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2017-10

冬の衣笠さんぽ〜妙心寺を中心に - 2016.01.17 Sun

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西の方、妙心寺から北をみるとこんもりお椀を伏せたような衣笠山。この姿をみるとちょっと胸キュンなのだ。(ええ年しててもね^_^;)

今を去ることウン十年前、大学入試を控えた冬に、わざわざ京都の某K予備校の冬期講習を受けるため、衣笠のお寺に下宿していたいとこのとこに居候。しかし予備校に行ったのはほんの数日、主に下宿で勉強そして気分転換にこのあたりのお寺をかたっぱしから尋ねるという余裕をかましていた。(ヤケクソとも言う)

ある日さ〜っと時雨れてきて白くかすんだ衣笠山の姿は今も目に焼き付いている。まだ何者でもない若き日の自分のたよりなさ、よるべなさを思い出す。



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洛西一の臨済禅の古刹・妙心寺の境内は広く、しかも46もある各塔頭の間の道がまっすぐと言うことがない。行けばすぐつきあたり、見通しが悪くこの先どうなっているのか少々不安になるようなところがある。



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時にいきどまったりして、まるで戦国時代の城下町みたいだ。



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でも、こういう道の向こうになにがあるのかワクワクする。



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心茶会の久松真一先生もながらく妙心寺は春光院に住んで、禅の修行をされた。学生時代一度そのご縁で春光院で茶会をしたこともある。掃除の時に床下から先生のもの???と思われる茶道具がいろいろでてきたのにはびっくりしたなあ。(もちろんお寺さんにお渡しした)



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その妙心寺で三つも塔頭がこの冬、特別公開中。これはいかずばなるまい。

まずは妙心寺発祥の地、最古の玉鳳院。これは重文の平唐門。

妙心寺は14世紀花園法皇の勅願によって関山慧玄(大燈国師の弟子)を開山として創建されたが、ここは法皇と関山師が禅問答をした場所とか。


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この平唐門は15世紀初頭に御所から移築された物で、先の大戦(もちろん京都では応仁の乱のことよ^_^;)でも焼失をまぬがれた日本最古の唐門なのだそうだ。近いうち国宝に格上げされるかも知れず、そうなったらもうさわれないのですりすり。ちなみにこの穴ぼこは当時の矢のあたったあとなんだとか。

開山堂・微笑菴はこれまた最古の室町中期の建物。これは見応えある。長年の使用に柱も扉も木の部分は真っ黒につやつや。内部の軒下の柱組がまた見事で、いずれ時代とともに簡略化されてくる前の様式か。中では昼夜お香を手向けているそうで(常香盤)終始ほのかに佳い香りがしていた。
秀吉の夭折した鶴松君の御霊屋もこの塔頭にあり、ご愛玩のおもちゃなどをおさめているのだそうだ。中にはかわいらしい童子の形の鶴松君の人形が祀られている。



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ついで霊雲院。
現在のご住職はかの有名な山田無文師のお弟子さんなんだそうな。ここのみどころはやはり重文の「御幸の間」。室町後期の後奈良天皇が当時住持だった大休宗休に深く帰依して、なんどもここをおとずれたのだそうな。国宝・銀閣寺東求堂・同仁斎とならぶ初期の小書院造りの遺構らしい。

小さいけれど立派な枯山水の庭をながめながら一番の奥の四畳半+床付きの部屋で二人してあれこれ禅問答でもされていたのだろうか。とても居心地がよさそうな勉強部屋、、、といった風情。



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忘れてならないのが、いつもこの前を通るとき気になっていたこれ。お墓は拝見できないが久松先生に禅をすすめた師匠、西田幾多郎先生(ご存じ、哲学の道のあの方ですよ)の墓所でもある。



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特別公開最後は天球院。
江戸初期に当時姫路城主だった池田輝政(のちに岡山城主)の妹君・天久院(他家に嫁したが子がなく離縁された)によって創建された寺で、創建時土をほったら玉がでてきた、ということから天球院と。どんな玉だったのか今どこにあるのかは一切不明。でもこの天久院さまはなかなかの女傑で池田家を徳川につかせて守った影の立役者という説も。



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(庭の香り高い蝋梅)


ここの見所は152面あるという狩野山楽(永徳の弟子)・山雪(山楽の弟子)の襖絵。現在ほぼ綴プロジェクト()の高精細複製品にいれかわっているが、これはほんまにリアルな複製なので、たぶん私には本物との区別はつかないと思われる。
多くは金箔をふんだんに使った絵で、琳派っぽい朝顔の図から、迫力の虎の絵まで多彩。

奥に小間の茶室があったが、あとで調べると藪内の燕庵写しなんだそうだ。もうちょっとよく見ておけばよかった。



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ここらへんでちょっとお腹もすいてきたので特別公開ではないが、毎年1月15日から始まる東林院の恒例の小豆粥で初春を祝う会が今日からだ、と思い出しいただくことに。



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ここの塔頭は宿坊もあり、西川ご住職は精進料理がお得意な方。小豆粥の会は予約なしでもOK。



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まずはお堂で茶礼。ここ数年毎年小正月のころ小豆粥、こちらでいただいている。やれやれ、今年もなんとかありがたくいただくことができた。お茶につく菓子はそれぞれ意味がある。真の茶事の七種の菓子もここらへんが起源か?



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そして奥の間で小豆粥とお精進。お餅がはいっておいしい♪ いただく前に生飯とりも忘れずに。



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ここのお庭は夏は沙羅双樹、冬は千両の赤い実が楽しめるのだ。



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おなかもよくなったので、少し足を伸ばして今回冬の旅初公開の真如寺へも行ってみよう。

この妙心寺北側一条通り。学生の頃この近くのおうちで高校生の家庭教師をしていたのでよくとおった懐かしい道。しかし、、、かわらんなあ、、、ここはあんまり。



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それこそウン十年たつというのに、この象牙のお店とステーキ屋(廃業してるけど)、あのころのままやわ。びっくり。



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しばらく歩くとなにやら若い人たちがいっぱいうろうろして、、、そうか、R大の衣笠キャンパスはここだった。となりあうようにあるのが真如寺。相国寺の山外塔頭のひとつなんだそうな。
夢窓疎石が足利家執権の高師直の援助を受けて創建したというから歴史はかなり古い。ただし建物の方は江戸初期の後水尾天皇による再建。

みどころはとってもめずらしい中二階の須彌壇。下をくぐれるのでちょうどお釈迦様のお尻の下をくぐることができる、という感じか。お釈迦様はこれもめずらしく瓔珞のついたきらびやかな宝冠をかぶっておられる。



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この寺のほんとうの起源は実はもっと古く、13世紀・無学祖元の弟子であった無外如大尼(本名・千代野)が、無学の遺爪髪を祀るための塔所を作ったのがはじまりという。その無外如大尼の徳を慕って、尼門跡として有名なかの宝鏡寺の歴代は16世紀初頭からここを墓所とさだめたそうだ。だから客殿には、宝鏡寺門跡が来られたときのためにどこか女性らしいやさしい装飾の貴人席付きの座敷がある。

この無外如大尼さんにはおもしろい逸話があって、まだ千代野といったとき、桶で水を汲んでいたら底が抜け、いままで水に映っていた月が消えてしまったことから悟りをひらいたのだそう。奥の間には白隠禅師の手になる底が抜けた桶を前におどろいている千代野さんの絵がかけられている。
画賛に曰わく「千代のふが たのみし桶の底抜けて 水たまらねば 月も宿らず」



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ここまで来たので、もうひとがんばり、お隣の等持院へ。これまた受験生だった時以来ウン十年ぶり。



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もうさだかでないが、歴代足利家の菩提寺、歴代の木造がひっそりと並んでいたのだけは記憶がある。ここで再会するのになんと長い年月が流れたことか。当時は将来も見通せないままだったが、紆余曲折を経て、また京都に舞い戻れたことはありがたい。



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ここに来るときは侘助がどこにあるのか確かめないと、、、と思っていたが、これか!



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これですよ、これ。さだまさしの「春告鳥」にでてくる侘助!

衣笠の古寺の侘助の たおやかに散りぬるを 日に映えて その人の前髪かすかにかすめながら 水面へと身を投げる  byさだまさし)



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他に人もいないのでちょっとくちづさんで春告鳥ごっこ。(^-^)♪
ふためく錦の帯の魚はおらんかったけど。(by春告鳥)



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等持院(当時いとこの下宿のあったところの駅。もう下宿はどこだったかさえ思い出せない)で嵐電に乗って仁和寺前へ。



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仁和寺はもう閉門時間であったが、目的は長年行きたいとおもっていたこちらの日本茶カフェ、さのわさん。



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町家風と思っていたらなんとモダンでスタイリッシュなカフェだろう。でてくるのが日本茶とは思えない。



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名水・京見峠の山水(鷹ヶ峰の奥)をちゃんとお釜で沸かして一杯ずつ煎れてくれる。茶葉も生産者を厳選したものだそうだ。



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美味しいケーキには、、、やはりほうじ茶。香ばしくておいしかった。おかわりはちゃんと急須で目の前で最後のgolden dropまでいれてくれはりました。


これにて本日の〆。ながながとおつきあいありがとうございました。



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● COMMENT ●

しぇる様へ
 妙心寺は中の塔頭に大学の主任教授の墓所があり、
何回忌かに、教室の卒業生一同での法要があり参詣しましたが、
広大な寺域に感心したことがあります。

等持院もそうですが、京都北山も由緒寺院が多く、冬季に
訪れると室町文化の香りに接する事が出来るような感じがします。

ところで、門の穴ぼこですが、東大寺の南大門の柱にも、矢の跡や
鉛の銃弾が食い込んだ跡もあります。

narahimuro 様

衣笠周辺といえば私もやはり冬が似合うと思います。
時雨、氷雨などあればなおよし。
心象風景ですかね、受験生時代の。
妙心寺は京都の禅宗のお寺の中では大徳寺よりも好きです。

東大寺の穴ぼことなるとそりゃ応仁の乱よりもっと前かしら〜^_^;
仁王さんに目がいって穴ぼこまで気づきませんでした。今度行ったらしっかり見ときます。


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