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2017-04

「善知鳥〜替之翔」〜テアトル・ノウ京都公演 - 2015.10.12 Mon

うとう


観世会館にて味方玄師のテアトル・ノウ公演「善知鳥(うとう)〜替之翔」を見てきました。

*替之翔(かえのかけり)とは替→能の特殊演出、内容の小さな変更
翔→修羅道の苦患を受け人物が異常な状態で動き回る様子を表す所作


(能については全くの初心者なので少しずつ勉強しています。マチガイがあったらご指摘下さい)


善知鳥自体は北海道や東北にみられる鳩くらいのサイズの海鳥。

善知鳥という演目を知ったのは実は干菓子の「落雁」の名前の由来がこの演目だと、茶道検定にでてたからなんですよね。


さて、そのストーリーは、、、

旅の僧侶が立山にさしかかったとき、猟師の亡霊(翁の姿)が現れ、現世に残した妻と子のところに蓑笠を届けて、仏壇にあげるように頼む。猟師は生前着ていた着物の片袖を証拠として託して消える。
僧侶が陸奥国の猟師の家を訪ね、妻子に片袖を見せると二人はただ泣くばかり。僧侶が蓑笠を仏壇にあげて経を唱えると、猟師の亡霊が現れる。(フライヤーの写真のいでたち:蓬髪、腰に殺生した鳥の羽の蓑、面は痩男、鳥をうちすえる杖)
地獄では自分が殺した鳥が化鳥となり鐵(くろがね)の嘴で苛まれ、銅の爪でひきさかれるという苦しみ、辛さを話す。
善知鳥は、親が「うとう」と鳴くと、子が「やすかた(保方)」と応えるので、猟師はそれを利用して声真似をして雛鳥を捕獲していた。その罪ゆえ子に再会してもへだての雲にさえぎられ抱きしめることさえできない。
さりながら、一家の者を食べさせていく生きる手立てとしての殺生、そうしなくては食べていけなかった。そんな自分の哀しい人生を嘆き僧侶に「助けて賜へ」といいながら消えてゆく。


最初にお父上の味方健師の演目についての説明があった。健師は観世能きっての学識派でおられる。初心者にもわかりやすく見所などの解説があって、これはありがたかった。配役も漁師の子供に玄師の小学生の娘さんがされるところもみどころ。

さて一番のみどころはやはり「翔(かけり)」。「ウトウ」という親鳥の声をまねして「ヤスカタ」と答える雛の声でそのありかをしり、これをうちすえ捕る猟を再現するところ。死後もなお体の記憶は猟の興奮を忘れていない。ある意味人間の狩猟本能が快楽とさえもなる。しかしそれが彼を成仏からへだて地獄で無限の苦しみとなる。

前半のスローテンポから翔の一転荒々しい所作に転換、雛を打ち据える場面は胸がいたむくらいだった。その前に我が子をいだこうとして雲にへだてられさえぎられる場面があっただけによけいにそれは哀しいのだ。


 平沙に子を生みて落雁の(これが干菓子の落雁!)はかなや親は隠すとすれど
  「うとう」と呼ばれて子は「やすかた」と答へけり 
    さてぞ捕られやすかたうとう 親は空にて血の涙を降らせば濡れじと、、、、



僧侶に成仏をお願いして消えていく、、、というのは能の演目のよくあるパターンなのだが、この猟師は未来永劫救われることはない。哀しいかな。人間を含むすべて生き物は他の生き物の命の犠牲の上にその命をつないでいることを思えば、いただいたその命、せめて無駄にすることなきよう、戒めとすべし、、、、かな?

京都移住前に味方玄師の能の話+井筒を拝見して以来のご縁にて、今回も「善知鳥」堪能させていただいた。
その時のお話が印象深い。能の鑑賞は舞台には実際にない月や花、目に見えぬ恋心や嫉妬、執心などを自分の想像力で彩っていくもの。受け手の感性や教養によってはじめて完成するもの。自分の感性や教養をみがかねばならぬということ、、、ですね。がんばろう。





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