、時代の変遷も分かって充実した展示でしたね。それにしても図録は重たい。
年内にまた上京することがあれば、菊池寛実・智美術館もお勧め、林屋晴三さんセレクトの現代作家の名碗展です。
しらたまご様
コメントありがとうございます。
三館回った次の日から仕事に突入したのでいささか疲れ気味です。
歳には勝てませぬ(>_<)ゞ
回復したらまた京都町歩き再開しますね。
三館回った次の日から仕事に突入したのでいささか疲れ気味です。
歳には勝てませぬ(>_<)ゞ
回復したらまた京都町歩き再開しますね。
そらいろつばめ様
さすがにちょっと疲れました。でもそれ以上に楽しかった!
茶道の知識がまったくなかったら、喜左右衛門なんか小汚い茶碗、、、、でおわるのかもしれないなあと思いました。いろんな知識があればあるほど、世界は広がるので、もっともっと勉強せなあきませんね〜。
おすすめの智美術館、年内は無理ですが、頭にインプットしましたので次回上京時には行ってみます(^o^)
茶道の知識がまったくなかったら、喜左右衛門なんか小汚い茶碗、、、、でおわるのかもしれないなあと思いました。いろんな知識があればあるほど、世界は広がるので、もっともっと勉強せなあきませんね〜。
おすすめの智美術館、年内は無理ですが、頭にインプットしましたので次回上京時には行ってみます(^o^)
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日々のいろんなあれこれ、楽しみに読んでます。