神戸港が待合掛の茶事 - 2016.04.15 Fri
神戸の方にお茶事にお招きいただいた。ご自宅には茶室がないので、、、ととある料亭の茶室をお借りされるとのこと。どんなところかな〜と楽しみつつ、阪急岡本の駅を降りる。ここはかつて宝塚に住んでいた頃にはけっこうブイブイゆわしとった(?)なじみの場所。なにせ岡本からJR摂津本山まで、ハイセンスな店がたちならぶ神戸でも指折りの高級住宅地なのだ。

坂をのぼりつめていった料亭由門、料亭???というより昭和初期の財閥がよく建てたような豪邸ではないか。まずはびっくり!!
なんでも昭和の初めに大林組が東宮御所建設の為にモデルハウスとして建設したそうで、大阪毎日新聞の元社長の居宅だった建物(建築学会保存指定住宅)。

この建物のデジャヴ感は、、、、そうだ、小林逸翁の雅俗山荘の雰囲気だ。あの頃の阪神間の財閥はこんな洋館を競って建てたのだ。う〜ん、なつかしい。阪神間のあの独特のハイセンスな雰囲気。

ついついうれしくて館内のあちこちをウォッチング。(これは他の御連客さまも同じ(^_^; )

待合になった部屋もみごとなあの頃のゴージャス洋館の一室、こんなところでお茶事なんてできるのかしら???と思っていたのだが、、、

南に向くひらけた窓からはなんと神戸港が!!
もしかして、この景色が待合掛?だとしたらなんとすてきな。神戸港には宝塚時代釣りに行ったり、震災当時の記憶があったり、けっこう想い出がある。だからよけいに久々に見た港がうれしい。

ここから屋敷の前の庭を横切って茶室のある裏庭へ。おりしも桜の盛り、その下をまるで案内するがごとき白猫がお庭にいて先導?してくれる。
裏庭にまわると、突然洋から和の世界へ。茶室は実は館内にあるのだが、こうして露地をまわることで独立した茶室の趣になる。

六畳の茶室では、、、まあ!うれしい!ゆらゆらと大好きな釣り釜がゆれている。桃や桜の季節に釣り釜はほんとうに似つかわしい。お香の銘木にまつわる消息か覚え書きか、さる有名大名茶人の書が床にあり、事前に「お香を」とお聞きしていたので、なおのこと期待がたかまる。
炭手前、香合は三千歳の桃、西王母。青磁の色が春めいて美しい。
道具はすべてご自宅から運ばれて、炉中の灰までご持参されたというから、たいへんだったに違いない。そうしてお招きいただいたお心配りに感謝。

懐石はさきほどの洋室にもどって、こちら由門さんのお料理をいただく。釣り釜がめずらしい切り子型だったところへ、酒杯も切り子とは!初めておめにかかる御連客様ともお酒が入るとつい楽しくしゃべりすぎてしまう。とてもおもしろい茶歴をお持ちの方や、おもしろい茶の活動をされている方など、この世界はほんとうに楽しい。(まあ、稀に人を不愉快にさせるタイプに出会うこともありますケド、、、)

主菓子は、みごとな桜餅。由門さんのもの。
ふたたび茶席にもどって、掛け物のかわりにかけられた花を拝見。今をさかりのシラユキゲシであった。
この花はうちの裏庭にもたくさん咲いているのだが、今まで茶事に使ったことがない。この季節桜をみるのに忙しく、茶事をしないからなのだ(^_^;
濃茶の前にあらかじめうちあわせの聞香を。香を焚かせていただく。沈香の香りが長く茶室にほのかにただよって、さきほどの軸を思い出しながら楽しむ。一木多銘の香木のことが書いてあったので、ご亭主に無理にお願いして、即興でお香に銘をつけていただいた。

濃茶の後は思い入れおありのたくさんのお茶碗でお薄をいただく。おやまあ!干菓子器も切り子ね。浮島は神戸港の海の色、この屋敷のある小高い山の新緑、そこに咲く桜はつぼみもあれば葉もある。蝶々も飛んでいる春の野だ。
ご亭主が客ひとりひとりに話題をふってくださり、このひとときもたのしくすぎてゆく。お茶事がお好きで夜咄がお好きで、茶事茶会をいままで茶室をかりてなさってこられたとのこと。こうしてお茶事が好きな仲間がまた増えていくことが楽しい。またこちらもお招きせねば、と気合いがはいる。

神戸港の眺めからはじまって、桜、お香を楽しみ、それぞれのたどってきた茶の道の姿を垣間見ることのできた良きひとときでありました。感謝。

青い海に桜色の帯締め。なんだか期せずしてぴったりはまったコーディネート(自画自賛)(^_^;)

坂をのぼりつめていった料亭由門、料亭???というより昭和初期の財閥がよく建てたような豪邸ではないか。まずはびっくり!!
なんでも昭和の初めに大林組が東宮御所建設の為にモデルハウスとして建設したそうで、大阪毎日新聞の元社長の居宅だった建物(建築学会保存指定住宅)。

この建物のデジャヴ感は、、、、そうだ、小林逸翁の雅俗山荘の雰囲気だ。あの頃の阪神間の財閥はこんな洋館を競って建てたのだ。う〜ん、なつかしい。阪神間のあの独特のハイセンスな雰囲気。

ついついうれしくて館内のあちこちをウォッチング。(これは他の御連客さまも同じ(^_^; )

