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2017-06

大炉の茶事〜瓢亭の懐石を再現する - 2013.02.03 Sun

若くてやる気と才能のある料理人さんが、表(千家)であれ、裏であれ懐石ができるように勉強したい、という意気込みにS庵様が共鳴して、12ヶ月、瓢亭さんの懐石を再現する茶事をされることになったそうです。

その記念すべき第1回目、大炉編にご縁あって光栄にもお招きいただきました。

P1020219.jpg

待合で初対面ながら、茶の湯の道に足をどっぷりつけている者同士、の同志(^_^;)4名様とごあいさつして、腰掛け待合へ。こちらでは吉田神社の福枡が煙草盆に(*^^*)
露地の風情も茶事の楽しみ、広いお庭の一部を露地にされているのですが、植栽はなんとS庵様自らされたとか。

そして席入り。
大炉は逆勝手なのですが、客は本勝手と同じようにふるまってよいとされます。
(いや、大炉のあるお家なんてそうそうありません。すごい。)

P1020222.jpg

軸は近衛信尹(三藐院)の渡唐天神。
三藐院といえば松花堂昭乗、本阿弥光悦とならぶ寛永の三筆の一人、、というのは知っていましたが、改めて調べてみるとこの方、公家にしては型破りの生き方をした方のようです。
秀吉の朝鮮出兵の際、自分も朝鮮へ渡ろうとして(公家としての昇進にあきらめをつけて武家として武勲をたてようとしたらしい)後陽成天皇の勅勘をこうむり、薩摩の坊津に流された。
その折りにこの渡唐天神(よくみると「天神」という文字がおりこまれている)の絵を100枚描いたそうで、そのうちの1枚なんですね。
本来美術館級のものではありませんか!

ちなみに渡唐天神は今月の「淡交」にも載っていましたが、天神様が禅宗を学ぶのに一夜で唐に渡り、径山の無準師範に参禅し法衣をさずかった、という伝説による画題。(多くは唐衣を着て梅を一枝持っている)
朝鮮に渡ろうとして渡れなかった三藐院が、一夜で唐までいった天神さんをうらやんで描いたのでしょうか。

    唐衣 折らで北野の神とぞは 袖に持ちたる梅にても知れ

そして大炉には雪輪瓦(これも何代目かの楽だった)、大ぶりのかせた釜肌がとっても良い感じの釜が、、、

ええ〜っ!!?
*与次郎ですって〜w( ̄▽ ̄;)w     (*利休時代の釜師)

ご縁あってS庵様のもとへ来た釜だそうで、その人脈すごくないですか?
せんだって与次郎釜を大西清右衛門さんとこで見せてもらって感激していたのですが、なんとそれでお茶を点てていただけるとは!そのうえ叩き出しで成形しているので(与次郎時代はみんなそうだった)軽い、という蓋も持たせていただく。
とても大ぶり、とてもどっしり(実際重いらしい)、そしてシンプルなんだけれど王道を行くフォルム、そして出過ぎない。
こうやって次々とその価値がわかる人の所へ伝わって行く、というのは釜にとっても幸せなことだと思います。
よいところへ来られましたなあ。

お水も徳島・眉山麓の瑞巌寺の名水をわざわざ汲んできて下さったそうです。感謝。

P1020383.jpg


さて、大炉は炭出前が独特でこの季節にしかでませんので、お稽古も1年に1回しかできません。
とくに後炭は焙烙をくるくる回す所作がこの季節ならでは、の風情があってよいのです。
大炉の炭出前が拝見できる、というのは願ってもないことで、しっかり本で予習して拝見したのですが、S庵様、あまりにすらすらとなにげにされてしまわれるので、あれ?いつのまにおわったの?

利休の点前は点て始めから終わりまで少しも目立ったところがなくすらりすらりとした点前だった、というアレでしょうか?後座の濃茶しかり、薄茶しかり。
「若輩です。」とご謙遜なさいますが、とんでもございません。S庵様、実は若きご住職、初座にては袴姿、後座にては墨染めの衣、なんというか風格がありますなあ、、、

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なかなかさわらせてもらえる機会のないようなお道具がたくさん出てくる中、ほっとさせられたのがこのお干菓子。あの好日居さんの茶会でもおなじみ、日菓さんのもの。(日菓さんのかわいい和菓子、この1年雑誌「なごみ」の内表紙を飾るので、ますますメジャーになるなあ)
節分ですからね、鬼の金棒と、、、鬼の虎皮パンツ!

