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2024-02

4年ぶりに奈良豆比古神社・翁舞 - 2023.10.17 Tue

 

奈良山の児手柏(このてがしわ)の両面(ふたおも)に
      かにもかくにも 侫人(ねじけびと)の伴(とも)


万葉集に歌われたコノテガシワ。謡曲「百万」では(今仕舞習ってる)

 奈良阪の児手柏のふたおもて とにもかくにも
        ねじけびとの 亡き後の涙越す、、、

になる。
その奈良阪の、万葉の時代にもあったと推定されるコノテガシワの切り株(残念ながら戦後枯れた)がある奈良豆比古神社へ。



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このあたりは京都との境も近く、夜になると人っ子一人いなさそうな集落である。


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10月8日に毎年行われる宵宮祭、国の重要無形民俗文化財でもある翁舞を見に実に4年ぶりに来ることができた。
4年前に聞いたお囃子が忘れられなくて、頭にこびりついて。コロナや、諸般の事情で4年もかかってしまった。


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4年前も、宵からの雨が舞台が始まる頃やんだが、今年もやはり小雨。ふったりやんだり。集落の翁舞保存会の方々が着物姿で忙しそうにされていた。

祭礼は20時から。
バスの便が少ないし、直前には結構な人出となるので19時にはスタンバイがおすすめ。


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境内の奥、お社の向かって左にそのコノテガシワの切り株がある。樹齢1300年はいっていた、という話だ。

ここのご祭神は万葉歌人として有名な志貴皇子。
天智天皇の息子でありながら政治の表舞台に出ることがなく薨去された。しかし歴史のいたずらで彼の死後、皇子の六男・白壁王が光仁天皇として即位したため、「春日宮天皇」(もしくは田原天皇)の追号を送られている。


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19時半頃、篝火が入る。あたりはぐっと暗くなる。


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まずは囃子方が入場、神様に向かって片跪座で一礼。


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地謡、三番叟、と入ってきて同じく片跪座一礼。


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翁だけは翁らしく両手を広げた姿勢で入場。三人、そう、ここの翁はよそでは見られない三人翁なのだ。


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ここでは千歳(せんざい・式三番で最初に舞う)が15歳までの子供が勤めるのも特徴。講中の子弟が相談の上選ばれるという。4年前は10歳の男の子だった。今年の子はもう少しお兄さんかな。
もっと小さい子が水干を着ていて、「おまえもまた来年かその次かに舞台に上がらにゃならんぞ」と言われていた。


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千歳の最初のお仕事は翁の面箱を持って入場、太夫格の翁にその面をさしだす。
これは現在でも、能にして能にあらずの「翁」でも同じで、シテは必ず舞台上で面をつける。


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これがその面。今年新調されたとか。





そしてそして、このお囃子聞いて!!おごそかに「とうとうたらり」で始まるのだが、最後の「おん、は〜」のところが4年前から頭にこびりついてはなれないのよ。この脱力系のお囃子クセになる。



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千歳の舞。
 ♪ なるは滝の水 なるは滝の水 日は照るとも、、、

これは現在の式三番の千歳の詞章と同じである。


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場を浄めるように四角形にゆっくりゆっくり足を運ぶ。「道成寺」の<乱拍子>に似ている。


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そして三人翁が面をつける。


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これはワキの翁。


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まずは太夫格の翁が舞う。

  ♪ あげまきや とんどうや ひろわかりやとんどうや、、、

と、謎の言葉につづいて

  ♪ まんざいらく まんざいら〜く〜



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そしていよいよ見所、三人の翁のそろい踏み。
ひたすら脱力系の「まんざいらく〜」を聞いているとすごくなごむのだ。





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演じているのは地域の保存会の方、当然素人である。素人ならではの良さがあふれている。

さてこの翁舞、志貴皇子の第二皇子・春日王が病を得た時、彼の息子の一人、浄人王が、父の病気平癒を祈って芸能を神に奉納したところ快癒したことが始まりとされている。
神社が有する面(おもて)の中には室町初期のものがあり、猿楽の黎明期と一致し、この翁舞はのちの猿楽能楽の原型であることは確かだということだ。

わざわざこれを見に、島根から長距離バスで駆けつけた、という方もおられた。意外と全国区。かえって奈良の人が見たことない、、と(^_^;


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次に三番叟。
動きが速いのと、暗いのとで、ぶれた写真しか撮れない。


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これが一番動きが速く、比較的若い方じゃないとしんどいだろうな。4年前はもっと若い人だった。


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ついで三番叟が黒尉(黒い翁と思って)の面をつけて舞う。


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そしてこれも印象深い千歳と三番叟の問答。
お互いに顔を向き合わせることなく片方が横を向けば、片方が正面を向く。


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あらましは尉に三番猿楽舞うように促し、三番叟は千歳に舞うからおなおりください、という。
では舞たまえ、と千歳は三番叟に鈴をわたす。

♪ 三番猿楽きりきり尋常におん舞そうて 座敷ざっと御なおり候へ じょうどの
、、、この色の黒い尉が所のご祈祷 千秋万歳と舞納めようば やすう候 、、、

とちょっと意味不明のところもある古語。千歳君、よく覚えたねえ。



IMG_9700.jpg

三番叟は鈴と扇をもって舞い、舞終わると面をとって退席、囃子方も退席されてお開きである。


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拍手が起こる。やっぱり来てヨカッタ。感動的やわ。
雨水がぽたりと落ちるので上を見たら奈良の天然記念物の大樟の木の影。うわ〜いい宵だ〜。



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ご多分にもれず継承者減少になやむ翁舞であるが、地域の集落の家が今も当番制の当家(とうや)をつとめ、保存会をつくり守ってこられたそうだ。こういう小さな地域の祭礼を継続するご苦労ははかりしれない。頭が下がる思いである。10代の千歳をだせる間は大丈夫だよね、きっと。





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