待合になった部屋もみごとなあの頃のゴージャス洋館の一室、こんなところでお茶事なんてできるのかしら???と思っていたのだが、、、

南に向くひらけた窓からはなんと神戸港が!!
もしかして、この景色が待合掛?だとしたらなんとすてきな。神戸港には宝塚時代釣りに行ったり、震災当時の記憶があったり、けっこう想い出がある。だからよけいに久々に見た港がうれしい。

ここから屋敷の前の庭を横切って茶室のある裏庭へ。おりしも桜の盛り、その下をまるで案内するがごとき白猫がお庭にいて先導?してくれる。
裏庭にまわると、突然洋から和の世界へ。茶室は実は館内にあるのだが、こうして露地をまわることで独立した茶室の趣になる。

六畳の茶室では、、、まあ!うれしい!ゆらゆらと大好きな釣り釜がゆれている。桃や桜の季節に釣り釜はほんとうに似つかわしい。お香の銘木にまつわる消息か覚え書きか、さる有名大名茶人の書が床にあり、事前に「お香を」とお聞きしていたので、なおのこと期待がたかまる。
炭手前、香合は三千歳の桃、西王母。青磁の色が春めいて美しい。
道具はすべてご自宅から運ばれて、炉中の灰までご持参されたというから、たいへんだったに違いない。そうしてお招きいただいたお心配りに感謝。

懐石はさきほどの洋室にもどって、こちら由門さんのお料理をいただく。釣り釜がめずらしい切り子型だったところへ、酒杯も切り子とは!初めておめにかかる御連客様ともお酒が入るとつい楽しくしゃべりすぎてしまう。とてもおもしろい茶歴をお持ちの方や、おもしろい茶の活動をされている方など、この世界はほんとうに楽しい。(まあ、稀に人を不愉快にさせるタイプに出会うこともありますケド、、、)

主菓子は、みごとな桜餅。由門さんのもの。
ふたたび茶席にもどって、掛け物のかわりにかけられた花を拝見。今をさかりのシラユキゲシであった。
この花はうちの裏庭にもたくさん咲いているのだが、今まで茶事に使ったことがない。この季節桜をみるのに忙しく、茶事をしないからなのだ(^_^;
濃茶の前にあらかじめうちあわせの聞香を。香を焚かせていただく。沈香の香りが長く茶室にほのかにただよって、さきほどの軸を思い出しながら楽しむ。一木多銘の香木のことが書いてあったので、ご亭主に無理にお願いして、即興でお香に銘をつけていただいた。

濃茶の後は思い入れおありのたくさんのお茶碗でお薄をいただく。おやまあ!干菓子器も切り子ね。浮島は神戸港の海の色、この屋敷のある小高い山の新緑、そこに咲く桜はつぼみもあれば葉もある。蝶々も飛んでいる春の野だ。
ご亭主が客ひとりひとりに話題をふってくださり、このひとときもたのしくすぎてゆく。お茶事がお好きで夜咄がお好きで、茶事茶会をいままで茶室をかりてなさってこられたとのこと。こうしてお茶事が好きな仲間がまた増えていくことが楽しい。またこちらもお招きせねば、と気合いがはいる。

神戸港の眺めからはじまって、桜、お香を楽しみ、それぞれのたどってきた茶の道の姿を垣間見ることのできた良きひとときでありました。感謝。

青い海に桜色の帯締め。なんだか期せずしてぴったりはまったコーディネート(自画自賛)(^_^;)
- 関連記事
-
- 甲子釜〜頂妙寺・大乗院
- 神戸港が待合掛の茶事
- 洛中より遅い桜満開の伊賀〜笹山窯をたずねて
● COMMENT ●
引歌
N様
この屋敷の元住人が大阪毎日新聞の社長とだけで、調べても名前がでてこなかったのですが、そうですか、本山彦一さんなのですね。ようやくわかってうれしいです。
え?!古筆だけでなくそんな銘木をお持ちの方ともつながりが!まあ、私は聞香してもいちどもなんにも当たらないほどの鼻音痴なので、そんな名香は猫小判でしょうが。
、、、実は銘をつけていだたいたのに、、、(忘れちゃった、、小さい声で)たしか、「春」がついていたのに納得した記憶が、、、(^_^;
え?!古筆だけでなくそんな銘木をお持ちの方ともつながりが!まあ、私は聞香してもいちどもなんにも当たらないほどの鼻音痴なので、そんな名香は猫小判でしょうが。
、、、実は銘をつけていだたいたのに、、、(忘れちゃった、、小さい声で)たしか、「春」がついていたのに納得した記憶が、、、(^_^;
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
鍵コメ様
なんともまたすばらしいご人脈(◎-◎;)すごいです。
好きな道をきわめていくとまたそういうお出会いもあるのですね。
好きな道をきわめていくとまたそういうお出会いもあるのですね。
トラックバック
http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/639-33be33c8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
本山彦一はその旧蔵品を所持していることもあり親近感を持っています。
先日、名古屋での変なお茶事で細川三斎が一木三銘の香木について記した消息を拝見しました。持参された人は「白菊」「柴舟」を秘蔵されておられる人。
一度聞香の会をしようとのことですが、あれは飾っておくもので聞くものではないと思いますと、ご辞退しております。
お香に銘を付けられたとか、どのような引き歌だったか興味津々です。