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2017-10

八瀬童子ー天皇と里人ー 〜京都文化博物館 - 2013.01.11 Fri

EPSON001.jpg京都文化博物館開催中の(〜14日まで)「八瀬童子」展、行ってきました。
八瀬童子の特異な歩みを伝える資料(「八瀬童子関係資料」)が2010年に国の重要文化財に指定された記念だそうです。

そもそも八瀬童子とはなにか?

ネイティブ京都人でない私には聞いたことあるような気もするけれど???な存在で、展示もじみ〜な古文書のたぐいばかりなんですが、展示物の説明など読んでいると「かくれ里」の伝説みたいでいたく興味をそそられました。

八瀬童子は比叡山麓の八瀬(八瀬ちゅうたら八瀬遊園とか、窯風呂の話しかしらんかったし、、、)は閉鎖的な地理的条件もあって、1000年以上独特の村落共同体をつくって生活してきた人々のこと。
かつてよそからの人の流入も拒んでいたといいます。
(現在はまさかそんなことはないでしょうが、その伝統を守るため関係者によって社団法人八瀬童子会が組織されているそうです。)

平安時代のころは比叡山延暦寺の雑役や駕輿丁(輿を担ぐ役)を務めていたらしく、伝説では伝教大師が使役していた鬼も子孫とも。
寺役に従事する者は結髪せず、長い髪を垂らした「大童(おおわらわ)」の姿だったので童子と呼ばれたそうです。

はっきりその存在がわかってくるのは後醍醐天皇のころ以降。
1336年(南北朝のはじまり)京を脱出した後醍醐天皇が比叡山に逃れる際、八瀬郷13戸の戸主が輿を担ぎ、弓矢を取って奉護し、この功績により地租課役の永代免除の綸旨を受けたそうです。
それ以降、特に選ばれた者が輿丁として朝廷に出仕し天皇や上皇の行幸、葬送の際に輿を担ぐことが主な仕事となったとか。
「天皇側近の里人たち」といわれる由縁ですね。

のちに比叡山寺領に入会権を持ち、洛中での薪炭、木工品の販売に特権を認められた、とあるので日々の暮らしは主に農林業だったようです。

今回の展示は、そのほとんどがその嚆矢である後醍醐天皇を皮切りに代々の天皇の綸旨もしくは綸旨案です。
ちなみに綸旨とは蔵人が天皇の意を受けて発給する命令文書。
「八瀬の里人には地租、年貢は一切免除する」という簡単な文面ながら、これは里人にとっては大事な保証書のようなものだったはず。

この綸旨はどれも煤けた、というか薄汚いといえなくもない灰色の紙に書かれているのですが、これは、薄墨紙とよばれるリサイクル紙なんですって。だから墨の色がまじってこんな色!
後に綸旨には薄墨紙を用いるのが慣例化したので、薄墨紙を「綸旨紙」、綸旨自体を「薄墨綸旨」とよぶようになったそうです。

年代を追っていってみると、途中で役人(蔵人)もだれてきたのか、ほとんど前例文書き写しという感じで、最初の頃威厳のある流麗な文字も、私でも判読できるくらいの楷書体になってきて、時代のうつりかわりよのう、、、と。

さて、織田信長ですら八瀬郷の特権の安堵状をあたえたくらいですが、かれらものほほんとそれに甘えていたわけではありません。
近隣の村との結界争いは度々あったようです。
一番大きな事件になったのは延暦寺との境界争い。

政治力のあった天台座主が幕府に八瀬郷の入会権の廃止を認めさせたのです。
これは八瀬郷の人たちの生活基盤を根本的におびやかすものでした。
これに対し八瀬郷は再三にわたり幕府に復活を願い出るが認められず、宝永4年(1707年)になってようやく老中秋元喬知の裁定で八瀬郷の入会権は回復されたとか。

八瀬郷はこの恩に報いるため秋元を祭神とする秋元神社を建立し徳をたたえる祭礼、すなわち「赦免地踊」と呼ばれる踊りの奉納をしているそうです。(毎年10月の第2月曜日の前日にあたる日曜日)。

