茶狂会卯月2016〜八重桜によせて - 2016.04.27 Wed
亀岡・楽々荘にて毎月繰り広げられる茶狂いな人たちの集い。
今回は弥陀数寄蔵さん(もちろん偽名よ。でも見事にご本人を表して言い得て妙な偽名)がご亭主。
何回かごいっしょさせてもろうて、質量ともに桁違いの茶道具のお蔵(コレクション)をお持ちだとは先刻承知。以前茶事にお招きいただいた時にも、美術館級のお道具を惜しげもなく使っていただいた。
さて、今回はそのお宝中のお宝を茶会で使ってくださるとは、なんと胸が高鳴ることか!

楽々荘の玄関には端午の節句飾り。兜飾りはポピュラーだが、こういうのは初めて拝見する。ここはお雛様も古くて良いのを持っておられる。
弥陀数寄蔵さんの高名はとどろいているらしく、茶狂会始まって以来最高のお客さまがおいでになったらしい。私は終わりがけに参席。

洋館の待合には、ご自分のお寺のために最近になって手に入れられたという親鸞聖人御絵伝の巨大な一幅が。テーブルの上には三色の紐に飾られた華籠(けろう・初めて名前知ったわ)とそれにのせる散華。

洋館のテラスで田楽箱にはいった老松さんの三色団子をいただいて、いよいよ其中庵の濃茶席へ席入り。
薄暗い小間の錆のでた床に鉈目もくっきりした渋い竹の花入、そこに藤の花がたれさがる。数寄蔵さんのお寺の本山は西本願寺、その寺紋の下り藤をあらわす。
藪内4代目(数寄蔵さんは西本願寺とも縁の深い藪内流なのだ)蕉雪斎剣渓手作りとか。
台目の点前座におかれた水指は朝鮮唐津のおそらく種壺かなにかを転用したもの。そういえば数寄蔵さん、古唐津については造詣が深くておられ、そのコレクションもはんぱではなかった。(古陶磁研究会でたくさん拝見させてもらった)
形としては芋頭みたいで、たたきつけているような2種の釉薬がなにやらアバンギャルド。目を惹くのが蓋。無骨な裏の削り後もくっきりの焼物の蓋で、茶入の蓋を大きくしたような感じ。塗の蓋より尋常じゃない感じがして印象的。
そして出た〜〜〜っ!!
本日一番のごちそう、井戸茶碗・小貫入(もしくは小井戸)、その名も「八重桜」。
実は数年前の根津で井戸茶碗展があったとき、「個人蔵」として出ていたものだそうで、私見ているはずなんだ。図録を調べたら、あるある、これだ〜!!
色は正しく枇杷色、底に目あとが6個もあって、梅花皮やら貫入やらが中にも外にも大小様々、びっしりで、どれだけすごい景色なんだか。もちろん高台脇の梅花皮も美しい。驚いたのは、その軽さ。唐物茶入の軽さにみんなおどろくというけれど、これもそんな感じ。
なぜ銘が八重桜なんだろう。内外にできた白っぽい梅花皮の盛り上がりが、離れてみると満開の桜に見えなくもない。それで数寄蔵さんはこの季節にこの茶会をもよおされたのだな。
ありがたいことにこの八重桜で濃茶をいただく。
あの根津では冷たい厚いガラスの向こう側だったあなたに口づけ〜(^o^)、一生の思い出になりますわ〜。
他に惜しげもなく、奥高麗、絵高麗の極渋茶碗も披露してくださった。
茶入が正真正銘の古備前。天正年間(桃山時代)ごろの備前の名工といわれた(謎の人物らしいが)三日月六兵衛作。底に「六」の文字が。この人は作品に欠月(三日月)の記号を印したので三日月と称されたらしい。(古田織部所持の肩衝茶入「さび助」にも同じく「六」の文字あり)
道具の説明をされる数寄蔵さんはお仕事柄(法話、説教がお仕事です)お話しがとてもお上手で、その深い蘊蓄とともに聞き惚れてしまった。その説教のおもしろさ、巧みさで(もちろんお人柄も大きい)あちこちにひっぱりだこ、というのもよくわかる。

広間の薄茶席ではこの前の根來ごろごろ茶事ですっかり楽々荘あるじが気に入ってしまわれた?四頭形式で。お盆にのせた複数の天目茶碗+天目台にあらかじめ薄茶をいれ、客にもたせる。浄瓶(じんびん)でお湯をそそいでまわって茶筅を中腰でふる。
お客さん全員分の天目茶碗があるのもびっくりで、さまざまな材質の天目台もあるのにびっくり。仁清の三玄院天目もあったのを見つけたわよ〜!!
床にはこれも数寄蔵さん蔵の鎌倉時代の絵因果経。お釈迦様が悟りをひらくまでの物語をわかりやすい絵で解いたもので、奈良絵の原型とも。
この席が最後だったので、数寄蔵さんはじめ水屋の方々も入られ、話がはずむことはずむこと。

茶会の後の後段を水屋のみなさまと。楽々荘のイタリアンレストラン・チンギアーレにて夕食をご一緒した。ここでも道具の話に花が咲く。まあ、その物とか値段とか、われわれとはレベルが全然ちがうんだな。知らない世界の話であって、だからこそとても興味深い。
ちなみに写真はミラノカツ。これが食べたかったのだ。
いや、ほんまにええ目の正月させてもろたわ。
数寄蔵様、楽々荘あるじ様、ありがとう、ありがとうございまする〜〜。
<おまけ>
この日さしていった蝶々の銀の平打ち簪どす。

今回は弥陀数寄蔵さん(もちろん偽名よ。でも見事にご本人を表して言い得て妙な偽名)がご亭主。
何回かごいっしょさせてもろうて、質量ともに桁違いの茶道具のお蔵(コレクション)をお持ちだとは先刻承知。以前茶事にお招きいただいた時にも、美術館級のお道具を惜しげもなく使っていただいた。
さて、今回はそのお宝中のお宝を茶会で使ってくださるとは、なんと胸が高鳴ることか!

