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2017-07

野村美術館講座〜「高麗茶碗の話」 - 2015.04.20 Mon

今回の野村美術館講座は館長の谷 晃先生の高麗茶碗のおはなし。


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今期の展示がずばり「高麗茶碗」で、3月にすでに前期展示は拝見させてもらった。今回のお話しはその時に記事にした、時期による高麗茶碗の分類を復習するようなお話で、さらに専門的な話もきけた。
(本日から後期展示開始。ほとんど入れ替えなので新しい展示と思ってね)

高麗茶碗がどこでいつ頃作られたか、ある程度の推測は定説となりつつあるが、ほんとうのところまだ完全にはわかっていなくて、今後いくらでも定説がひっくりかえる可能性はあるそうだ。これは谷先生のライフワークのおひとつ。20数年前から渡韓して窯場跡の調査、過去の信頼できる茶会記をていねいに読み拾って、いつが高麗の初見なのか、いつの茶会でどの種類の高麗茶碗が使われたのかとかつきあわせていく、そんな地道な作業が研究というものなのだな。(ちなみに「かうらいちゃわん」の初見は1506年、三条西実隆公の日記だそうだ)

高麗茶碗の生産時期の分類で中期にあたる借用窯(借用窯時代の前期、後期は秀吉の文禄慶長の役で30年ほど中断している)がどこにあったのか?実はそれもはっきりとはしていないらしい。

梁山・法基里(釜山のわりと近く)は後期(1620頃から20年前後)借用窯があった場所ではないかと谷先生は推測してはるが、この窯場跡は発掘許可が韓国人研究者にさえなかなかおりないらしく、自由に調査、というわけにはいかないらしい。(この法基里の窯場跡を発見したのが二代目真清水蔵六さんなんだって!)
いつかこの窯場跡が十分調査される日が来たら、また高麗茶碗の歴史は塗り替えられるかもしれないのだそうだ。ロマンやな。

それにしても朝鮮出兵で政治的には分断された国交が、日本の茶人から(当時はほとんど武家階級)のやいのやいのの催促で高麗茶碗の注文生産輸出、、という経済的交流がすぐに復活したのは、昨今の国際情勢に照らし合わせてみても実におもしろい!!


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井戸茶碗についても、どこで焼かれたのか、なんのために使われたのか実はあまりわかっていない。初見は藪内宗和の茶会(1578年)、次が「天王寺屋会記」の光秀の茶会。このときに使われたかも、、、というのが前期展示にあった坂本井戸。

これが祭器であると数年前からはげしく主張しておられるのが谷先生の論敵(実生活では仲良いらしい^_^;)陶芸家で井戸茶碗の韓国第一人者である申翰均さん。これについては以前申さんの著書の感想を記事にしたので、ご興味あればこちら

朝鮮の貧しい陶工が、むしろぞんざいにたくさん焼いた日常雑器が井戸茶碗で、それに用の美を見いだしたのが日本の茶人である、と我が敬愛する柳宗悦先生の説への強烈なアンチテーゼで、朝鮮の陶工がその美意識を発揮しながら祖先を祀るために焼いたのが井戸茶碗だと。当時はびっくり目をむいたが、昨今なるほどなと思うこともある。(しかし祭器と雑器を区別するために梅花皮をつけたというのは、なんとなく納得できんが。)同じ井戸茶碗を見るのに、180度見方を変えるとまたちがう景色がみえるだろうか。
ただし、この井戸=祭器説もいまだ確固たる根拠はないのである。これもロマンやな。


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などと私如きがあれこれ言うよりは、これ!野村の研究紀要!最新刊(24号)一冊あればすごく楽しめることうけあい。谷先生や申さんの論文も載ってます。

さ〜ら〜に〜、、、日本に李朝陶磁器を紹介し、朝鮮半島の700ヶ所に及ぶ古窯跡を調査した(残念ながら論文は残さなかった、、、)これも我が敬愛する浅川伯教・巧兄弟の研究について書いた一文もあり、とてもうれしいのでありました。(なにせ巧さんの墓参りにソウルまでいった私なんだから)




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● COMMENT ●

高麗茶碗の魅力は尽きませんね。私は行けなくて残念でした。
井戸茶碗が祭器なのか雑器なのか、議論が活発になるのも興味深いです。
中村康平さんから紀要に寄稿したと連絡がありましたが、これのことですね。谷先生、申先生、桐山さん、池田瓢阿さんと並んでる。これは私も読まなくては。

そらいろつばめ様

この紀要は読んでいてとてもおもしろかったです。中村康平さんのはとても読みやすかったし。野村の紀要というとなんとなくむつかしそうで敬遠してたのですが、お題が高麗茶碗でよかった。
来月はまた是非!


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