茶入は古瀬戸、棗は八代宗哲(玄々斎の頃)の梅花棗、茶杓は濃茶が玄々斎「真鶴」、薄茶が淡々斎「竹生島(弁財天が祀られている。巳年にちなみ)」、、、(以下記憶しきれず。)

さて、最後にすばらしかった懐石についても述べておかねば。

P1050384.jpg

瓢亭さんが出している懐石の本に従い、材料も忠実に産地をなぞって作られたそうです。
今回は2月の献立。
(若干記憶に問題あるところもあるかもしれませんが、、、)

汁:自然薯 白味噌仕立て (自然薯の口触りがとてもまろやか)
向付:蟹 
煮物椀:おこぜのまる鍋仕立て 焼葱 (おこぜってこんなに淡泊でおいしいんだ)
焼物:ぐじの西京漬 (味噌なしでもほんのり甘い。甘鯛ともいうのはこういうことか)
強肴:海老の米衣揚げ (衣がぱりぱりの、あのおこげさんの感触)
酢物:帆立、野菜のウニ和え (ウニがとってもクリーミーでおいしかった!)
八寸:子持昆布、蕗の薹(このほろにがさが、口中さわやかにしてコースの中でいいアクセントになっていた)
おまけ:このわた (鮮烈な磯の香り、ついついもう一杯酒持ってこい状態)

お酒は新潟・宮尾酒造さんの〆張鶴。
淡麗にして何杯もいただいてしまいました。
この盃がまた何代目かの宗哲で、懐石道具も酔っ払っている場合じゃないものが次々と、、w( ̄▽ ̄;)w

懐石の流れは瓢亭さんをなぞったとしても、それなりの腕がなければここまではできません。
聞けばこちらの地元でなかなか予約のとれないお店をだしておられるとか。納得です。

S庵様にしても、この板さんにしても、お二人ともお若いのに、茶の湯に料理に熱いものをもっておられる。
これからこの世界、こんな方がおられるとは、ほんとうに頼もしい限りです。
そしてその若さがまぶしい、というかうらやましくねたましくさえ感じるのでありました。
おばさんとて、これは負けてはイラレナイ。

片道約3時間、遠く馳せ参じましたが、その甲斐がございました。
これもまた茶の湯がつないでくれたご縁、ありがたい限り。

P1050385.jpg

S庵様のご家族もバックアップしてくださったようで、これも感謝です。

帰りにお庭の水仙をたくさん、お土産に頂戴しました。
玄関を開けると水仙の芳香がむせるほどで、これまた楽しんでおります。
ありがとうございました。

残り11回、瓢亭茶事、さまざまに趣向を変えて計画されておられるようです。
産みの苦しみはありましょうが、がんばってくださ〜い(^-^)ゝ


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● COMMENT ●

う〜ん すごいです!
いいご縁でしたねえ。
そういえばしぇる様の会ったことがある方の釜もたたき出しの釜でした。私のような素人が見ても古くてよさそうでした。
その時代はどれもそうだったのですね。
天気もよかったし お茶をしていてよかったと思える一座でしたね。

ひいらぎ様

茶縁とでもいいましょうか、これからも大切にしていきたいご縁です。
そのためにはなにより、自分自身もまた磨いてゆかねばなりません。
(最近はちょっとへたれてますけれど、、、^_^; )

立派なお道具と美味しいご馳走の素晴らしいお茶事ですね。ご亭主も料理人さんも志が高く、またお客様もそれを理解なさる方々で一座建立の様子が伝わってきます。それにしても、どうしてそんなスゴイお道具をたくさんお持ちなんでしょう!

野村美術館では30周年記念で特別展を行うそうです、ご参考まで。
「碧雲荘見学 及び 開館30周年記念名品展Ⅰ鑑賞」のご案内
http://www.nomura-museum.or.jp/

そらいろつばめ様

お道具はねえ、やはりそれにふさわしい方の所へ行くとおちつくんだと思います。不相応なものは持っても使っても、道具が生きないような気がします。まあ私の場合は身分相応ですので、そんな道具で気合いだけは入れておもてなししますわ。
それにしても世の中、まだまだ広い。佳き茶人さんとの巡り会いはとてもうれしいものですね。

しん様

ありがとうございます。野村の学術講演会に入会しているので、そのイベントがある、というのはしっていたのですが平日ですか〜、、、、、とほほ(ノ_-。)

しぇるさん、こんにちは

素晴らしい茶事を体験、体感されましたね^^

御話を伺っていて

「利休にたずねよ」の

信長に、茶懐石を振舞う

宗易(利休)の、シーンを思い出しました^^

高兄様

今でこそ利休は茶聖ですが、悩める若いときもあったはず。
なんとなく若きお茶人さんに姿を重ねたりして、、、(^^)
歳はくってますが、私は風格で完敗です。


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