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2017-10

味占郷茶会〜細見美術館 - 2016.04.23 Sat

岡崎の細見美術館で友の会会員対象に味占郷(みせんきょう)茶会がおこなわれた。



P4170002.jpg



大盛況だった春画展のあとに始まった写真家・空間アーティスト(とよんでいいのか?あまりに多方面で活躍されているので)杉本博司/趣味と芸術ー味占郷展にあわせての企画で、杉本さんご自身と、旧年来の友人でもある細見館長が席主をつとめられる。

モダンアートにはうといので、杉本さんという方を実はあまりよく存じ上げなかった。味占郷というのはなんだか記憶にあるなあと思っていたら、そうだ、(毎月美容院で読んでる^ ^;;)『婦人画報』で連載された「謎の割烹 味占郷」というのがあったあった。
その中で、各界の著名人をもてなすために、謎の亭主が毎回そのゲストにふさわしい掛軸と置物(主に東西の古美術)を選んで床飾りをする、という趣向だったが、最終回にその謎の亭主が杉本さんだったとわかる、という感じだった。

どちらかといえば、料理の方に目がいっていたので(当然よね?え?違う?)その室礼についてあまり記憶にない。今回の展示はその時の床飾りを再現したものらしいが、なんで雑誌にのっていたときによく見なかったのかな、と思うくらいすごい。
古美術(一時古美術商をされていたとか)、古今の珍品?道でひろったようなもの、ご自身の現代芸術作品によるインスタレーション(設置芸術)とでもいうのか。それに木彫の須田悦弘さんの、プリザーブドフラワーにしか見えないうっすい木彫の花がからむ。茶室にこんな床飾りがあったらそれだけで一会なりたっちゃうよな、というような感動モノ。




P4210022.jpg




例えば、、、

(ちなみにこちらで幾つかのものを見ることができます)



月面写真をリトグラフにした軸の前に三宝の上に乗ったピンポン球をくっつけたお月見団子。

長い藍色の天地の右上に渋い銀の月のごく一部がかかっている軸に貼り付けられた懐紙は、、、なんと古今集断簡ではないか!いままでなんとか切という古筆にこんな斬新な表装した人いないと思う。(それにそんなん凡人にはこわすぎるわ)
歌は「月見ればちぢにものこそ悲しけれ、、、」。百人一首でも有名な大江千里の歌。
これ、スタイリッシュで歌と表装がマッチしてて、よかった、ほんとうに。

小島切という古筆の懐紙は軸装により立方体の前面がたまたま懐紙になっている、という趣向。

エジプトのパピルス紙に描かれた「死者の書」断片を軸装したものの前には青銅の猫(ミイラ)の棺。

硫黄島の地図は大きな日の丸の軸装の中に貼り付けられ、前に戦時中使われていた兵士の皮カバン。

レンブラントの銅版画「天使来迎図(?)」に十字架のような紋様のついた織部燭台。

白隠のすり鉢の絵にほんものの大きなすり鉢。

利休消息(!!)の前には青銅の大経筒、これに須田さんの木彫の朝顔がからむ。利休の朝顔のエピソードを思い出させる仕掛け。

宗旦の消息には、、、土瓶の口に棒切れがつっこまれ、その棒に須田さんのヒルガオがからむ???なんだこれ?、、と思っていたら、乞食宗旦といわれ貧しかった彼をあらわす土瓶棒→どびんぼう→ど貧乏、、なんだって!!びっくり!

かわった花入としては、、、

阿古陀型兜が無造作にころがされ、そこからはえる夏草(もちろん木彫)、それに軸は法華経である。つわものどもが夢の跡、、、なんだなあ。(ポスターになってるやつ)


大燈国師墨跡にとりあわされたのが、なんと(本物の)焼夷弾をつかった花入。花は屁糞かづら。花入の仕覆はこれまた昭和記念館にでもありそうな「谷熊町会防空なんとか、、、」隣組の文字もみえる木綿の袋。戦時中防空用物資かなにかいれる袋であったのであろう。


まだまだおもしろいのがたくさんあるが、これらの花入をのせている台が、根来!の足付き台だったり、古木や舟板だったりするのでもうよだれダラダラですわ。



IMG_2305.jpg




で、その杉本さんの茶会。

席入りしてまず目に飛び込んでくるのが、点前座の後ろにあるなにやらモノクロの屏風二双。よくみると、、、おお!これは光琳の紅梅白梅図屏風ではないか!それを写真に撮って、焼き付けは和紙に、昔からある焼き付けの技術で原寸大に、しかも墨絵のようなモノクロ。
見慣れたはずの紅梅白梅図がまた別の趣になっている。題して「月下紅梅白梅図」。真ん中の光琳水の一部がほんのり白くなってうかびあがり、まさに水面月光を映すの感。(画像はこちらで見られます)

そしてその屏風の白梅の前の畳の上に、白梅の花がこぼれているではないか、、、と思ったら、これもやはり須田さんの木彫。でてこられた杉本さんは「花咲か爺です。」と言いながら、今度は紅梅の前に紅梅の花をちらす(これも須田さんの)。


床の間の掛け軸は墨絵の滝図かと思ったら、華厳の滝を写真に撮ったものをリトグラフにしたものなのだそうだ。どう見ても水墨画〜。しかも軸装に使われている布は古美術といっていいような時代の裂。
前におかれたクリスタルの五輪の塔は、カメラのレンズに使われるような高純度なものを削り出したもの。真ん中の丸いところを覗き込むと、海の水平線がみえる仕掛け。
杉本さんの写真集「海景」(世界各国の水平線ばかり集めた写真集らしい)にちなむ。

お菓子が末富さん特注のコバルトブルーのお菓子。下があざやかなブルーの道明寺、上に穏やかな海面のような透明なブルーの寒天、その銘も「海景」。思わず見とれてしまうきれいなお菓子だった。

お道具は主に細見美術館蔵のもの。
水指が水紋のある銅鐸の上から3分の2をすぱーんっと切ったものに塗蓋をあつらえたもの。先代の細見家当主古香庵の意匠、ただし銅鐸はホンモノ。

香合がおそらく薬師寺伝来の蓮弁をくりぬいたもの。先代は薬師寺とご縁が深かったらしい。薄器が薬師如来が手に持っているような古い根来の薬器。

最後のだめ押しが薬師寺の仏像断片から管長が削り出したという茶杓、その名も「藤三娘(とうさんじょう)」!!きゃ〜!!光明皇后のことですよ。
光明皇后は寺としては新薬師寺を創建されたが、薬師寺の国宝吉祥天女は光明皇后がモデルだというし。
なんというか茶杓の曲線が、あの時代の仏像の腰のくねりそのものというか、その部分を削り出したのではなかろうか。なまめかしくも美しく激しく心惹かれる。一部に表面にはられていたとおぼしき金箔の名残もみてとれる。なんともすてきな茶杓であった。いや〜仏様のお体でお茶をすくうなんて罰当たり、、いやありがたくて涙こぼれるわ。


さて、杉本さん、現在は海外でのご活躍も多く、あちこちをとびまわっておられる日々だそうだ。古美術への造詣が深くておられるのはよくわかったが、文楽とか古典文学の知識も豊富で、なんと最近は建築の仕事までされているという。今年改築のため休館に入ったMOA美術館の展示室が彼の手によってよみがえるそうですよ。その時は光琳の紅梅白梅図と月下紅梅白梅図が並んで展示されるのだろうな。これは〜見に行かねば!




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