fc2ブログ
topimage

2023-09

英国田舎紀行・湖水地方/コーンウォール〜コーンウォールその1 - 2015.08.17 Mon

コーンウォールはイングランドの南西の端、一瞬ウェールズかな?と思ったけれどウェールズをまわりこんで南西につきだしている。



P81500053.jpg



イギリス人に聞くと海のリゾート地というイメージなんだそうな。英国が舞台の小説では(アガサクリスティなんか)お馴染みの名前だが、実はイギリスのどこらへんにあるのかシラナカッタ、、、。イメージでは荒涼たる岩と海の地方、、、だったが。


今回車でまわった場所を地図に書いてみたのでご参考に。



P81004413.jpg



とはいえロンドンからは列車で5時間以上かかるので、時間節約のため行き帰りをパディントン発の寝台車で9時間かけて移動することにした。

これはパディントン駅にある「熊のパディントン」(マイケル・ボンドの児童文学)。パディントン駅でスーツケースの上に座っているところをブラウン夫妻に発見された場面らしい。「このくまをよろしくお願いします」と書かれた札もついてるよ。



P81004453.jpg



ほぼ深夜0時発の寝台車。駅で時間つぶすのが若干つらかったが。(待合室も閉鎖される)



P81004483.jpg



二段ベッドで、、、狭い。けれど洗面ボウルもコンパクトに内蔵されている。疲れていて爆睡したのでまあ寝心地はよかったのだろう。



P81004583.jpg



早朝、コーンウォールのペンザンス到着。「ペンザンスはあなたを歓迎します」が、英語とコーニッシュ語で書かれている。

ここでレンタカーを借りてペンザンスから反時計回りにコーンウォールの西のでっぱりを一周。


P81004643.jpg



まずはポースカーノのミナックシアターへ。おお、イメージ通りの海だ。


P81004683.jpg



ミナックシアターはロウィーナ・ケイド(〜1983)という女性がほぼひとりで手作りしたという野外劇場。崖を利用して階段が座席になっている。ここではオペラやコンサートもひんぱんにおこなわれているらしい。


P81004703.jpg



この海になだれこむ急勾配はこわいぞ。しかし、さぞ気持ちよいだろうな、演じる方も海風に向かって。


P81004753.jpg


ロウィーナは花崗岩を手で切り出してひとつひとつ手押し車ではこび、セメントをこね、約半世紀、人生のほとんどを費やしてこつこつつくりあげたというからすごい。彼女はもとは劇場の衣装係だったそうだから、すべて独学でやりとおしたのだろう。



P81004823.jpg



ここにも日本では6月の花、アガパンサスが満開であった。他の植栽は海風にも強い多肉植物を多用している。よくみると岩陰にこんなものも潜んでいた。



P81004873.jpg



この日は無料で子どもたちへの読み聞かせのだしものをやっていた。機会があればここでクラシックコスチュームのオペラなぞ観てみたい。



P81004883.jpg



なにはともあれ、この絶景野外劇場を作り上げたロウィーナ・ケイドに敬意を。



ついでさらに西へ。
イングランドの西の果て、ランズエンドへ。


P81004893.jpg



ヨーロッパいや、ユーラシア大陸の最西端、ポルトガルのロカ岬へ行った時のイメージをいだいていたが、なんとミニ遊園地まであってちょっとあれあれ??な感じ。



P81004903.jpg



気を取り直してさらに海側へすすむ。ここまできたらうるさいお子たちの声はもう聞こえない。



P81004923.jpg



Land's End、、、地の果て。ちょっと雰囲気がでてきた。嵐みたいな天候だったらもっと果て、、の雰囲気でたかも。



P81004973.jpg



ここもおとなりのセネンコーヴビーチまでフットパスがあるので歩いてみる。



P81005043.jpg



イングランドの涼しい夏にせいいっぱい盛りを迎えて咲く野の花。薄紫は荒れ地に咲くヒース。ほんに海辺のお花畑だ。ゆるやかな起伏を、海を見ながら花を楽しみながらどんどん歩く。ああ、これは楽しい♪



P81005143.jpg



そしてここでやりたかったことを。
そう、このためにわざわざ野点セットもってきたんだ。(ちいさい缶は金平糖入れ)


