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2023-12

櫛・簪とおしゃれ〜細見美術館 - 2014.01.17 Fri

乙女はかわいくて小さくてきれいなものが好き。現役乙女はもちろん、元乙女だって。
というので今回の細見美術館の展示は乙女にははずせませんわよ!

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とはいえ、実際に櫛や簪を日常生活で使うことはほとんどなく、見る機会すらあまりありません。舞妓さん、芸妓さんくらいかしら。TVの時代劇なんかでもその多彩な髷や櫛・簪のあしらい方に興味はあれど、使い方もいまいちわからない。ここは見て、その意匠を愛でるだけ、、、ということになりますけれど。

今回の展示は、東京の澤乃井櫛かんざし美術館のコレクション。そんな美術館があったとは!そのおかげで消えていく櫛・簪の文化やコレクションは散逸をまぬがれたのかもしれませんね。

一口に櫛・簪といってもその素材、技法、意匠の多彩さはすごいです。
素材で言えば鼈甲、象牙、ぎやまん、獣骨、、、、
技法は蒔絵、象嵌、透かし、撥鏤(正倉院展で見たことある)、、、とにかく技巧の極み。
デザインと来た日にはよくもまあこれだけの意匠を考えたものだと感嘆。琳派もあれば、シンプルがゆえにインパクトの強い物から、源氏物語、伊勢物語などの古典に題材をとった雅なもの、江戸の粋を感じさせるもの、、、

こんな櫛を前髪なんかにさしていたら、思わずのぞき込んでじっくり眺めたくなり、顰蹙をかうかな。

今日はどのデザインの櫛をさしていこうか、と思いなやむ江戸娘は、着物や帯を季節で選ぶのと同じように、選ぶ悩みを楽しんでいたかもしれません。
時代劇で見る遊女や太夫の思いっきり櫛や簪、笄で飾り立てた頭はゴージャスできれいだけれど、、あれ、髪飾りだけで1kgはあるんじゃないかしら、首の筋肉をやられそうです。


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蒔絵の意匠を見ていたら、これ何かに似ている、、、と思ったら蒔絵の薄器や香合に通じるものがあるんです。とくに江戸時代にも「作家物」の櫛・簪があって、柴田是真とか、松平不昧公お引き立ての原羊遊斎なんて、茶道具もいっぱい作ってるし。

象嵌の芝山というのがあって、これどこかで聞いたな、、、と思ったら昨年夏に清水三年坂美術館でやってたんだ、芝山と杣田の蒔絵展。白い象牙に宝づくしがレリーフのように象嵌されている櫛は、かわいくて現代的で、これなら若い娘さんの和装のときに今でも似合いそう。

中には「いち止」とよばれる短くて小さいピンのような物があって、これは初めて知った。髷の付け毛?をとめるのに使ったとか書いてありますが、どんな使い方をしたのか、髷の作り方すらしらない者にとってはナゾ。

私のお気に入りは団扇の半分を櫛に見立てたもの。ちゃんと団扇の柄もついてとてもおしゃれだし粋。(二枚目の画像の真ん中へんに写ってます)
残念ながら日本髪、髷がすっかり廃れた今では、挿したくても挿す場所がない、日本髪の時代に生まれていればヨカッタなんて(元)乙女は思うのです。


、、、とまあ、いくら書いても私の筆ではそのすごさ、美しさを表現することはむつかしいので、これは是非足を運んでいただきたい、乙女なら(^_^)b


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● COMMENT ●

カワイイ~♪

これ、わたしも行きました。
急いでいたのでゆっくりできなかったのですが、
思わず「キャー、カワイイ~♪」と叫んでしまうものばかり。
(人が少なかったので・・・)
胸がきゅ~んとなりましたよ。
ニッポンのカワイイ文化すばらしいです。
(近くでやっていた「皇室の名品」よりもずっと気に入りました!)
いつまでも乙女。

志織子様

行かれましたか〜!
持って帰って自分の宝箱(そんなのないけど、、)に入れちゃいたい!
こういうのを飾れるのは江戸時代では富裕層だったのだろうけれど、すごく良いセンスをしていたのね、作る方も、使う方も。
簪はともかく、櫛はさすがに現代では使える人は限られているだろうな。私なら。そっとカバンの中にしのばせて、時々取り出してなでなでしてほおずりして愛でるわ。(*^^)v

澤乃井櫛かんざし美術館のコレクションが細身美術館に来てるのですか!
是非見に行きます。
何年か前、朝日新聞に連載された「麗しき花実」という小説に原羊遊斎や光琳、抱一の櫛やかんざしの事が書かれていました。小説に出てきた「狐の嫁入り」の櫛から、芝木好子さんの小説「光琳の櫛」、岡崎智予さんのコレクションへと導かれて、とうとう関西から一人青梅の澤乃井櫛かんざし美術館へ「狐の嫁入り」の櫛を見に行ったことを思い出しました。

しぇるさん、こんにちは

細見美術館さん、視点が良いですよね^^

そうですか~

乙女必見なんですね^^


櫛とか、簪で

必殺仕事人を連想する私は

やっぱ、おっちゃんですね^^;

私も見に行きました。どれも美しく ただため息をついておりました。
狐の嫁入りも面白かったし 武蔵野も美しく日本画のようでした。

みー様

ありましたよ〜!狐の嫁入りの櫛!
今日お茶の稽古で先生も狐の嫁入りの櫛の話をされてました。
小説に出てきていたのですか?
そんなに有名な物とは知らず、、、
とりあえず美しくてかわいくて、、、私にはそれだけで十分デシタ。

高兄様

チッチッチッ!
必殺仕事人はだめですよう!(ノ`Д´)ノ
乙女の夢をこわさないように(^0^)b

櫛、簪などの展示は、細見みたいなミニマムミュージアムがぴったりです。
ここはミュージアムショップも必見なので、愛用してます。

ひいらぎ様

しかし、、、赤いきれいな櫛なんか、もう挿しても似合わないわね、、、(´_`。)くすん

「澤乃井櫛かんざし美術館」はいつか行ってみたいと思っていたのですが、青梅はあまりに遠くて・・・。
細見美術館に来ている間に是非「行かなーくちゃ」です。

vivasan様

いきなり井上陽水ですか?(^◇^;)

みなさん、澤乃井櫛かんざし美術館ってよくご存知なんですね。私は聞いたことなかった(>_<)
知らないながら、ご近所で巡り会うという幸運に感謝してます。
あっというまに会期ってすぎますよ〜。お早めに〜!


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