日タイ友好〜タイ尽くし茶会 〜東京国立博物館茶室 - 2023.04.21 Fri

久々の東京は上野の東京国立博物館!さすがに前回コロナ中に来た時を思えば上野動物園もあるし人の姿が多くなった。ただし、、本格的な雨である。着物はさることながら足下の足袋が足袋が、、、と言いつつ正門から左へ、西門の茶室エリアへ歩く。ちょっと柵を越えたらすぐの場所なのに、ぐるっとまわらんといかんのは、雨の日にはツライ。
しかしおかげで国博には何度も来ているにもかかわらず知らなかった景色がみられたのはうれしい。これは黒田清輝の作品をおさめる黒田記念館。昭和初期の建物らしい。
そのお隣の国立国会図書館国際子ども図書館。へ〜こんなところにあったのか。しかもこの裏手が東京芸大だなんて、知らなかった。まだまだ奥深い上野エリア!
さて、本日は東京の茶友のKさんにお誘いいただいて、「日タイ友好・タイ尽くし茶会」へ。
この国博の裏手の庭園内にある茶室を使っての開催、これもうれしい。
受付と点心席が平成館だったのだが、このタイのテキスタイルを見ただけでもうタイ気分はもりあがる。
大学時代同級生がタイからの留学生で、そのゆかりでタイには3度行ったし、個人のお宅にも招かれるという良い経験をさせてもらったので、タイという国にはとてもなじみがある。
(象のチャームは記念品)
主宰は裏千家淡交会バンコク協会、コロナで3年延期されて、本日やっとの開催。主幹をつとめられた方のお名前から、タイに嫁がれた方なのであろう。大宗匠やお家元などは節目にタイへいかれて献茶などされているので、交流も深く、この日は100歳を迎えられた大宗匠のご臨席もあったという。(素直にすごいな)
席までかなり時間があったので、またぐるっと雨の中を正門までまわって「東福寺展」を見る。
なんでわざわざ東京来てまで東福寺やねん、と突っ込みたいところだが、京都だとかえって行かなさそうなので、これはこれでよい勉強の機会となった。開山の聖一国師・円爾弁円について復習復習。
今回吉山明兆(きっさんみんちょう)という室町時代の東福寺の画僧を知ることができたのは収穫。日本の漫画の原点は実はここ?というような五百羅漢図シリーズにはくすっと笑わせてもらった。
いよいよ国博庭園内の五棟の茶室の内の応挙館へ。もとは寛保年間の寺院の書院であったが、後に鈍翁が自分とこへ移築した建物。18畳の大書院の床の間に応挙の絵が残る(現在はレプリカにさしかえ)。
こちらの席は<ラタナコーシン王朝席>
ラタナコーシンは現在のタイの王朝である。現王朝開始(18世紀)からのタイと言えばこれ!のベンジャロン焼をテーマに。水指、建水、茶碗ほとんどがベンジャロン。ベンジャロン=五彩という華やかで細密な焼き物で、金彩たっぷりのイメージだったが、18世紀ごろのベンジャロンは金彩少なく、赤などかなり渋い赤で、茶道具として違和感がない。いただいた茶碗は文様が”ラーチャプルック”(golden shower)という金色の小さな花がシャワーのように降り注ぐタイの国花。ほとんど京焼にしか見えないところに日タイの交流を感じる。
お菓子がタイの伝統菓子・フォイトーンというほとんど鶏卵素麺!で面白かった。
お席主はタイに滞在すること17年だそうで、タイの伝統文化を深く体得されておられるのであろう。
棗がチェンマイ塗りで、チェンマイには(タイの京都的ポジション)2回行ったことがあり、その名前の響きが懐かしかった。
もう一席が九条館
ここは御所にある拾翠亭のそばに本来あった九条邸の一部を移築したもの。ここは来たことがある。10年以上昔にここで古筆の会があったのだ。なんだか懐かしいなあ。
こちらの席は<スコータイ王朝席>
スコータイは13世紀に成立したタイ族初の王朝、(それ以前はカンボジアのクメール人支配)この時代を代表する焼物はなんといっても茶人大好き宋胡録である。(現地ではサワンカローク)
有名な鉄絵のみならず、宋胡録は青磁も作っていたのだが、水指がその堂々たる青磁ですばらしかった。香合は宋胡録と言えばこれ!の柿(ほんとはマンゴスチン)やっぱり宋胡録は好きだわ。
主茶碗は明らかに磁州窯の影響をうけたとおぼしき鉄絵(14世紀)で中に法輪紋。お菓子の銘々皿が現代のタイの陶芸家さんの作品で唐津っぽいのが面白かった。お菓子は練切なのだが、上に細かい黄色のきんとん、これが先ほどのラーチャプルック、黄金の花を表していたのが美しい。
面白かったのが煙草盆セットの銀製ビンロウ入れ。ビンロウは東南アジアではかみ煙草のような嗜好品。これは向こうで暮らした人しか思いつかないアイデアだ。
最後にタイに行ったのはもう数十年も昔になる。
その懐かしい思い出と宋胡録愛に満たされた茶会であった。おさそいくださったK様、ありがとうね〜。
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● COMMENT ●
そらいろつばめ様
こちらこそ豊岡グループに東京でお目にかかる方が不思議〜〜
古筆の会
ここでの古筆の会のこと、覚えていただいてうれしいです。
N様
はい、懐かしいですね。当時は変体仮名も全く読めず、古筆???でしたが、あれから色々勉強し、今ならもっと楽しめるだろうなあ、、、と思っています。
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と言っていました。本当にしぇる様は神出鬼没ですね。