楽々荘の玄関には端午の節句飾り。兜飾りはポピュラーだが、こういうのは初めて拝見する。ここはお雛様も古くて良いのを持っておられる。
弥陀数寄蔵さんの高名はとどろいているらしく、茶狂会始まって以来最高のお客さまがおいでになったらしい。私は終わりがけに参席。

洋館の待合には、ご自分のお寺のために最近になって手に入れられたという親鸞聖人御絵伝の巨大な一幅が。テーブルの上には三色の紐に飾られた華籠(けろう・初めて名前知ったわ)とそれにのせる散華。

洋館のテラスで田楽箱にはいった老松さんの三色団子をいただいて、いよいよ其中庵の濃茶席へ席入り。
薄暗い小間の錆のでた床に鉈目もくっきりした渋い竹の花入、そこに藤の花がたれさがる。数寄蔵さんのお寺の本山は西本願寺、その寺紋の下り藤をあらわす。
藪内4代目(数寄蔵さんは西本願寺とも縁の深い藪内流なのだ)蕉雪斎剣渓手作りとか。
台目の点前座におかれた水指は朝鮮唐津のおそらく種壺かなにかを転用したもの。そういえば数寄蔵さん、古唐津については造詣が深くておられ、そのコレクションもはんぱではなかった。(古陶磁研究会でたくさん拝見させてもらった)
形としては芋頭みたいで、たたきつけているような2種の釉薬がなにやらアバンギャルド。目を惹くのが蓋。無骨な裏の削り後もくっきりの焼物の蓋で、茶入の蓋を大きくしたような感じ。塗の蓋より尋常じゃない感じがして印象的。
そして出た〜〜〜っ!!
本日一番のごちそう、井戸茶碗・小貫入(もしくは小井戸)、その名も「八重桜」。
実は数年前の根津で井戸茶碗展があったとき、「個人蔵」として出ていたものだそうで、私見ているはずなんだ。図録を調べたら、あるある、これだ〜!!
色は正しく枇杷色、底に目あとが6個もあって、梅花皮やら貫入やらが中にも外にも大小様々、びっしりで、どれだけすごい景色なんだか。もちろん高台脇の梅花皮も美しい。驚いたのは、その軽さ。唐物茶入の軽さにみんなおどろくというけれど、これもそんな感じ。
なぜ銘が八重桜なんだろう。内外にできた白っぽい梅花皮の盛り上がりが、離れてみると満開の桜に見えなくもない。それで数寄蔵さんはこの季節にこの茶会をもよおされたのだな。
ありがたいことにこの八重桜で濃茶をいただく。
あの根津では冷たい厚いガラスの向こう側だったあなたに口づけ〜(^o^)、一生の思い出になりますわ〜。
他に惜しげもなく、奥高麗、絵高麗の極渋茶碗も披露してくださった。
茶入が正真正銘の古備前。天正年間(桃山時代)ごろの備前の名工といわれた(謎の人物らしいが)三日月六兵衛作。底に「六」の文字が。この人は作品に欠月(三日月)の記号を印したので三日月と称されたらしい。(古田織部所持の肩衝茶入「さび助」にも同じく「六」の文字あり)
道具の説明をされる数寄蔵さんはお仕事柄(法話、説教がお仕事です)お話しがとてもお上手で、その深い蘊蓄とともに聞き惚れてしまった。その説教のおもしろさ、巧みさで(もちろんお人柄も大きい)あちこちにひっぱりだこ、というのもよくわかる。

広間の薄茶席ではこの前の根來ごろごろ茶事ですっかり楽々荘あるじが気に入ってしまわれた?四頭形式で。お盆にのせた複数の天目茶碗+天目台にあらかじめ薄茶をいれ、客にもたせる。浄瓶(じんびん)でお湯をそそいでまわって茶筅を中腰でふる。
お客さん全員分の天目茶碗があるのもびっくりで、さまざまな材質の天目台もあるのにびっくり。仁清の三玄院天目もあったのを見つけたわよ〜!!
床にはこれも数寄蔵さん蔵の鎌倉時代の絵因果経。お釈迦様が悟りをひらくまでの物語をわかりやすい絵で解いたもので、奈良絵の原型とも。
この席が最後だったので、数寄蔵さんはじめ水屋の方々も入られ、話がはずむことはずむこと。

茶会の後の後段を水屋のみなさまと。楽々荘のイタリアンレストラン・チンギアーレにて夕食をご一緒した。ここでも道具の話に花が咲く。まあ、その物とか値段とか、われわれとはレベルが全然ちがうんだな。知らない世界の話であって、だからこそとても興味深い。
ちなみに写真はミラノカツ。これが食べたかったのだ。
いや、ほんまにええ目の正月させてもろたわ。
数寄蔵様、楽々荘あるじ様、ありがとう、ありがとうございまする〜〜。
<おまけ>
この日さしていった蝶々の銀の平打ち簪どす。

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