展示の最後はその秋本神社の四季のパノラマ大写真と、その赦免地踊りの華やかな意匠と、みごとな切り紙細工の切り子灯籠。
いままでのじみ〜な展示とうってかわって、これは美しい!
祭のVTRもありました。
赦免地踊をするのは10代前半の男の子なんですって。
彼らが化粧を施され、刺繍の豪華な衣裳に身をつつむとなにやら妖しい神々しさがでてきます。(私は決して腐女子ぢゃありませんよ)
これはいちどリサーチにいってみなければ。

近代においては、
明治元年、明治天皇が初めて江戸に行幸した際に八瀬童子約100名が参列。
大正元年、明治天皇の葬送にあたり、八瀬童子を葱華輦(天皇の棺を載せた輿)の輿丁とする慣習が復活。
昭憲皇太后葬儀に参加。
昭和元年、大正天皇の葬送に参加。
明治維新後には地租免除の特権は失われていたそうですが、毎年地租相当額の恩賜金を支給されていたそうです。

ところが平成元年、昭和天皇の葬送では棺は自動車によって運ばれることとなり、葱華輦は式場内の移送にのみ用いられることとなり、八瀬童子会は旧例の通り八瀬童子に輿丁を任せるよう宮内庁に要請しましたが警備上の理由から却下されたそうです。
これに対して八瀬童子会の悔しさ、悲しさは、落胆ぶりは尋常ではなかった、、、とどなたかのブログで拝見しました。村をあげての誇りの仕事だったでしょうから。
やがて、こういうミステリアスな集落の伝説も消えていくんだなあ、、と少しさびしいです。

ちなみに冒頭のポスター写真は、明治天皇大喪奉舁参観図をデジタル処理できれいにしたものだそうですよ。

(参考)「天皇の影法師 」 猪瀬直樹・著
  (あら、オリンピック招致だけやってるわけじゃなかったのね^_^;)



(おまけ)行ったらこんなかわいい次回展示の割引券いただいた。栞にしよう

P1010976.jpg

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● COMMENT ●

こんばんは、しぇる様

遅ればせながら、新春のご挨拶を申し上げます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
新しい御ブログにご挨拶をなかなかできませず、申し訳ございませんでした。
拙リンクも、PCが直り次第致しますね。
あらたまの年が、しぇる様、ご家族の皆様にとって良い年でありますように。

八瀬童子の展覧、気になってまして!!
やはり面白ろそう!時間を見つけて行ってこようとおもいます。

いけこ様

こちらこそ、おくればせの新年のごあいさつ、おめでとうございます。
昨年は怒濤の1年でしたが、見事のりこえられましたね。
今年はきっといけこ様にもご家族にも良き年になること、まちがいありません。
本年もよろしくおつきあいくださいませ。

八瀬童子展、正直あまり期待せずにいったのですが、見応えがありました。
その日、他の美術館できれいなものの展示もたっぷり見てたのしんだのに、心にず〜んと残ったのが八瀬童子展でした。
会期末まであとわずかです。おいそぎを〜!


資料の内容が良さそうな展示なので、行く予定でいたのですが、忙しくてうっかり忘れるところでした。中世史でも大事なテーマなのに。14日で終わりなんですね!ありがとうございます。

キレミミ様

中世史では有名なテーマなんですね。私はほとんど知識がなかったですが。
でもミステリアスな隠れ里、、、という感じで心ひかれました。
赦免地踊り、今年いけないかなあ、、、

シェルさんのブログで、八瀬童子の意味が少し理解できたような気がします。童子というくらいだから、子供のことなのかと思っていました(これじゃ1級はムリですね^^;)
赦免地踊りはDVDで何度か見ましたが、あの切り絵にはびっくりしました。
あれだけ繊細な線を切り刻むのは大変なことですよね。
またお勉強をさせていただきました。ありがとうございました。
自分で見にいきたいな~

こまち様

八瀬童子がいったいなんなのか、これを見るまで全然見当もつきませんでした。
というわけで私もお勉強しましたわ。
赦免地踊りは10月ですよ。お泊まりになれればご覧になれると思います。
私も今年、ひそかにねらっております。(10月までおぼえてられるかな〜、、、、)


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