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2017-04

合槌稲荷〜謡曲「小鍛冶」 - 2015.02.25 Wed

神宮道から東の三条通。昔はここを京阪電車が地上を走っていました。日に日に三条通沿いの多くの町家が壊されていく中、このあたりはまだがんばって残っています。



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通り過ぎそうになるけれどここに合槌稲荷さんの鳥居があります。



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お向かいは(私が準氏子であるところの、、、、と勝手に思っている)粟田神社。旧東海道の京への入り口の1つ、粟田口。ここを過ぎるともう山科、大津の気配です。



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少し西には肉の荒井亭。注文してから揚げてくれるスパイシーなコロッケがおいしいところ。お行儀云々はおいておいて、これは食べ歩きがよろしゅうございます。

さて、最初に合槌稲荷、、、と聞いてなんのあいづちを打つのだろう???と思っていました。まあ、地元のマイナーな神社かな?と。


aiduti
(一昨年の粟田神社大祭の写真)


粟田神社の秋の大祭にはたくさんの大灯呂(ねぶたの小さい奴と思ってね)がでますが、そのなかに「合槌稲荷」もあって、かわいい子狐を親狐がくわえているのがとてもラヴリーなのです。

なので色々調べてみたら、な、、な、、、なんと!謡曲の世界ではメジャーな神社ではありませぬか!!



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能・「小鍛冶」にでてくるお狐様の社だったんですね〜。

簡単にあらすじを書きますと、、、


ある日夢のお告げを受けた一条天皇(紫式部、清少納言の時代の帝)は刀匠として名高い三條小鍛冶宗近に剣を打つよう命じます。

宗近は、自分と同様の力を持った相鎚を打つ者がいないために打ち切れない、と訴えますが、聞き入れられず、氏神の稲荷明神に助けを求めて参詣すると、不思議な童子に声をかけられます。

童子は、剣の威徳を称える中国の故事や日本武尊の物語を語って宗近を励まし、相鎚を勤めようと約束して消えていきました。

家に帰った宗近が身支度をすませて鍛冶壇に上がり、礼拝していると稲荷明神のご神体が狐の精霊の姿で現れ、「相鎚を勤める」と告げます。先ほどの少年は、稲荷明神の化身だったのです。



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(「能百十番」より)


カッコイイ!稲荷明神さん。


明神の相鎚を得た宗近は、無事に剣を鍛え上げ、名剣「小狐丸」を帝に献上できたのです。



ちなみに三條小鍛冶宗近は長刀鉾の鉾を打った人らしいです。


さて、その合槌稲荷さんを拝みに、鳥居をくぐってみましょう。



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あり?


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ありあり??
一体どこに神社があるのでしょう???

民家があるだけ。鳥居だけで御本体はもうないのかしら、と回れ右。


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あきらめてさきほどの荒井亭さんでお肉を買って、脇の細い道をぷらぷら歩いていると、、、おおっ!!
あれなる社はもしやもしや。



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あわてて引き返し、さきほどの行き止まりと見えた民家の奥へ歩を進めると、矢印が!!


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ありました、ありました。
合槌稲荷さんのお社が。

有名な謡曲の題材ながらわりとつつましやかな境内です。合槌を打った明神さんの名残はまったくありませんが、



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だんだん日も暮れてくれば、お使いのお狐さんの人形もなんだかにやっと笑っておられるようで、やはりここは神域。そろそろ帰りましょう。




教の鎚をはつたと打てば
ちやうと打つ
ちやう/\/\と打ち重ねたる鎚の音
天地に響きて。おびたゝしや
かくて御剣を打ち奉り 表に小鍛冶宗近と打つ
神体時の弟子なれば 小狐と裏にあざやかに。
打ち奉る御剣の 刃は雲を乱したれば 天の叢雲ともこれなれや
天下第一の 二つの銘の御剣にて 四海を治め給へば 五穀成就も此時なれや
即ち汝が氏の神 稲荷の神体小狐丸を 勅使に捧げ申し これまでなりと言ひ捨てゝ
又群雲に飛び乗り 又群雲に飛びのりて東山稲荷の峯にぞ帰りける







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● COMMENT ●

合槌稲荷さんと謡曲『小鍛冶』のつながり…まったく知りませんでした。いえ、知っていたのは、三条通りのあのあたりに可愛らしい鳥居があるなぁ・・ということだけでした^^;
詳しく解説していただいた御蔭で、こんな素敵なお話を知ることができて嬉しいです。
しぇるさんの文章を読むうちに、利発な可愛い男の子が健気に合槌を打ってる姿もイメージされて、なんとも爽やかな気分になりました。

鳥居をくぐった先の民家の路地…やっぱり初めてだと、ここでブレーキかかっちゃいますよね
*^^*

chigusa様

私も全然シラナカッタ、、というか「小鍛冶」も実はようしらなんだ。
そういう歴史的なスポットとか碑とか、京都には山ほどありますね。
興味を持って調べたらきっとおもしろいものがざくざくに違いない。
なんにしても知識を豊かにすることは人生を楽しくするものですね。がんばろう!

よくぞあそこで発見したと、、、思います(^_^;

荒井亭のご利益?

しぇる様
ずいぶん前にコメントして以来です。
でも、欠かさず拝見して京都に行った気になっているハマミケです。
以前合槌稲荷神社を探しにあの辺りを歩いたのですが、見つかりませんでした。
ここなんですね!わからないはずです。
次回は荒井亭でコロッケ買って探してみますっ!

しぇるさん、こんにちは

探検、探検、思わぬ発見^^

この辺りも、良いですね~

自分が住んでいて、こう云うのも何ですが

京都は、奥深し^^;

ハマミケ様

はい、まず鳥居に気づいて、お社までいけるのに三年かかりました(^_^;
ハマミケさまも次回はたどりついてくださいませ。
コロッケをお供えするとお狐さまの御利益もっとあるかもよ〜。

高兄様

こういうささやかな冒険があちこちでできてしまう、、、
ほんまに京都はおもしろい町やわ〜。
こんどはどこへ行こうかな、、、

京都という街には、随所に、
こういう物語が息づいていますね。
「源氏物語」にちなんだ「史跡」なども、、、
この謡曲もそうですが、
どこまでが本当でどこから作り事なのか、分からない
夢と現実(うつつ)が渾然一体となっているような
面白さも京都の魅力ですね !

S&Y様

先日は「鉄輪」の井戸にも行ってきました。
ちょっと謡曲づいております。
わりとご近所に軒端の梅で有名な東北院もあって、ここも「東北」という謡曲の舞台だと最近知りました。
まだまだほじくれば何でもでてきそうです。
ほんま、楽しい町ですねえ、京都は!

しぇるさんのことですから、
すでにお読みか、とも思いますが、
謡曲ごとにゆかりの京都の場所と花を紹介した
「京都 能と花の旅」という本があり、
拙ブログに3月3日付けでアップしておきましたので
ご興味あられましたらご参考ください。
なかなかよくできた本ですよ !

S&Y様

いえいえ、存じませんでした。
これはありがたい本ですね。早速入手してみます。
コメントで思い出して今日、軒端の梅をみてきました。
7分咲きでした。ちょっと崩れかかったお寺の建物によくマッチしていました。
和泉式部の歌舞は聞こえませんでしたが、、、、


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