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2017-06

大山崎山荘と聴竹居〜大山崎のモダンライフ探訪ツアー - 2014.02.07 Fri

大山崎山荘美術館主催の「大山崎山荘と聴竹居〜大山崎のモダンライフ探訪ツアー」、聴竹居
見たさに応募し行って参りました!

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(大山崎山荘入り口)


大正から昭和初期にかけて、この大山崎の地に建てられたセレブな個人住宅が二軒、今でも残っているのです。大山崎山荘の方はいままでさんざん行っているし、特に非公開の茶室や広大な庭でおこなわれた春と秋の中国茶会は何度も行きましたし、もういいか、、と思っていたのですが、どうしてどうして!
(ちなみに中国茶会は昨年で終了だそうです。楽しかったのにな。残念!)


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(邸内の庭の水仙)


キュレーターの方のガイドを聞きながら見慣れたはずの邸内を見ると、いままで一体何をみてたのかしら?と思うほど、見所満載だったのね。


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この山荘を建てた加賀正太郎については今までもちょこちょこ書いてきたので、簡単に書きますが、大阪の財閥でここ、大山崎に土地を購入し、自分で設計、造園、などすべて仕切って山荘を建てよう、と決心したのが1911年(明治44年)。時に正太郎、なんと24歳!
そして増築を重ね、完成までにかかったのが10余年。なんと家に対するすばらしき執念ですね。


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この建物、一見イングランドのチューダー様式っぽく、木造にみえますが、実は鉄筋造り。地震対応の意味もあって、新しい建築の知識を欧州で得てきた成果。


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その後1960年代にこの山荘は加賀家の手をはなれ、一時会員制のレストランになったりいろいろあったようですが、買い取った不動産屋が更地にしてマンションにしようという、昨今よくある話がもちあがりました。これに対して大山崎の景観ともなっている山荘を守ろう!と住民がたちあがって、加賀正太郎と事業面で縁のあった(正太郎はニッカウヰスキーの筆頭株主だったことがある)アサヒビールが買い取り、美術館として整備、今に到るということです。

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よくぞこの建物、残してくれたものです。


展示室になっている部屋(もとダイニングルーム)は、いつもアサヒビール社長だった山本為三郎の民藝のコレクションを展示してあって(山本は柳宗悦らの民藝運動のパトロンだった←昔の社長さんは見識が違うわね)、何回となく見ているのに、キュレーターさんに内装の説明を聞くと、今まで一体何を、、、(以下同文)。先達はあらまほし。


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例えば、なにげに見ていたステンドグラスはイタリア産マーブルグラスで現代の日本の技術では造るのは非常にむつかしいとか、天井と壁の間の木枠の彫り込み飾りが、大山崎名産の筍になっているとか、元暖炉の上を飾る石版が実は後漢時代の画像石だったとか。そのレプリカを天井近くにはりめぐらせているのも、気づかなかったなあ。ドアの装飾は細かい彫刻で投網文様だったということも初めて気づいた。
照明1つをとってもほぼすべて正太郎自身がデザインしたとか。


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ダイヤモンド型のカットグラスになっている窓やドアのガラスは陽の光りがさすと、ほれこのように美しい虹をつくるんです。美しい光りのきらめきを見ながらお茶を飲んだり、本を読んだり、手芸したり、、、、ああ、ええな〜、憧れるな〜、、、なモダンライフ。


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忘れちゃならないのが二階のバルコニーからの眺望。桂川、木津川、宇治川の三川が交わる絶景です。八幡の背割り桜、今は枯木ですが見えるでしょうか?


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(アップ)


今はカフェのバルコニーになっているのですが、春にここに腰掛け背割り桜の行列を見ながらビール(もちろんアサヒね)を飲む、という宿願は昨年果たしました!


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あと、非公開の茶室(これは中国茶会で使われていたのでおなじみ)、まず普通は見ることのない山側からの山荘の眺めを見る。

今年も春には桜を見にここへまた来よう。今度は学習したことを念頭に、もっとじっくり建物を見るぞ( ̄^ ̄)ゞ



さて、お次は聴竹居。意外や意外、大山崎山荘からほんとに近い場所にあったんですねえ。知らなかった。徒歩でせいぜい5分!


