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2023-09

修二会2013・その2〜礼堂に香水を参らせ - 2013.03.09 Sat

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「こんな真夜中にまたおでかけですか?」 (鹿)

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深夜の参道はどこか異次元の世界につながっている。

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二月堂では半夜・後夜の行法がおこなわれているはず。

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それにしても人っ子一人であわない。
闇にたむろするのは鹿ばかり。

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お堂の外まで来て、外陣の外側の局(ここまでは女人でも入れる)への扉の前に20〜30足の靴があるのを見て、中にお参りの人がいるのがやっとわかる。

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局に入ると、いままさに外陣と内陣をへだてる戸帳がきりきりと独特の作法で巻き上げられている。
(巻き上げるのは兜巾、篠懸の格好を許された堂童子)
たくさんのお灯明が燃え明るいので、はっきりと内陣の須彌壇の前に山型に積まれた壇供の餅が見える。
これから走りの行がはじまる。

  「南無頂上 南無頂上 南無頂上」
      「南無最上 南無最上 南無最上」

差懸を脱いで、袈裟のすそをからげて、三人の練行衆が須彌壇のまわりを走る。
天上での1日は人間界の400日にあたる。少しでも天上界に近づかんと、走る、走る、、、

順番に走りの列をぬけて外陣にとびだし(このために戸帳をあけておくのね)五体板(五体投地をする板)に膝を3回打ってはまたもどる。

トーン、トントン

一体何回回るのだろう、、、と思った頃に鈴の音と共に終了、戸帳はまたもとどおり巻き戻され、内陣は見えなくなる。
かわりに、揺れ動く戸帳にうつる練行衆のゆらめく影がなにやら幻想的。

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「礼堂に香水を参らせ」

局の聴聞客がいっせいに格子のあいだから手を差し出す。
香水は練行衆に授けられた後、聴聞客にも杓でさずけられる。
暗い中なのでなんともはっきりは見えないが、唐金の杓のようだ。
一滴くらいだろうと思っていたら、片手にあふれるほどいただく。

口に含めば、ほんのり甘い。まさに甘露の一滴。(練行衆はお昼の食堂作法のあと、一滴の水も飲んでいないのでわれわれ以上に甘く感じるらしい)
ちなみに聴聞客に授けられるのは昨年くんだ香水。(練行衆には根本香水といって何年も汲み足してきた香水が授与される)

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声明がしばらく続く。
声明は音楽的とよく言われる。でも「音楽的」だけでは表しきれないものにあふれている。グレゴリオ聖歌のようでもあり、はるかチベットの読経にも聞こえ、聞く人をトランス状態に導くようななにか、、、

   南無観自在 南無観自在 南無観自在、、、、、
       南無観  南無観  南無観  南無観、、、、、

ときに練行衆全員で、ときに一人の声にたたみかけるように、みなさん、よいお声をしていらしゃる。

この日は法会の後半=下七日の初日にあたり、本尊が前半の大観音からかわって、後半の小観音が出御・後入される。

実忠和尚、摂津国難波津にて海より来給える生身の十一面観音をお迎えし安置し奉る。これ小観音、絶対秘仏なり。(江戸時代、二月堂が火災にあったとき、小観音を救い出し奉った僧がそのお姿をはじめて見たが、暖かく息をしてまさに生身であったとかや)

内陣の灯りは消され、暗闇の中、差懸の音ばかりごとごとと。おそらく小観音の厨子が正面に運び出されているのであろうと想像するのみ。

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行はまだまだ深更におよびますが、宿の方にご迷惑になるのでわれわれはそろそろおいとまを。

「お帰りですか?おやすみなさい。」

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   暗香浮動 月黄昏 (林和靖)

あ、月は見えませんでしたが。









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