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2023-10

春草の懐石茶事〜鳰の湖畔にて - 2014.04.11 Fri

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正面の山は三上山、またの名を近江富士と申します。学生時代はこちら方面に来ることも多く、なつかしい景色です。手前に広がるのは鳰(にお)の湖、そう、琵琶湖ですよ。


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この湖の畔にて、正午の茶事にお招きいただきました。
まずは前栽に咲きほこる春の花に圧倒されます。ご亭主の丹精のたまもの、今まさに「春は盛り」を実感。暑くもなく寒くもなく、良いお日和でございました。


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こちらのお宅は、邸内にも庭にもセンスの良い古いもの、古い道具が今にいかされてちりばめられているので、それもご馳走の一つでした。となれば当然お道具もどこかなつかしい時代のものがたくさんでてきて、目をたのしませてくれました。


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(ふつうバイモって小さいのしか見たことないので、こんなに大きく育ったバイモにびっくり!緑の指をお持ちなんですね)


腰掛け待合いでは、先ほどの前栽の花や花木を眺めつつ待つ。一面の花に囲まれてこれまた心地良い一時。桜ににたジューンベリーの木は花盛り。


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利休梅も清楚な白い花をたわわにつけています。他にチューリップ、ハナナ、ムスカリ、アリュッサム、アジュガ、、、そうそう、生垣がいろんな種類の椿で、こちらも今まさに盛り。春の奢りにむせかえりそうになります。あ、、蝶々も、、、

懐石はすべてご亭主おひとりの手作りです。
しかも山にはいって手づから摘まれたり、ご自分のこの庭の露地物であったり、の春草の食材を使っておられて、これがとてもうれしかったのです。

煮物椀に添えられたコゴミやワラビ(私はこういうのお店でしか買ったことがない!)、甘草(漢方の原料でもある)の酢味噌和えなんて初めていただく。とどめは最後の飯器にでてきた何かの芽のまざったご飯!
「何か当てて下さい。」とおっしゃるが皆目見当もつきません。

答えは、、、、リョウブの芽。名前こそ聞いたことはあれどんな木なのかさえ知りません。
昔は飢饉のときの非常食料として利用されたということです。ようするにご飯に混ぜて飯のかさをあげたりするのに使われたようですね。
リョウブ=令法という名は、救荒植物として育て蓄えることを法で決められたからという説も。
こういう話を聞きながらいただくほろ苦い春の摘草・芽はまた格別です。

他にも向付に氷魚(鮎の稚魚)、煮物椀に鯉の薄い切り身を油で揚げた物(これが全然なまぐさくなくておいしい)など、琵琶湖の恵みもたっぷりいただく。
小吸物には梅の天神さん(仁とよばれる種の中にある部分)。噛むと鮮烈な梅干しの味が。

主菓子もお手製の椿餅。椿のきれいな葉っぱはこちらのお宅にはたくさんありますものね。


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障子のとっぱらわれた「陽」の後座では、見えなかった窓の外のムシカリが紫陽花に似た花をさかせているのがぱっと目に入り、印象的。ちなみにムシカリの名前は虫が好んで食べるので虫喰われがなまったものとか。


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後座の花が先ほど食したリョウブの枝に、めずらしい延齢草。これもお庭から切ってこられたもの。
濃茶、続き薄と楽しくはずんだ会話を楽しむことができました。
御連客のお一人が言われた、「今まで全く違う人生を歩んできた者同士が、お茶というただ一つの縁にひかれて一座に同席できるのは、ほんとうにありがたく奇跡的なことですね。」という言葉に一堂深くうなづくのでした。


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お干菓子もお手製。なんとスミレの花の砂糖漬けも。


谷で水をくんで湯を沸かし茶を点て、裏の山や畑でその日とれたものを膳にのせる、、、、これってそういう佗茶人の極意を地でいっているのではないかしら。(私は懐石手作りは、、、、、(>_<)ゞトホホ)


そんなことを思った一座でありました。
ご亭主様へ、、、本当にありがとうございました。


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● COMMENT ●

またすばらしい茶事に行かれましたね。
料理もお菓子も手作りなんて 素敵な方ですね。

Unknown様

はい。
よき茶のご縁はどんどん続きます。
私もね〜、懐石を一人でちゃっちゃと作れればねえ〜、、、、(^_^;


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