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2017-08

鱒鰹審判茶事〜楽々荘 - 2016.06.11 Sat

それは大正15年、名古屋を代表する若き数寄者五人衆の敬和会でおこった争い。

かたや木曽川の鱒を天下に匹敵するものなし、とする山内茂樹、かたや沖を越した旬の鰹にまさるものなし、とする粕谷徹三。ならばその優劣をきそってみようではないか、という話になり、審判をまかされたのがかの益田鈍翁であった。鈍翁は、、、

  鱒 鰹 まさりおとりを知りたくば
     
         馳走になった 後に語らむ


という歌をよんで食べさせてみよ、とちゃっかり頼んだのである。
そしていよいよ鱒鰹審判会が名古屋で開かれることになったのであった。
しかして、その勝敗やいかに!



P6070029.jpg



  鱒 鰹 あらそふならば 馳走せよ

      馳走になりて のちに語らむ


という鈍翁の軸を手に入れはった亀岡楽々荘あるじ、これはどういう意味なのだろうか???と調べたあげく上記の茶会記録をみつけはったのである。



P6070030.jpg



いつも楽しい茶事を仕掛けてくださる楽々荘あるじ、これを再現したらさぞやおもしろかろうと、数年前鱒鰹審判茶事をしはった。そして数年ぶりにまたしてみよう!ということで、ありがたいことに、この茶事のお相伴にあずかった。


夕ざりなので3時に席入り。
待合掛けはもちろん、上記の軸である。



IMG_2682_2016061021451724e.jpg



この日はあいにくの雨であったが、雨笠が使えるかとおもえばまた楽し。この使い方はほぼ完璧にマスターしましてよ!(#^.^#)



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蹲居を使う間、次の客が笠をさしかけるが、ここでは超・有能な庭師さんがそれをしてくださる。しかし風情があるなあ。(聞くところによると神戸の方の某数寄者さんが笠がないのでかわりに盥をお客さんにさしだしたそうな(゚△゚;ノ)ノモノは使いようであるなあ)




IMG_2680.jpg



小間の其中庵はエアコンがないので、最初に広間で懐石をいただく。いよいよ鱒鰹の勝負!!

しかも料理担当が富山の万惣さん(何回もおいしい懐石いただいてますm(_ _)m)とあっては、期待もいやがうえにも高鳴ろうというもの。

床の間には、初代瓢阿のぞろりとした瓢のような籠(靫籠)に楽々荘あるじが採取してこられた花をいれる。

鈍翁の茶事ではいきなり向付に鰹の刺身がでていたが、先行のアドバンテージを払拭するため、主人公の鱒鰹がでるまではお精進、というのが心憎い。煮物椀の冬瓜そぼろがけがおいしくておいしくて感動。

いよいよ一騎打ち。

鰹の刺身はネギなどの薬味たっぷりで。
鱒は鈍翁の茶会記録にあるように蕗の葉でくるんで焼いたモノ。

いずれもほんま、これでもかというおいしさであった。素材もすばらしければ、調理した万惣さんもバンザイ\(^o^)/



IMG_2681_20160610214516630.jpg



さらに八寸対決も!

鰹のアラ焚き、鱒のスモーク、どんだけ酒を飲ませるねん!というくらいお酒がすすむおいしさ!

さてさてそのまま小間に座を移して床を見れば、なにやら巻いたままの軸が壁中央の無双釘に斜めにかけられている。これはなんの判じ物??仕付け棚の香合は、、、なんと!!軍配の形ではありませぬか!この勝負どういうことに。


切り子釜もすがすがしく、炭点前され、だされた主菓子が、、、

これもついみなさまの口から笑みがこぼれる。
白黒の咲き分けきんとん(老松製)!この勝負白黒つけましょう、のひっかけ。


中立後はそのまま小間へもどると、さきほどの軸がひらいている。

「○(円相)」

なるほど、これが審判の答なのね。


濃茶は鈍翁の号の由来ともなった表千家六代原叟手づくねの黒楽「鈍太郎」を、鈍翁自らが模してつくった大ぶりでダイナミックな割れのある黒茶碗で。(あるじは鈍翁を尊敬してやまない)

その他のお道具も、薄茶に出された数々の茶碗も、私が「現代の」近代数寄者とおよびするあるじの手に掛かれば、もうなにもいうことのないすごいものが次々と。

特に薄茶二服目に希望してのませていただいた桃山時代の黒織部(模様が算盤の珠のような、斜め格子のような、鱗紋のような幾何学模様)、あれいいですねえ、、、、☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆(淡交別冊「織部」にこの茶碗の写真がでていてまたびっくり!)



IMG_2685_2016061021452037c.jpg



はてさて、道具に浮かれてばかりではだめじゃん。鱒鰹対決、どちらに軍配があがりましたでしょう!?


鈍翁は茶事の最後に判定を乞われて


   一度では 勝負わからず 鱒鰹

        次の年まで あづかりとせむ


としゃあしゃあと詠んだそうです。
つまり勝負はつかず、しかも次のご馳走まで催促しているわけで、それはわれわれ今日の客も同じ、是非是非二回戦、いや三回戦くらいまでお願いしたいところ。


いや、大正の数寄者たちのこの遊び方の粋なこと!
ある意味アホらしいことに金と時間と情熱を傾けられた風雅な時代を懐かしむような気持ちで思う。そんな良い時代もあったのだ。



IMG_2687.jpg



お土産に薄茶席の干菓子にも使われた小松市・行松旭松堂さんの琥珀をいただく。これを購入することによって売上金から1000円を熊本地震復興のための募金にあてられるとのこと。心からエール応援したい。



P6070046.jpg



茶事もお開きになったころ、あたりは宵闇につつまれる。雨もやんだようだ。あるじは小型バンで沢辺に案内してくださった。そこで見たのは、、、

あるときはシンクロして、あるときはふたつみつばらばらに、夜の闇を乱舞する蛍の夢幻の舞であった。
(だいぶん努力したが写真はついに撮れなかった!(>_<) )



亀岡最高!
そして「現代の」近代数寄者・楽々荘あるじに深く感謝いたす次第でございます。




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