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2017-09

雛の茶事 - 2014.02.24 Mon


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西川。岡山市内を流れる小さな川です。子供の頃このあたりには大きな市場があって、廃棄用のおがくずの山の中からまだ食べられるリンゴを探し出したりしてよく遊んだ懐かしい場所です。今はきれいに整備されて面影もありませんがね。


高校の同級生で、大学は別れたものの以後も折を見てはいっしょによくすごした友人が、自宅での茶事に招いてくれました。どちらもさそったわけではないのに、大学時代に別々の場所で自然にお茶を習い始めたのも、考えてみれば不思議なことです。ええ大人になってから、お茶を通じての交流も加わわるとは、げにありがたきご縁かな。


お茶は私はけっこうブランクが長かったけれど、彼女はずっと続けて裏千家茶道教授の資格もお持ちなんです。(私なんか茶名とるのがやっとで、、、(^_^;  )
お客さんが3名に水屋が亭主もいれて3名と、なんて贅沢な!不肖わたくし、遠方から来たということで正客をつとめさせていただきました。


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待合の花。春咲寒芍薬と梅。岡山ですから花入は当然備前よ。

待合掛けは立ち雛なんですが、普通の立ち雛は正面を向いてしゃちこばっているのが多いでしょう?ところがこのお雛様、男雛も女雛も陽光の方を向いて、ふわふわ笑っておられます。きけば日本画の作家さんに描いていただいたという「ほうたれ雛」とか。「ほうたれ」は岡山弁で呆ける、、まあぼ〜っとしているとか陽気なとかいった意味でしょうか。拝見しているだけで春やな〜とおもわずこちらもほうたれそうになります。


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本席は釣り釜がゆらゆら。八千代棚は旅箪笥に似て、おもわず春の野遊びの風景が広がってきます。
釣り釜は炭出前の鎖の小上げ、大上げがあるのが風情。ご亭主丹精のきれいなさらさら湿灰。(私もこんなの作りたいなあ、、、)


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懐石は汁に大きな利休麩がはいるなど、ちょっと京風とちがうところがまたよかった。それに岡山は瀬戸内の新鮮な魚がとてもおいしいのんよ。
客3人のうち、のんべが約2名、燗鍋の酒を空にするという、、、、^_^;  
「お酒が千鳥の前に空になったのははじめて。」とびっくりされた。うしし。(ちなみに灘の男酒・剣菱)


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懐石をいただいている間に炭がきれいに熾ってきた。特に寒い間は赤々とした炭をみるのはなによりのご馳走。釜は小さめの釣り釜なのでかんかんに沸騰し、シュウシュウ松籟もよき音にて、これは後座の濃茶が楽しみだわ。



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主菓子は「桃の花」。ぎゅうひに白餡でとてもおいしかった!新進気鋭の岡山のお菓子屋さんの御製だそうで、最近の大寄せ茶会ではよく使われるお店なんだとか。

岡山は城下町で、江戸時代から茶の湯の盛んな土地なので和菓子もいいのが手に入るんです。速水流の初代宗達は岡山藩池田家に茶道指南として出張っていたし、幕末の有名な茶人・伊木三猿斎は池田家の筆頭家老だったし。(虫明焼は伊木家のお庭焼)

濃茶は彼女が学生の頃入手した大樋の黒楽で。当時の先生に、茶碗を買うなら良い物を、するとそれにみあった道具がひとつまたひとつとそろえられるから、と勧められて分割払いで買ったものとか。学生の身としては相当高い買い物だったと思う。よく勇気を出して入手されたなあ。

高い道具を買うのに、余裕がないわけではないけれど、茶の湯以外に使いようのない道具にそれだけ払って手に入れようと思うか思わないか、そこが茶人としての覚悟の差がでると誰かがおっしゃってたな。


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お干菓子もお雛様。千代に八千代に添い遂げよ、、、の千代結び。
主茶碗が時代の粟田焼(粟田はうちのほん近くよ)、古い物で翁・媼に松、帆掛け船。銘が「尾上」とくればこれはもう「髙砂」ですね。お雛様が仲良く歳をとったらこんな感じになるのかな、ということで使ってくださった。

   高砂の 松の春風吹き暮れて 尾上の鐘も 響くなり 謡曲「髙砂」

茶杓もめでたき「千代の壽」。

弘入の鮟鱇口の火入れ、橋村万象さんの桐唐草の曲げの建水など、心に残るお道具の数々。



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本席の花は珍しい寒菖蒲に紅万作、山茱萸。
御連客との話もはずんだので、それぞれ二服に白湯までいただいて、小さい雲龍釜は後炭で水をついだにもかかわらず、空に近い状態に。ここでもまた釜を空にする客って、、、、(^_^;


外はまだ風は冷たい日でしたが、陽射しは確実に明るく春めいて、雛の茶事はまことに楽しく、陽気におひらきとなりました。

お互いの若い頃を知る友人にさらに茶縁をかけて、佳き時を過ごす。これからも、もっと婆になるまでずっとずっとよろしくね。


    寒風に 春光よぶや 雛の笑み  (オソマツ)



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● COMMENT ●

 しぇるさんは「類は友を呼ぶ」ですが、私はまったく違う趣味趣向の友達の集まりも多く・・・・またそれはそれで、楽しく、「なるほど!」っと思うことも。それにしても、高校の友達が同じお茶の道を究められててお茶事に招いてもらえるなんて、素敵ですねぇ!茶花がとっても素敵!こんな風に活けられるお友達、尊敬です。

春がやってきましたね。
本当に卒業後の道は違っても 同じことをしているといい形でまた 一緒に遊べるのはありがたいことです。
若き日に友達だったということは 説明しなくても 自分のことを分かってもらえるので 本当に楽ですね。

珍しい花が活けられていて いいですね。
全てがごちそうです。

花咲おばさん様

そうですね〜。お茶友は芋づる式に増えていきますね。
でもお茶をやっている人もバックグラウンドは様々でいろんなタイプの方がいて、お茶の話だけでなく人生色々、おつきあいしていると楽しいです(^-^)
もちろん畑違いの人とのお話も楽しみです。

ひいらぎ様

卒業したときはこれほど長くつきあいが続くとは思いませんでした。
青春時代のいい想い出も悪い想い出も今はちょっと俯瞰して話題として笑い飛ばせる歳になりました。
卒業してもうウン十年たつのに、おしゃべりしていると高校生だったあのころに飛んで帰れます。
結局私たちあのころと中味はあまりかわってないのかもね(^-^)

初めて、コメントさせていただきます。私は消化器外科医で、岡山大学の出身ですので、大学院も含め学生時代、岡山で過ごしました。少し前の記事も含め、後楽園、丸善など懐かしです。最近、裏千家の先生にご指導受けるようになりましたが、このブログを手術の合間に拝読するのが何よりの楽しみです。茶の湯は初心者ですが、いつかこのような茶会にださせていただくようなチャンスがあるときに恥ずかしくないように、日ごろの外科医としての修練、茶道の修練を続け、人間的な奥行きを深めていきたく存じます。今後ともよろしくお願いします。

消化器外科医様

コメントありがとうございます。岡大医学部には同級生もたくさん行きましたので、もしかして知り合いの方もいらっしゃるかも、、、です。たまに帰省すると岡山の町はどんどんかわっていくようですが、それでも旭川、後楽園、表町の天満屋周辺、、、、あのころと変わらない景色も残っていて、行くと女子高生のころにもどってしまいます。

茶の湯を職業とせず、自分の仕事を日々こなしながら茶を学び、茶を励みにしてまた仕事に励む、、、「市井の茶人」という言葉がとても気に入っています。それぞれの持ち場で踏ん張ることが、お茶にも深みやひらめき、、などを与えてくれると思っています。ま、まだまだ道の途中ですがね(^_^;
茶友は貴重なので、今後ともよろしくお願いいたします。



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