fc2ブログ
topimage

2023-09

奥嵯峨・不審菴写しの茶室にて茶会 - 2023.05.23 Tue


IMG_4857.jpeg


ここは嵯峨野大覚寺、大沢池の畔、ここで舟遊び茶会をしたのがもう一月も前なのね。そんな奥嵯峨の風情を楽しみつつ約2年ぶり、この近くにお住まいの陶芸作家のNさんの茶会へ。本当は昨年秋の予定が諸事情にて延び延びになって、やっとこの日を。



IMG_4870.jpeg


Nさんの茶室の露地は嵯峨野の竹林が借景になっていて、風が吹くとさやさやと心地よい音を奏でる。(飛んでくる笹の葉っぱの掃除が大変らしいが、、、(^_^;)



IMG_4860.jpeg


ご連客は遠州流の茶道男子Mさんとその師匠で日本人より日本人なイギリス人のS先生、三人でこの風情独占とは贅沢なことである。


IMG_4872_202305192158110b7.jpeg


 主菓子は餡入り蕨餅、ヨーロッパのアンティークのガラス皿にて。


こちらの茶室は以前数寄屋建築のプロとお邪魔したときに表千家の「不審菴」写しと知った。ここでお茶を楽しまれていたご母堂は裏千家だけれど。


IMG_4912.jpeg
(茶道検定テキストより)


ちなみに不審菴は風炉先に茶道口があり、亭主は席入りしてくるりと向きを変えて(あるいはバックして?)点前座にすわるという変わり種(表千家さん、失礼!)。基本炉の時期しか使えないので、風炉の季節は炉の切ってある畳に風炉を据えて、台目畳は放棄する、と聞いたが、さすがにそれは不便と思われたのか、この茶室では普通の位置に茶道口がある。

客座から点前座を見るとほんとに見れば見るほど不審菴そっくり、扁額の位置、壁のサビまでそっくりなのである。


IMG_4871_20230519215811c59.jpeg


濃茶は一碗ずつ各服で丁寧に練っていただいた。
障子を少しあけた隙間から5月の爽やかな風が吹き込み、点前の間、間断なく聞こえる筧の水の音、竹の葉ずれ、ここは奥嵯峨、う〜ん、別天地だ。

軸は相国寺の大津櫪堂(大象)、有馬頼底師の師匠だった方、偶然にも客のMさんは相国寺の檀家さんで参禅もされている方だった!
茶碗は以前より作陶の見本として所持されていた高麗シリーズを初使いしていただく。大ぶりの井戸は背の高いS先生へ、ぴったり。Mさんへは金海?。私は常々「かりんとう」と言っている黒高麗にて。

いつも茶事でお客様に丸久小山園の<天授>をお出ししているが、なかなか自分では飲めぬモノ、今回たっぷり客としていただき幸せである(*^_^*)

茶入は先々代の朝日焼、遠州七窯のひとつであった朝日焼は本日の遠州流のお客様にふさわしい。



IMG_4873_20230519215812da8.jpeg


濃茶の後中立をへて薄茶へ。
室礼は灯火を用いまた雰囲気が変わる。この吊り下げ型灯火器は李朝の写しをご自分で作られた物、そこはさすがプロである。ただこの鎖と灯火器をとめている輪っかは現代作家物をご自分でバーナーで炙るなどしてサビをつけたものとか!そんなんできるんや、良いこと聞いた。マネしよう。



IMG_4876_202305192158140eb.jpeg


松本の銘菓真味糖(命名:淡々斎)
胡桃の入った美味しいお菓子である。
薄茶のお道具はほぼご自分の作品の白いアルバレロシリーズ。

アルバレロはデルフトで盛んに作られた、本来は軟膏入れだったそうだが、日本ではぐい飲みや茶器に見立てられる事が多い。私は碍子に似ていると常々思っている。
Nさんはこれを水指サイズ、茶器サイズ、と色々作って使いこなしておられる。ほんまになんでも自分で作られるってうらやましい。



IMG_4877.jpeg


特記すべきは花入れ
なんと漆器の火薬入れなんだそうだ。江戸時代火縄銃に火薬をこめるのに便利なように口が極細になっているところへ一輪の鉄線、、おしゃれやなあ、、、と一堂感動したのである。

以前のご自宅にあったお屋敷の楓の木でご自分で削り出された茶杓も印象的であった。
茶会のあとは別室にてお茶、焼物談義、気がつけば4時間、濃茶+薄茶なのに茶事なみの時間を楽しんでしまったのだった。




関連記事

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/2005-9fd73452
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

MIHO museum〜まさんど窯訪問 «  | BLOG TOP |  » 東大寺指図堂落慶など〜初夏の奈良巡り

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (385)
茶事(亭主) (82)
茶事(客) (171)
茶会(亭主) (17)
煎茶 (9)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (108)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (29)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (138)
奈良散歩 (128)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (9)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (13)
中国茶 (48)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (1)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (3)
信州旅行2023 (2)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR