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2017-08

故全日根茶碗展茶会〜なにもいらん なにもしらん、、、 - 2014.11.26 Wed

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   「なにもいらん なにもしらん ただかぜにまかせ」


本席に掛けた全さんの額、この前でしばし声も出さずじっと対峙されていたお客さまがおられた。

これが今回の茶碗遺作展のテーマすべて、、、かもしれない。


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縁あって1年前、うちに来た茶碗が全日根(チョン・イルグン)さんの安南写しだった。安南によくあるトンボの染付なのだが、なんともとぼけた味で,土色はあたたかく、不自然でない古色、手の中でころがしているとなんとなく「ふふ、、、」と笑いたくなるような味があった。安南写しであって安南を越えている、、、それが全さんの陶器との出会いだった。


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だから実は生前の全さんを存じ上げない。3年前の11月19日(奇しくも宗旦忌!)60余歳で急逝されたからだ。生前ご家族とも交流のあった下鴨の川口美術のご主人のお話や、雑誌などで拾った記事などで、どんな方だったのか想像するのみ、というのは残念である。


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その川口美術さんが、遺作のなかから主に茶碗+他の茶陶展をひらかれるにあたって、茶碗ならば、茶碗として使ってる状態を見ていただくのが良かろうと、5日間、場所を変え、亭主を変え、趣向も変え茶会をひらかれた。ご縁あって、そのうちの一席を拙宅にてさせていただいた。



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全さんは京都生まれの京都育ち、最初画家をめざしたが後に陶芸の道で生きることにされた。三重の山奥にご自分で窯を築き星山窯と名付ける。そして手本にしたのがルーツである韓国・李朝の器たち。刷毛目や粉引、三島、堅手、、、日本の織部なども。それを写すだけでなく彼流に解釈。それが独特のとぼけた味わいになっていると思う。どれも見るとふっと肩の力がぬけて、にやりとしてしまうような。


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今回の展示にはなかったが、木俑(木の人形 、かつて韓国で葬礼で棺に飾ったもの。当時の風俗がよくわかる)を陶器で作ってみたら、、、というコンセプトの陶俑、李朝時代の普段着の老若男女の姿の人形もなんとも不思議な魅力にあふれていたっけ。


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今回、茶会では釜や茶器以外はほぼすべて全さんの作品を使わせていただいた。なんとも贅沢なことである。最初お話しをいただいた時、軸をどうしようかと迷った。禅語などの軸は堅苦しすぎて全さんの作品の雰囲気にあわないし。一時画家をめざされた、ということでなにか絵でもお持ちではないかと川口さんにおたずねすると、ある、とのご返事。


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そこでみせていただいて迷わず冒頭のこの額をかけさせていただいた。

この前で感動されたお客さまは実はこの言葉をそのまま献げたいような、体現されているようなお方。なにか響き合う物があるのでしょうか。私はその感動されている姿に感動した。

これは「無一物中無尽蔵」をわかりやすい言葉におきかえたものやなあ、、とおっしゃる。なるほど。


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花器は本来予定していたものがあっさり売れてしまった!ということで当日急遽変更。山奥に窯を焚きながら暮らしていた全さんが、ふらっと山に入って花を取ってきて、投げいれた、、、という風情にしたつもりだったが、「全さんへの手向けの花になっている。」と言われはっとする。亭主が意図した以上をくみとってくださってとてもうれしい。



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お茶は濃茶と続き薄で亭主としては楽しく遊ばせていただいた。


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茶席に出した茶碗は裏に値札がついたものもあり(はがすのがめんどうだったので)「ちょっとがんばれば手が届く値段ですね。」と、お客さんと大笑い。実際茶席のあとお店へ行って、お買い上げくださった方もおられた。


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この5日間の茶席で、当日使用する全さんの菓子器にあわせてイメージをふくらませ、それぞれ日替わりでお菓子を作ってくださったのが、御菓子丸の杉山さん。(日菓さんのお一人。御菓子丸のコンセプトは人工添加物を使わないお菓子)

搔き落としの食籠の蓋の紋様から、彼女がイメージした主菓子がこちら「水雲」。

「空のような水のような景色に花のような雲のようなものがうかぶ。水に映った雲をあらわしました。」
薄い紅色は紅花から取った色。


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干菓子が「琥珀の実・柿」。

「古代食べられなかった柿がそのまま化石になりました。古代人からの自然の贈り物です。」

見た目もかわいらしく、とてもおいしいお菓子だった。他の日もそれぞれすてきなお菓子だったらしい。


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三席させてもらったが、それぞれ席の始まる前か後に川口さんがお客さんに、全さんについて熱く語られる。(お釜の煮えもよいので亭主としては早く始めたいんだがな〜^_^; と思いつつ拝聴)楽しいエピソードのご披露なども。

全さんが、作陶に精進され、いよいよ故郷である京都に錦を飾って帰る自信がついた。だから京都で個展を開く場所、として川口美術に打診があって以来10年以上のおつきあいだそうだ。あまりに突然に逝かれてしまった時にはさぞ茫然とされたことだろう。


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これからもう全さんの作品は増えないのだ、と思うととても残念だ。できればその作品は、それを愛でてくれる似つかわしい人のところへ行って欲しいと思う。


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そして川口美術で初めて全さんのお写真を拝見する。それまで見たことがなかったのだ!まあ、なんて男前、、、(^_^; いや生命力あふれた方だったのだろう。縁あって、うちにきた作品は大切に使わせていただきますね。



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そして、貴重な機会と、佳き人々とのご縁を与えてくださった川口さん、1日水屋でつきあってくれたF太郎君に深く感謝いたします。





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● COMMENT ●

素晴らしい作品と雰囲気に包まれて 特にあの床の言葉は 心に染み渡るものでしたね。
このような会を催して下さった川口美術さん しぇるさん Fさん ありがとうございました。
そして ぽっかり浮かんだ雲 素敵な干菓子を作ってくれたお菓子丸様ありがとうございました。
私も生きていた全さんにお目にかかりたかった。

ひいらぎ様

お目にかかったこともないのに、なんだか全さんがのりうつったような気がしました。
おかげで終わった後はぬけでたので(^◇^;)ぐた〜〜っとしました。


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