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2017-08

能「道成寺」〜味方 玄 - 2015.11.06 Fri

(例によって能初心者ゆえ、まちがったことを書いていたらご指摘下さい。ぼちぼち勉強しながらやってます)


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初めて乱拍子、という舞を見た。たかだか1㎡くらいの空間を鱗形(三角形)に一周するのに25分かける。小鼓の裂帛のかけ声と音、舞手の静止と前進、独特の足踏みがかけあう凝縮された時間。おもわず息をつめる。このあとに続く鐘入りがいつになるのかどきどきしながらも鳥肌たった。



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(大津市伝統芸能会館のすぐとなりにある三井寺・園城寺)



道成寺は歌舞伎にもある演目で安珍清姫の伝説とともにかなりポピュラーな話なので説明はしないけど、のちに鐘から出てきたときの鬼面=蛇体の方が目玉かなと思ってた。たしかに蛇体のシテとワキの僧侶の調伏合戦はアップテンポで迫力あったのだが、一番印象深かったのが前シテ=白拍子の時間が凍りついたような乱拍子だった。

そもそも乱拍子とは、、、講演前に味方健先生の講義がついていたのだが、ちょっと夢うつつで(^_^;途中から、あ、これは真剣にきかなあかん内容や、、、と思って覚醒、初心者の私には半分くらいかな、理解できたの。
観世流でこの乱拍子を使うのは「道成寺」と(めったに上演されない)「檜垣」だけなんだそうな。


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(鐘がらみで三井の晩鐘)


紀州道成寺で久しく失われていた鐘が再興され供養がおこなわれる日に、女人禁制なのにひとりの白拍子が是非見せてほしいと能力(寺男・茂山一門の狂言方が演じた)にたのみこむ。おもしろく舞ってみせるならみせてやろうといわれ、烏帽子をつけ舞い始める。

その前半が乱拍子。静止しているのか動いているのか途中でわからなくなるほどの緊張感、小鼓の音にあわせてまたパタリと足踏み。恨みの籠った鐘を目指して寺の石段を一段一段登る様子を表わしているとも。中世の白拍子たちの足踏を能が取り入れたものといわれる。

後半は一転してはやいリズムの勇壮とも見える舞に息もつかせない。そしていよいよ「鐘入り」。



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(かの有名な利休の竹花入「園城寺」のもととなったオリジナルの鐘。ひびわれがある。弁慶が比叡山へ戦利品として持って帰ったら「いのう、いのう(帰ろう帰ろう)」と鳴ったという)


そもそも最初は舞台にはなにもない。

そこへ四人の狂言後見が竜頭(吊るす部分)に太い竹竿を通して鐘を運び込む。ずいぶん重そうだな、とおもったら70kgくらいはあるらしい。長い竹竿を狭い舞台で上手にあやつって綱を天上にある滑車にかけ、残りの綱を舞台右手奥の柱(笛柱)にある鐶に結ぶ。(あの鐶、なにかと思ってたわ。道成寺だけに使うのね)

で、鐘入り。かなりハイスピードで鐘の下に入り込み、どんと鐘がおちる一瞬前、両手でカッと鐘をつかんで正面をにらむ場面もおなじく鳥肌ものの迫力。ついで拍子を踏んで飛び上がると同時に鐘が落ちる。

この鐘を上げたりおとしたりするのが四人の鐘後見。鐘を落とすとき、息があわなければヘタしたら大けがしそうなので大事なお役目。

ちなみにこの鐘、シテを演じる役者自身が制作、舞台がはじまるまでシテと後見以外の人間はさわってはいけない約束だそうだ。



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中でシテはひとりで蛇体へ面も衣裳も変身するのだが、そのなかの仕込みも秘中の秘なんだそうだ。準備ができるまで外では狂言方の能力(寺男)がいわゆる「狂言」を演じる。


やがて鐘が上げられ蛇体が姿をあらわす。撞木を手に持ち鱗紋の小袖、般若の面、調伏しようと数珠を擦る僧侶たちとのおしつおされつ。調伏されるかとみえてまた盛り返す。その姿はおどろおどろしくも妖しく悲しく哀れなのだ。
やがて蛇体は祈り伏せられ日高川へ姿を消すのであった。

味方玄師はいまやあぶらがのりにのっている世代、ほんまにすごかった。能もものによってはときどき観劇中に意識を失うこともあるが(^_^;能の舞台でこんなに感動したのは初めてではなかろうか。行ってよかった。


最後に、囃子方もいなくなった舞台で鐘が吊られるときと逆の手順で粛々とかたづけられ、またきれいさっぱりなにもない舞台にもどるのも見事であった。(運び点前で点前が終わるとすべて片付けるすがすがしさに通じる、、、?)




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