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2017-06

「一億人の茶道教養講座」岡本浩一・著 - 2013.04.12 Fri

一億人

著書「茶道を深める」で、私の茶の湯のspiritualな師匠となった岡本浩一先生の新刊がでました。
「茶道を深める」も「茶道に憧れる」も少し襟を正して読まなければならない雰囲気を持っていました。でもこれは新書版、気軽にふむふむと読める、と思っていました。

茶道をやったことのない人も念頭において、というコンセプトで書かれた本だというし、最初の茶道の歴史や禅との関わりなどは、知ってる知ってる、復習だなこれは、などと思っていたのです。
でも途中から、これは寝転がって読む本じゃないぞ、と気持ちは正座。
ダイジェストながら、茶道に関する「教養」の教科書ではありませんか。これを読むだけでいままで断片的に持っていた知識がかなりすっきり整理された感じがします。

例えば、漠然ととらえていた利休のなにがどう革新的だったのか。知っていそうで系統立って考えたことがなかったことが、箇条書きで整理され、これは受験生時代のまとめノートみたいだなあ、、、と。

あくまで最大公約数的な見解とことわってあります。専門的な研究では諸説紛々な事象もありますが、しろうとには理解しかねるので、こうしたざっくりとしたダイジェストはとてもわかりやすい。
そこからさらに深く知りたい、という気持ちが芽生えれば自分で調べればよいのだし、知りたいという気持ちを励起してくれる本、ととらえるとよいかもしれません。

楽茶碗の歴代の作風の違いについても大まかなとらえ方がまとめられていて、これはとてもありがたい。
長次郎、のんこうは別格としても、歴代の違いなんて考えてみたこともなかったのです私、恥ずかしながら。
これからは楽美術館へ行くときにこの本を握りしめて、自分なりの検証をしなければ。

その「教養」というもの。
この本の中のその定義説明は少しむつかしい。茶道を例に挙げて書かれている部分を抜粋しますと、

茶を知るとは?
茶道の概要、禅との関係、茶道史、流派の概要、主な茶人のイメージ、点前の概要、美観の概要、陶磁器、建築などを知る、、、


点前手順を覚えるだけでは茶道教養を身につけた、とはいえない。
また、知識を蓄えることだけでなく、それらを身につける課程でした修練、その修練を乗り越えて形成された人格=茶人としての「教養」、ということでしょうか。
言葉足らずですが、私の理解のしようはこんなところです。

茶道は稽古場だけでおわることはない、と痛切に思います。もっと奥を知りたい、もっと広く知りたい、という気持ちにさせる深さが茶の湯にはあります。
じゃあ、それを知ろうと行動をおこす人とおこさない人。前者との話の方がだんぜんおもしろい!
背景に幅広い知識・教養を身につけたお茶人さんとの話は楽しくてしかたがない。
自分もかくありたし、と努力だけはしますよ、努力は。(成果は、、、知らん)

「他流派への関心が茶観を成長させる」という章も頷ける事が多いです。
利休時代の点前はどうだったのだろう、という素朴な疑問から発して、他流の点前を意識して見るようになってから、茶の湯のおもしろさが俄然大きくなった様な気がします。
「真」の点前は、いわば書院の茶(足利義政〜)であるので、実はどの流派も大きな違いはないと推測する、というのは納得です。裏千家の草の点前は究極の省略しまくりなので、真の点前のすがたがわかりにくくなっています。他流派の草の点前のなかに裏千家の真点前の所作との共通性をみつけて、なるほどな、と思うことがありますね。


それからこの本のなかに「市井の茶人」という言葉がでてきます。
岡本先生命名で、「茶道以外の仕事をしながら、自分の心のよすがとして真剣に茶道に取り組んだ茶人」のことです。

今は仕事に占領される時間が多くて、早くリタイヤしたい、が口癖の私ですが、いつもこの「市井の茶人」という言葉に励まされています。
もっとも市井の茶人の例としてあげられているのは松平不昧公(藩主)、井伊直弼(大老)、住友春翠(銀行家)、益田鈍翁(三井財閥)と大物ばかりなので、私など例にあげるのは甚だおこがましいのですが(^_^;

茶を考える時間は物理的には少ないのは確かですが、本分たる仕事というバックグランドを背負ってこそ、自分らしい茶の湯になるのではないかとも思うのです。

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● COMMENT ●

しぇるさまの書評が出るだろうと、待ってました! 
この本は本当に大勢の方に読んでもらいたいですね。茶の湯の歴史、コンセプト、キーパーソン、道具、全ての説明がざっくりと簡潔に展開されています。知らない人には分かり易く、知っている人は改めて自分の知識を整理できます。私には、今までもやもやだった瀬戸茶入れの釜分けがすっきりしました。
あとがきに「ひな形的な茶道知識の伝達を主眼としたので、新しい研究動向や研究成果へ言及を割愛気味とせざると得なかった」とあるように、割切って大胆に展開なさったことが功を奏していると思います。

そらいろのつばめ様も読んでおられるのですね。
私は今日 本を買ってきました。
早速読んでおります。(寝転んで読める部分です)

茶碗の窯ですが 中部あたりを境にして 朝鮮系と中国系に別れるそうでね。
茶入れもそうなのかしら?楽しんで読みたいと思います。

そらいろつばめ様

そうですか!私も瀬戸の窯分類がすっきりした!と一度書いていたんです。(文脈上削除しましたが)
春慶と藤四郎春慶の違いがなんだかよくわからん、、と思っていたので。
お茶をやっている人ならとてもおもしろいと思いますが、お茶をやってなくて、この本に興味をもつ人ってどういう人かな?と具体的に思い当たりません。逆にこの本をおもしろい、と思う人ならもうお茶やってそうな気がする。^_^;
楽歴代の名前も、これでやっと言えるようになりました。作風の違いについては今後の課題、ということで。

ひいらぎ様

カバンの中でもかさばらないサイズなので、通勤時間にするするっと読めてしまいました。ひいらぎ様が京都へ出勤(?!)されるときのお供にぴったりかも。
教養を身につけるには最低知識はなければならんと思うので、ますます勉強します。(といいつつ茶道検定の問題集惨敗ちう、、、)

はじめまして。

1年ほど前に裏千家茶道を始めまして、お師匠に恵まれ現在楽しく勉強させていただいています。
色々と茶道ブログを検索している中、こちらに辿り着き、初心者には勉強になることばかり、とても興味深く拝見しております。お仕事をされながら、ここまで深められていらっしゃる、、、
私も普通の会社員、マンション暮らしで難しい部分もあるのですが、工夫を凝らし、まずはお茶事を開催したい、と思っています。
これからも、勉強させていただきます。
ありがとうございます。

まるーん様

ご訪問ありがとうございます。
おまけにコメントまでうれしいです。最初の茶事をやるまでいろいろ試行錯誤、紆余曲折ありましたが、始動すると楽しいものですね。1年で茶事をめざされるとはすばらしい!是非失敗をおそれずどんどん茶の道をすすんでいってくださいませ〜。私も体力に合わせて回り道しながらぼちぼち(*^^)v


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