fc2ブログ
topimage

2023-10

東京で(私的)茶碗祭・その3〜美濃茶碗・三井記念美術館 - 2013.11.26 Tue

東京茶碗祭、最後に時間ぎりぎりに訪れたのが三井記念美術館。


P1050849.jpg


この美術館、来るのは二回目。そして他の2つの美術館の会期が12月までだったので、のんびりしていたら実はこの日が最終日だった!しかも閉館まで1時間のぎりぎりなんて、、、。あぶないとこだった(´・ω・`;A)


P1050851.jpg


タイトルは「国宝・卯花墻と桃山の名陶」。
桃山時代に美濃で栄えた志野・黄瀬戸・瀬戸黒・織部を沢山集めたこれまたすばらしい展示だった。


131124.jpg

まずはなんといっても国宝志野茶碗「卯花墻」。
志野ってなんとなく好みではなくて、使う機会もあまりないのだけれど、これはやっぱりすごいな。志野独特の釉薬の色もさることながら、惹かれたのはその形。篦でぐいぐい削った削り方が思い切りよくて、口縁は無骨にゆがんで飲みにくそうで、、、、これどこかでみたことが、、、ああ、そうだ!当代の楽さんの焼抜き茶碗がこんな感じだ。

卯花墻の銘は石州がつけたもの。箱の裏に書きしるされた歌に

山里の 卯花墻の中つ路 雪踏みわけし 心地こそすれ


志野のくすりは長石を砕いた白い長石釉、酸化鉄(鬼板といわれる)の赤が特徴なのだが、鼠志野とよばれるグレーの志野は、鬼板を掻き落として文様を描き、あとを長石釉で白く埋めたものをいう。この技法が高麗の三島に似ていて(そういや色も)来歴になんらかのつながりがあるのでは、といわれているのが面白く感じられた。九州につれてこられた朝鮮陶工が唐津、萩を作ったように、実は鼠志野も朝鮮陶工が関わっていたとしたらおもしろいな。

黄瀬戸。
油揚げのような黄色い肌に彫り文様、グリーンの胆礬(たんぱん)がきれい。黄瀬戸はもともと食器として作られたので、茶碗として作られたものはほとんどなく、あくまで見立てとして使われているとか。形も冒険が無くシンプル。若い頃はあまり魅力を感じなかった黄瀬戸だけれど、最近その魅力がなんとなくわかってきたような気がっする。


瀬戸黒。
これは碁石のような茶碗。 焼成中に釉薬の溶け具合を見計らい引き出し急冷させて 発色させた「引き出し黒」といわれる色。瀬戸黒茶碗をひとつもっているが、これだけはいまだにその魅力がわからない。だいたい黒楽とどうちがうん?見た目。


織部。
う〜ん、やっぱり好き♪美濃焼最後に登場したまさに「楽しい」陶器。
白や茶色で絵を描いてちょいとグリーンの釉薬をたらせばできあがり!と思っていたが実は色の違う土、釉薬を使い分けることによって作られる高度な技法が用いられていることを初めて知った。底にグリーンの釉薬がつやつやと溜まって、まるで今たまり醤油をそこに注いだかに見える向付など最高。
赤と白でなんだかわからないけど面白い文様の鳴海織部がやっぱりいいな。

織部菊文茶碗を見て、つい「へうげもの」のワンシーンを思い出してしまう。漫画では、あの文様(上のポスターの左上に載っている茶碗)はハチワレの猫がくしゃみをしたかなにかの状景を古織が写し取ったことになっていた。たしかにハチワレの猫の顔だ!(^◇^)


最後の方は「まもなく閉館」のアナウンスにせかされ駆け足になってしまったが、最終日にまにあってヨカッタと思える展示であった。


P1050852.jpg


鑑賞後は美術館のある日本橋三井タワー内、千疋屋のカフェでフルーツポンチをいただき、ヒートアップしたおつむをクールダウン、帰りの新幹線へ。

東京はなにせ京都にくらべて町がデカイので、三館めぐりはあわただしく、走って歩いて走ってまた歩いて、、という怒濤のスケジュールだったなあ。でも、がんばって行ってヨカッタ、と心底思えるよき1日でありました。


関連記事

● COMMENT ●

脱帽

今回の茶碗展はしご見物、まさに脱帽しました。春に行った根津の庭園の紅葉もおまけでついてましたし。
日々のいろんなあれこれ、楽しみに読んでます。

三館廻り、一日で制覇とはすごい! 熱意はもちろんですが、吸収できる素地があってこそですよね。だからしぇるさまのブログはためになって楽しいんです。
志野、黄瀬戸、織部、時代の変遷も分かって充実した展示でしたね。それにしても図録は重たい。
年内にまた上京することがあれば、菊池寛実・智美術館もお勧め、林屋晴三さんセレクトの現代作家の名碗展です。

しらたまご様

コメントありがとうございます。
三館回った次の日から仕事に突入したのでいささか疲れ気味です。
歳には勝てませぬ(>_<)ゞ
回復したらまた京都町歩き再開しますね。

そらいろつばめ様

さすがにちょっと疲れました。でもそれ以上に楽しかった!
茶道の知識がまったくなかったら、喜左右衛門なんか小汚い茶碗、、、、でおわるのかもしれないなあと思いました。いろんな知識があればあるほど、世界は広がるので、もっともっと勉強せなあきませんね〜。
おすすめの智美術館、年内は無理ですが、頭にインプットしましたので次回上京時には行ってみます(^o^)


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/198-63563ee8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

小間で口切茶事 «  | BLOG TOP |  » 東京で(私的)茶碗祭・その2〜光悦・五島美術館

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (385)
茶事(亭主) (82)
茶事(客) (172)
茶会(亭主) (17)
煎茶 (9)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (108)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (29)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (138)
奈良散歩 (128)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (10)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (13)
中国茶 (48)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (1)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (3)
信州旅行2023 (2)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR