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2023-10

鐵技〜大西清右衛門・茶の湯釜の世界 - 2014.01.11 Sat

京都駅前・美術館「えき」KYOTOにて、「御釜師400年の仕事 大西清右衛門・茶の湯釜の世界」やってます。(〜1/15まで。急げ!)

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「釜一つあれば茶の湯はなるものを、、」、利休百首のひとつ。茶事で最初から最後まで茶室から動かない物、それが釜。

展示の釜は三条釜座(かまんざ)大西清右衛門美術館で何度か拝見した物も多いのですが、釜の歴史をたどりながら当代までの釜をそろえたところはやはり圧巻。

芦屋、天明からはじまり京釜へ、武野紹鴎や織田信長の釜師をつとめた西村道仁、利休の釜師・辻与次郎、古田織部の釜師・名越善正、大西家の二代・淨清、宗旦の釜師・西村九兵衛、西村道也、、、、十代淨雪とその弟が奥平了保、、(このあたり勉強したけれど、なかなか覚えきれないわ。)その歴代の釜がずらっと並んでおりまする。

「鐵技」というのは大西家のなりわいそのものを意味する言葉ですが、大西家六代淨元から千家出入りになったことから、表千家の如心斎が与えた軸の言葉。この軸も会場に展示されています。

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ああ、それにしてもすばらしい釜の数々。造形的にはポスターにもなっている二代淨清の鶴ノ釜は別格として、おもしろいもの、異形なもの、典雅な意匠のもの、どれもこれで湯をわかしてみたい、と思わずにはいられない。

だが、かくいう私は炉用の釜は実は一つしか持っていない。(それに釜は収納の場所をとるしね〜。)釜を100以上お持ちでそれを収納するために蔵まで建てた、というお茶人さんの話は聞いたけれど、これだけの意匠にも技術的にもすぐれた美しい釜をみると、100とは言わない、せめてあと一つくらいはほしいなあと思う。

では、もしこの釜の中でひとつお持ち帰りできるとしたらどれを選ぶか?という視点でみてみるとやはりシンプルな造型のものがいいなと思う。インパクトの強い釜は飽きるのも早いかもしれない。他の茶道具もそうだけれど、見た目どうってことないけれど、一点だけ見所があって、それがあとになってじわじわ効いてくるような、そんな釜がいいな。他の道具との組み合わせを考えると主張しすぎない、、、というか。

釜肌は長次郎の茶碗のようにかせたような、少しやつれたようなのがいい。(釜肌の荒れは経年変化もあるけれど、多くは「荒れたようにみせる」技術によるものなんですって)霰釜はちと苦手。後炭のときに茶巾で拭きにくいし。
大きさはやや小ぶりが好みで、、、

、、、と好き勝手な妄想にふけりながら選んだのは初代・淨林の糸目撫肩釜・鯰鐶付。

端整な糸目が全体についていて(荒肌じゃないじゃないかって?まあ、そこは、、ほれ、、^_^;)水紋を連想させ、そこから顔を出す鯰(鐶付)はちゃんとひげまであるのよ。これよく見ないと鯰とわからないので見た目はとてもシンプル。ところが蓋のつまみが瓢箪なんで「瓢箪・鯰」とちゃんと符丁があっているあたり、茶会が終わった後でじわじわくると思いません?


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ビックリするくらい複雑で多くの工程を要する釜作りについての説明や、道具の展示、簡単なビデオ供覧などもあり。湯一つわかすのにも、その手間を思うとありがたい、尊い、と思いつつ釜をかけなければと思う。

展示は釜のみならず燗鍋(展示の中に、清右衛門さんの美術館釜鑑賞茶会で実際燗鍋としてお酒をいれてでてきたものを見つけて、うれしかった!)、南鐐の蓋置(これがまた美しくおもわずよだれが、、)、鐶、火箸なども。
とりわけおもしろかったのは蓋のつまみとその座。釜を拝見するときの見所でもあるけれど、それだけとりだして見る機会はないので、じっくり拝見。座なんて、釜の付属物じゃなくて、これだけでも飾りとして持っていたいようなデザイン性があるのですね。


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また、これから行くであろう茶事・茶会の折、釜を見る目が少しかわってきそう、、、そんな感じがする茶の湯釜の世界でありました。


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茶釜をたっぷり堪能したあとは同じく駅ビル2Fの京都茶寮にて、疲れた頭脳に糖分をおくりこんでやりましたわ。
お薄はお正月なので金箔入り!チョイスしたお菓子は千本玉寿軒さんのつくねきんとん「春光」。中の餡が薄紅色でまさしく銘にふさわしい。ごちそうさまでした。


<付記>
1月12日(日)大西清右衛門さんによるギャラリートークがあります。(予約不要)
私は社中の初釜でいけない、、、(>_<)




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● COMMENT ●

しぇるさまの京都情報、いつもありがたく拝見しています。

わたしはお茶はたしなみませんが、
お茶には知的好奇心をそそられるので、
少しづつ色々なことを学んでいます。
この展覧会も、渋すぎるな~とは思いましたが、
1/5に行ってきましたe-343
たくさんの様々な釜があって、とても楽しかったです。

お茶の世界はあまりに深淵で、近づくのはこわいですね。

私はチケットをいただいけたおかげで2回も見てしまいましたが すごいですねえ。
自分なら何がほしいかしらと空想しておりました。(誰もくれませんよ!)

志織子様

はい、お茶の世界は底なし、歴史と知識と教養のカオスでございます。(←なんじゃそりゃ?)
釜を持つ、ということは本気で茶の湯をやるという決意表明みたいなものかもしれません。
眺めるだけで満足、、、というひともいるかもしれませんが、使わなかったら場所ふたぎなだけですから。
釜一つあればお茶はできるけれど、こういう釜をたくさん見るとやっぱり2つ、3つ、、と欲しくなるのも人情ですねえ、、、

ひいらぎ様

明日の清右衛門さんのギャラリートーク聞きに私も2回目行きたいのですがねえ、、やっぱり社中の初釜さぼったら破門ですよね、、、(大汗)

何度か釜の展覧会は観たことがあるのでスルーしようとしていましたがやはり行くべきか…?
行けるとしたら最終日。
ギャラリー京の待庵古材茶箱展と合わせて行こうかしら。
悩ましい…。

relax様

まあ、まとめ見というのは結構いいですよ。
昨年秋の光悦、井戸のまとめ見も迫力あったし。(^_^)b
茶箱展!私もそっち行こうかな。

なんとか最終日に間に合いました。
最終日のせいか結構混んでいて、茶釜の展示にこんなに人が集まるって…そんなにお茶人口多いのかしら?と驚きました。
その後急ぎ足で茶箱展を観、MASAさんにお邪魔し、締めにカホギャラリーにも寄って帰りました。
昼過ぎまでお稽古だったので、よくぞ廻れたもんです(笑)。
社中の友人(美人)を市中引き回ししてしまいました(笑)。

relax様

す、、すごいパワーでまわられたんですね!
私もセレクトショップ京、行きましたよ。
よかった!すごくよかった!教えていただいてほんとヨカッタ!
どれも連れて帰りたかったけれど、値段見て、、、
、、、、!(゚ロ゚屮)屮!!、、、はい、サヨウナラ〜


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