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ここは一般公開はしていなくて、ゼミなどで申し込みをした上で保存活動ボランティアの方の説明付でのみ見学可なのです。


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ここを設計した京都帝国大学建築学科教授だった藤井厚二は、くしくも生まれが1888年、加賀正太郎と同じ年なんです。

建築環境工学の先駆者の一人といわれます。って、、「建築環境工学」ってようわからんのですが(^_^; 風の通り道を家中にはりめぐらして、その冷却効果を利用して夏に家全体を冷やすとか、とことん実際に実験して、冬日照をたくさん受けられ、しかも夏はそれを減らすことのできる屋根の勾配を計算してだしているとか、、、そういったことでしょうか。


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藤井はほぼ2年ごと計4回、実験住宅と称して自邸を建て、それを知人に譲り、また自邸を建てるということを繰り返したそうで、聴竹居は5件目、最後の家だそうです。(それにしてもよう家族が頻繁なお引っ越しについてきてくれたわね〜)

137㎡の家の30㎡をどかんと真ん中におくリビングにあて、どの部屋に行くのもリビングを経由して、、というのは今ではわりと普通だけれど、当時では珍しかったと思う。構造的にはさきほどの風の通り道が和室の小上がりの下にかくされていたり、天井に通風口があいていたり、見晴らしの良い一面ガラス窓のサンルームの隅に柱をなくした技術など、専門家が見たらさぞやおもしろいのでしょうね。


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(茶室棟)

しかも機能だけでなく、意匠が「和洋融合」がコンセプト。天井は網代だわ(しかも竹と杉のと部屋によって変えている!)壁紙は本来は和紙7枚重ねだわ、照明も和風(デザインは当然ながら藤井本人)だわ、なのにバリアフリーのフローリング。ちゃんと西向きの(西方浄土向き)上手にかくされた仏壇あり、神棚あり。

極めつけは引き戸のガラス窓。窓枠自体が上から見ると台形になっていて、しめると窓枠の太い部分ががっちりかみあってすきま風を通さない。しかもガラスを止めたマイナスビスはすべて木枠の向きと同じ方向を向いている、、というこだわりよう。

作り付けの家具を各部屋の隅に配置して、地震対策もばっちり!

台所には(料理人がいたそうです)じんとぎシンクの横にゴミのダスターシュートはあるし、当時まだ日本で数えるほどしかなかったスイス製コンプレッサーで稼働する電気冷蔵庫まで完備。

でも居心地はほんとよさそう。
ダイニングもリビングから丸見えながら、小上がり+袖壁でとても落ち着くし、なにより一番ええな〜と思ったのは読書室。作り付けの本棚、机は二人の子供(三人目はまだ小さかったのでナシ)にそれぞれ。ここにすわって勉強し、ふと目をあげればサンルーム越しに大山崎の景色を見晴らせる。こんな部屋があれば私だってもっと勉強したわ、きっと。


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藤井は建築の仕事もさることながら茶道、華道もたしなみ、窯まで造って陶芸もしていた多才な人だったらしい。天は二物も三物も彼に与えたのだが、かわりに寿命を奪ったようだ。おしいかな、49歳の若さでこの世を去った。
さきほどの読書室の子供の机の上に、藤井と妻、三人の小学生くらいの子供の家族写真がおいてあった。頻回な引っ越しにもついてきてくれた家族、楽しそうで暖かな家庭だったことがしのばれ、この家で彼らがどのように生活していたのか、ふと垣間見えたような気がしましたわ。


藤井厚二、嵯峨野二尊院にみずからデザインした墓標のもとに眠る。亡くなったあとのことまで仕事をした人だったのですね。



さて、この二大セレブのモダンライフが展開された大山崎には、あの待庵も駅前にあるのです。京都河原町から阪急で20分、機会があればおでかけください。そして大正・昭和のモダンライフの時代に思いを馳せてみてね。(^_^)b











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● COMMENT ●

聴竹居は一度行ってみたいと思っておりますが なかなか機会がありません。本当にお近くなのにねえ。

ひいらぎ様

聴竹居は地元の(?)ボランティアの人にささえられているようです。
建物の話をしだしたら、案内のボランティアの人、とまりませんでした〜。

あのガイドの方、いいですよねぇ。大好きです。
昨秋、社中のみんなで松花堂庭園、待庵、聴竹居を巡りました。
建築は見る人が見ると色んなことが見えるのですね。
Iさんのブログを見るとよくわかります(笑)。

relax様

ほんと!
建築の専門家が見たらあっちもこっちも見所満載で、また設計図も読み解くことができればさらにおもしろいのでしょうねえ。残念ながらそういう方面はあまりわからないので、雰囲気・情緒を楽しみました。

八幡のみどころを網羅されたのですね。仲の良いご社中でうらやましいです。


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