奥嵯峨・不審菴写しの茶室にて茶会 - 2023.05.23 Tue
ここは嵯峨野大覚寺、大沢池の畔、ここで舟遊び茶会をしたのがもう一月も前なのね。そんな奥嵯峨の風情を楽しみつつ約2年ぶり、この近くにお住まいの陶芸作家のNさんの茶会へ。本当は昨年秋の予定が諸事情にて延び延びになって、やっとこの日を。

Nさんの茶室の露地は嵯峨野の竹林が借景になっていて、風が吹くとさやさやと心地よい音を奏でる。(飛んでくる笹の葉っぱの掃除が大変らしいが、、、(^_^;)
ご連客は遠州流の茶道男子Mさんとその師匠で日本人より日本人なイギリス人のS先生、三人でこの風情独占とは贅沢なことである。
主菓子は餡入り蕨餅、ヨーロッパのアンティークのガラス皿にて。
こちらの茶室は以前数寄屋建築のプロとお邪魔したときに表千家の「不審菴」写しと知った。ここでお茶を楽しまれていたご母堂は裏千家だけれど。
(茶道検定テキストより)
ちなみに不審菴は風炉先に茶道口があり、亭主は席入りしてくるりと向きを変えて(あるいはバックして?)点前座にすわるという変わり種(表千家さん、失礼!)。基本炉の時期しか使えないので、風炉の季節は炉の切ってある畳に風炉を据えて、台目畳は放棄する、と聞いたが、さすがにそれは不便と思われたのか、この茶室では普通の位置に茶道口がある。
客座から点前座を見るとほんとに見れば見るほど不審菴そっくり、扁額の位置、壁のサビまでそっくりなのである。
濃茶は一碗ずつ各服で丁寧に練っていただいた。
障子を少しあけた隙間から5月の爽やかな風が吹き込み、点前の間、間断なく聞こえる筧の水の音、竹の葉ずれ、ここは奥嵯峨、う〜ん、別天地だ。
軸は相国寺の大津櫪堂(大象)、有馬頼底師の師匠だった方、偶然にも客のMさんは相国寺の檀家さんで参禅もされている方だった!
茶碗は以前より作陶の見本として所持されていた高麗シリーズを初使いしていただく。大ぶりの井戸は背の高いS先生へ、ぴったり。Mさんへは金海?。私は常々「かりんとう」と言っている黒高麗にて。
いつも茶事でお客様に丸久小山園の<天授>をお出ししているが、なかなか自分では飲めぬモノ、今回たっぷり客としていただき幸せである(*^_^*)
茶入は先々代の朝日焼、遠州七窯のひとつであった朝日焼は本日の遠州流のお客様にふさわしい。
濃茶の後中立をへて薄茶へ。
室礼は灯火を用いまた雰囲気が変わる。この吊り下げ型灯火器は李朝の写しをご自分で作られた物、そこはさすがプロである。ただこの鎖と灯火器をとめている輪っかは現代作家物をご自分でバーナーで炙るなどしてサビをつけたものとか!そんなんできるんや、良いこと聞いた。マネしよう。
松本の銘菓真味糖(命名:淡々斎)
胡桃の入った美味しいお菓子である。
薄茶のお道具はほぼご自分の作品の白いアルバレロシリーズ。
アルバレロはデルフトで盛んに作られた、本来は軟膏入れだったそうだが、日本ではぐい飲みや茶器に見立てられる事が多い。私は碍子に似ていると常々思っている。
Nさんはこれを水指サイズ、茶器サイズ、と色々作って使いこなしておられる。ほんまになんでも自分で作られるってうらやましい。
特記すべきは花入れ
なんと漆器の火薬入れなんだそうだ。江戸時代火縄銃に火薬をこめるのに便利なように口が極細になっているところへ一輪の鉄線、、おしゃれやなあ、、、と一堂感動したのである。
以前のご自宅にあったお屋敷の楓の木でご自分で削り出された茶杓も印象的であった。
茶会のあとは別室にてお茶、焼物談義、気がつけば4時間、濃茶+薄茶なのに茶事なみの時間を楽しんでしまったのだった。
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