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2017-04

野村美術館講座〜「近代数寄者の流れ」 - 2014.10.05 Sun

今回の野村美術館講座のテーマは「近代数寄者」。なんとなれば演者は最後の近代数寄者であった北村謹次郎コレクションの北村美術館館長の木下収先生ですから。


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木下先生の博覧強記ぶりはすばらしかったが、私のトホホな記憶力が追いついていかないので、要旨をまとめてみたが、落としたところも間違えているところもあるかもしれません。が、、、、とても面白かったのでとりあえず書く!


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近代数寄者と聞いて思い浮かぶ名前は、益田鈍翁、高橋箒庵、根津嘉一郎、小林一三、原三渓、五島慶太、松永 耳庵、畠山即翁、、、、といったあたりか。
そもそも数寄者とは、、、「数寄とは僻愛の心なり」とおっしゃったのは近代大阪最大の文化人といわれた平瀬露香(1839~1908)先生。関西における数寄者の嚆矢とか。

維新のごたごた、廃仏毀釈など西洋文化にかぶれて日本の伝統文化・美術がうち捨てられていた時代、没落した武家はそれまで所持していた美術品・名物道具を売り立てに出さざるを得なくなった。反対に台頭してきた財閥たちはまだ茶を楽しむ余裕があり、これらを買いあさったため、門外不出の名物のシャッフルがおこったわけですね。(一部は残念なことに海外に流出してしまいましたが)


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で、彼らはゲットした美術品をみせびらかす場所として茶事茶会にとびついたわけです。益田鈍翁などは弘法大師の「座右銘」の一巻を手に入れたのを見せたくて大師会を作ったらしいし。

井上世外(馨)が、一束三文で売り立てられた東大寺四聖坊の名席八窓庵を買い取り、東京に移築、明治20年明治天皇の行幸茶会が開かれるにおよんで自国文化への回帰へ火がついた。つぎつぎと近代数寄者の道具コレクションに拍車がかかった。

ところがところがその時代もそんなに長くは続かない。明治38年日露戦争でお金を使い果たした政府は税制改革にのりだす。近代数寄者あやうし、没落のはじまりのはじまり。


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時代が進むにつれ、世間は官僚主導型システムへ、すすむ没個性化、個人より組織へ(家元制度の確立)、世代交代、長く持って昭和15年にはすでに終焉へ。

この時代、数寄者の残滓として最後にきらめいたのが関西では松下、正木、湯木、細見、そして北村謹次郎さんあたり。


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戦後はご存じ財閥解体、近代数寄者は終焉の時をむかえた。しかし、数々のコレクションの散逸をおそれ悲しんだ彼らの中には美術館をつくってそこにコレクションを寄贈する,という形で守った方々も多かった。北村美術館もそうだし、根津、五島、畠山、野村、小林、、、なども。

おかげでわれわれ庶民も名物の数々を拝見することができるわけだが、彼らには葛藤があったという。美術館へおさめられると、それはガラスの向こうの物になってしまい、人の手に触れて使われる物ではなくなってしまう。新たな数寄者の手にほんとうは引継ぎしたかったのだろうが、時代はそんな数寄者がサバイバルするのを許してはくれない。


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まとめとして近代数寄者の功績。

入ってきたばかりの西洋文化だけでなく、古来の日本文化も重視したこと。
仏教美術や古筆などもとりこんで、茶の湯を美術鑑賞の場として日本伝統文化の中心に据えたこと。

これは見識だなあ。

残念なことにその日本伝統文化の集大成である茶の湯が、現在大方の日本人にとって間口の狭い物になってしまっている。畳や急須のない家が増えているのも日本文化にとって先行き真っ暗かもよ。


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最後に平瀬露香先生の印に彫られた言葉をご紹介。

  「集散常相願販同好」

(道具が集まったり,散逸したりするのは常のこと、でも願わくば同好の志の手に渡って欲しいなあ、、)


もしあなたが良き御道具を手にされたら、それを愛でてきた多くの持ち主たちの僻愛の心を思って下さい。そして大切に次の持ち主は選んでね!