P81005113.jpg



大西洋に、地の果てに一服献茶つかまつる。



P81005173.jpg


ヒース。
文字通りヒースクリフ(ヒースの崖、「嵐が丘」の主人公の名前ね)



P81005183.jpg



この景色がイングランドっぽくって見たかったんだ。



P81005263.jpg



これは戦後だったと思うがここで難破した船の残骸。さいわい乗組員は全員救助されたそうだが、船はそのままここに残っている。今では風化が進んですっかりここの景色の一部になってしまったようだ。



P81005353.jpg



いよいよ丘一つ越えたビーチが見えてきた。温度は20℃越えるかどうか、というくらいだがけっこうたくさんの人が泳いでいる。短い夏を楽しんでいるんだな。


P81005373.jpg



いまいちど来た道をふりかえればヒースと、


P81005383.jpg



うちの庭ではさっぱり育たなかったモントブレチア(ヒメヒオウギ)が野生の大群であたりをオレンジ色に埋め尽くしていた。



P81005393.jpg


これはパスティというコーンウォールの郷土食である。パイ生地でビーフシチューを包んだ、とでも言おうか。これはコーンウォールにたくさんあった鉱山の労働者たちが愛用した食事だという。
よごれた手でももちやすく、携帯カイロのようにあたたかく、おいしく栄養価も高い。とくに鉱山は有毒物質をあつかうこともあったため、持ち手の部分はちぎって捨てたそうな。これを鉱山に住む妖精ノッカーへ与える、というふうに言い伝えられてきた。



P81005443.jpg



コーンウォールにはこうした鉱山の採掘場がたくさんあったが、1860年の銅の暴落とともに衰退し、ついに1998年最後の山が閉じられた。そのあとは今でもたくさん残っており、ここ、レヴァントマインもその一つで、現在ナショナルトラストが管理している。



P81005473.jpg



閉鎖は1930年だそうだ。海の下の鉱山とよばれ、海底よりはるかにはるかに深い場所まで坑道がある。



P81005483.jpg



廃墟にいまこだまするのはカモメの声ばかりだが、最盛期にはたくさんの男たちが、採掘にたずさわったという。表層部では10才以下の少年や女性までが働いていたそうだ。


P81005523.jpg



これはレヴァントエンジンというコーンウォール独自の蒸気機関で最近になってボランティアグループが再生したそうで、実際に動くところを見せてもらった。動力の原理を説明してくれているところだが、メカ音痴なのと英語が聞き取りにくいのとで半分も理解できんかったが。



P81005533.jpg



坑道の図。左の上の方に海底のラインが描かれているので比べるといかに深く掘ったかがわかる。



P81005663.jpg



坑道の入り口のひとつ。ここから奈落の底にリフトでおりていったのだろうが、こんなこわいとこ私はよう行かん。のぞくだけでも足がすくむ。



P81005623.jpg


当時の採掘の様子を語っているところ。おそらく地熱、有毒ガスや出水などで事故もあっただろうし、きつい労働であっただろう。しかしそれが鉱夫たちに生活の糧を与えたのも事実。


P81005643.jpg



当時の写真。みな一様に顔をまっくろにしている。少年とおぼしき鉱夫もいるがいっちょまえの男の顔をしている。しかし若い体にこの労働環境が良い影響をあたえたはずはなく、その後健康で長生きできたのか気になる。




P81005693.jpg



そう思ってみるとこの景色はもの悲しくも見える。



P81005753.jpg



鉱物の色で赤い土、赤い岩、一角にだれがはじめたのか賽の河原みたいな石積みがたくさん。賽の河原なんて発想はここにはないと思うが、この哀愁感はなんだろう。



P81005583.jpg



いまはカモメの生息地としてのどかで平和な場所なんだが。



関連記事

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/521-128ed45e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

英国田舎紀行・湖水地方/コーンウォール〜コーンウォールその2 «  | BLOG TOP |  » 大文字送り火2015

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (385)
茶事(亭主) (82)
茶事(客) (171)
茶会(亭主) (17)
煎茶 (9)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (108)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (29)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (138)
奈良散歩 (128)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (9)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (13)
中国茶 (48)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (1)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (3)
信州旅行2023 (2)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR