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2017-10

利休忌の茶事 - 2016.03.09 Wed

利休の祥月命日は旧暦の2月28日、現代で換算しておおよそ3月後半、表千家では27日、裏千家では28日に利休忌追善茶会がひらかれる。

今回参加させていただいた表千家某数寄者さまの利休忌茶事、ご案内に「第一礼装でおこしください」とあり、まずどないしょ、留袖もってへんし、そんな格式高い茶事なんですか?とあわてた。結局地味目の一つ紋無地におさまるも、緊張するわ。


IMG_1909.jpg
(ここで利休忌に供えられる菜の花の写真をさがしたのだが、みつからないので、スミマセン、食用の菜花の画像をアップ)


菜の花は利休が一番愛した花とも、最後の自刃のときに花入れにいれられていた花だとも。なので千家系では利休忌が終わるまで菜の花は茶席につかうのをひかえるのだとか。



IMG_1902_20160307233922532.jpg



早朝起きて朝日がのぼるのを新幹線の中で見ながら東のかたへ参る。

お噂はかねがねご紹介くださった方にお聞きしていたが、想像以上にすごい茶の家だった。

まずは玄関の大きな石群におどろくが、それ以上に驚くのがその大石の位置を納得いくまで決めるために、自らクレーン車の免許をとってご自分で配置されたということ。さらに茶の湯に使う北海道大雪山系の名水をご自分でタンクローリー車を運転して運ばれるなど、もうスケールが次元がちがうのだ。待合に置く棕櫚箒の為に棕櫚を育てるのは言うに及ばず、ちょうど良い具合に菜の花が茶席に使えるよう、日にちをずらして苗を複数植え付け、頃合いの物を使うなど、こだわりが畏ろしい。

一年に何回もテーマを決めた茶事をしておられるそうだが、茶道具はもちろん懐石道具にいたるまで各種そろえられているそうで、それを収納する場所もどれだけあるのか、とくらくらした。お茶室も広間、小間、腰掛け待合いにいたっては最低3つは確認したが、もっとあるのかも〜。

まずは三具足がたむけられた利休像の軸のかけられた部屋で利休への献茶式を拝見。(表さんの家元から献茶式のお許しが出ている方なのだ)竹の台子、天目茶碗に濃茶、薄茶を口覆いをしながら点てられる。
千家系で裏と表は近い存在でありながら、表さんのお点前を実はあまり見たことがない。不思議なことにあまりその機会がないのだ。表千家では、乱れ飾り(裏で行の行台子にあたる)以上の許状を持っている人はほとんどいない、と聞くので、台子の点前をなさる方はごく少数なのかな。拝見する限り裏の真の行台子にちかい点前であった。

御献茶終了後は、中潜りも使って広間・松風楼へ。松風楼は表千家にある広間の稽古場なのだが、これがまた正確な写しなのだそう。
丸太(杉?)の床柱の上の方に飛び出した枝が残っていたり、浄益の踊桐の引き手のついたライトブルーの襖は唐長の波に鱗鶴の紋様、これは鮮やかで印象的だったな。琵琶床があったり、床框が波打って光を複雑に反射しているのも印象的だったが、これはナグリの上に溜塗をしたものなのだそうだ。表千家の中には足を踏み入れたことは一度もないし、これからも機会はないだろうから、ここで貴重なお茶室をみせていただいた。

表千家何代目かの宗匠の「力囲希(利休辞世の偈の一部)」の軸、その前にすばらしくりりしい菜の花が古銅にいれられていた。
懐石は利休を偲ぶため精進、ゆえになんと朱の懐石道具一式!これを全部そろえるだけでもすごい。向付は楪子(ちゃつ)という朱漆の小皿で、和三盆糖を盛った上に青梅の甘露煮を。私は経験がないが、裏でも真の茶事には朱の懐石道具をつかうのだそうだ。料理もお精進、これもすべてお手製とか。

使う箸の種類も表と裏でずいぶんちがうんだな、と思った。中立前のお菓子が昆布の上にのせられた白・黄のふたつの薯蕷。(祝い事は紅白だけれどご供養だから)昆布までおいしく食べられて満足。

中立の鳴り物で気になっていたのが琵琶床の上に喚鐘がかかっていたこと。さらに隣接するらしい小間のまえには銅鑼がかかっている。聞けば表さんでは喚鐘は広間の鳴り物、銅鑼は小間の鳴り物なんだって。ちなみに裏では日中の茶事は銅鑼、燈火を使う夜の茶事には喚鐘、なんだがこんなこともずいぶんちがうものだとびっくりする。夜は陰だから陽の喚鐘を使う、、って理由付けだったけど、この違いはどうなの?

後入りでは利休さんに献じられた撤饌のお茶をいただく。薄茶はともかく表千家の濃茶の点前は見る機会があまりないので拝見するよい機会であった。お道具も表千家歴代宗匠の箱や花押のあるものばかりだったが、さすがに他流派の宗匠の名前はあまりわからない。ただ明治の頃の惺斎の花押は自動車判と飛行機判というのがあって(ぱっと見に自動車とか飛行機に見えなくもない)これを見せていただけたのは勉強になったしおもしろい。利休のケラ判は有名だけれどね。

茶事も果て、帰途の新幹線に乗る。ほんとうにここまでこだわって、茶の湯のための裏仕事を手をぬかずとことんされる、世の中にはまだまだすごい数寄者がおられるのだなあ、、、とため息が出るような、感動した一会でございました。







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● COMMENT ●

私は、戦闘機と車輪と教えていただきました。多分、地域性があるのでしょうね。

えんしゅう様

もしかして、それ戦時中の呼び方だったとか?(^ ^;)
自動車判(車輪)はほんまに特徴があってすぐおぼえられますね。

こんばんは

表さんのお茶事の様子、とても興味深く読ませていただきました。
写真がなくてもしぇるさんの表現で情景が目の前に浮かびます。
勝手に想像していますがなかなかそれが楽しいと感じるようになってきました^^;
表さんとはやはりいろいろなところで違いますね。
こちらでは表さんのお茶事は行くチャンスがなさそうなのでいい勉強になりました。

ノリーナ様

私も表さんだけでなく他流派の茶事に行く機会は無いだろうとずっと思っていましたが、お茶というだけでいろんなご縁がつながりました。声に出していればまたそういう機会もできるかもですよ。他流派の茶事茶会は興味深いし、自流を見直す意味でも勉強になります。(すばらしさをシェアしたくても残念ながらなかなか写真はのせられません。)

世の中、上には上がありますね。こんな素敵な茶事に、参加されるしぇるさんも、すごいです。表、裏とか関係なく、すごいものには、パワーありますね。本物にふれる体験、いいですね。また、おすそ分け、お願いします。

MS様

上には上がありますが、かといってこれが最上でなく、あり合わせの道具で河原で振る舞われる茶にも感動する、、、それが茶の湯のふところの深さですかね。


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