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● COMMENT ●

乾豊彦

関西の数寄者さんに乾豊彦さんも入れてあげてください。
彼は別格です。

N様

わ、わ、わ、、、
浅学にしてそのお名前を存じませんでした。
たぶん木下先生の講義には出ていたと思います。頭が「知らん名前」と、受け付けずスルーしたようで、、、
勉強いたします。

乾汽船のオーナーかな。

ヌーチャン様

そうそう、そのようです。
ゴルフ界でも有名な方のようですが、湯木貞一との交流もあり光悦会にもからんでいたお人のようですね。

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鍵コメ様

メルアドの件、了解しました〜!\(^O^)/
ご案内、ありがとうございます!

こんばんは

この前日本に帰った時に、中学校での茶道講演を見学しに行ったことを思い出しました。
その時に「床の間」を知らない、見たことも無い子供が半分近くでちょっと愕然。
時代とはいえ寂しいものがあります。

お餅のお菓子、とっても美味しそう~。

cox様

床の間を始め、襖、障子、長押、欄間、、、いろいろと死語になりつつあるようで。(^_^;
でも、逆にそういうのが物珍しくてクールという若い人たちもいるので(まるで外国人だな)、そこらへんが茶の湯の底辺をひろげる切り口にならないかな、とも思います。

乾豊彦さん

乾豊彦さんは、兵庫県にあります廣野ゴルフ倶楽部と小野ゴルフ倶楽部の初代理事長です。私は小野GCをホームコースとしていますが、華美な装飾が一切なく、クラブハウスも平屋の山小屋風です。乾豊彦さんはいろいろな面で偉大な方であったことは間違いありませんが、茶人としての側面は存じ上げませんでした。小野GCのクラブハウスや初代理事長から脈々と受け継がれている理念を考えれば、相当な茶人であったということは十分に納得できます。

消化器外科医様

乾さんは調べてみるとゴルフ関連のことが主にでてきて、茶人としての姿がいまいちよくわかりません。地元の方でもご存じありませんでしたか。
以前から今時の社長さんはゴルフばっかりに時間とお金を費やして、昔の財閥みたいにお茶の教養がないのはなげかわしい、、、と思っていましたが、乾さんに関する限りそれはあてはまらないようですね。ゴルフとお茶って両立するんだ!

ゴルフとお茶の両方に堪能な人に、日商の高畑誠一さんがいますね。

辻留(辻嘉一さん)の「包丁余話」の中に乾山竜田川という文章があり、そこに
「お若いのに珍しく、古式の茶事がお好きで、とりあわせも渋くて余韻があり、大茶人の
風格を備え、厳粛なお茶事をなさいました。」
とあります。ただ、ネットではそう簡単に事績を探せるような人物ではありません。
千草屋平瀬露香さんの「集散常相願販同好」を実践された数寄者さんです。

N様

よくご存じですね〜(^◇^;)
スミマセン、私高畑さんも存知あげなくて、、、
こういう方々は本業がりっぱなので、そちらの方ばかりが喧伝され、茶の湯者であったことは二の次三の次になるのでしょう。そうですか、つい最近まで近代数寄者の系譜に連なる方はおられたのですね。庶民にはお知り合いになる機会は皆無ですけど、、、(^_^;

高畑清鴨庵

乾豊彦さんは不鬼庵(乾山軒とも)、高畑誠一は清鴨庵と言っていたそうです。
ともに湯木貞一さんなどと親しく、定期的に茶事をされたそうですが。
その関係で高畑誠一所蔵の茶道具の名品が湯木美術館に結構所蔵されています。
高畑の孫さんが館長をされていたかと思います。
前に書きましたように乾さんは求道者のような厳粛なお茶事を好まれましたが、
高畑はロンドンに駐在し、松方コレクションの形成時の購入資金の調達に尽力するなど
西洋美術に造詣が深く(これも乾豊彦さんと同様ですね)モダンな道具立ての茶事をされたようです。
現在でも、自力で重要文化財を3点購入しお茶事を楽しまれている人もおり、
数寄者はいまなお健在ですが顕現していないだけですね。
現在の中埜又左衛門さん(ミツカン酢)なんかそうですよね。

N様

貴重な情報をたくさんあありがとうございました。
(それにしてもほんと、よくご存じでいらっしゃる!)
湯木の館長さんが高畑氏ゆかりの方というのも現代の数寄者のつながりがみえるようです。
数寄者は現代にもひっそり(?)かどうかはわかりませんが、生きておられる、というのはよくわかりました(*^^)v


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