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2023-09

水車の竹中みち〜茶の湯と川床のある風景5日間の顛末 - 2016.09.23 Fri

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岡崎の平安神宮より南、都メッセの疏水から分流する白川。
春には桜の秘密の名所ともなる大好きな通り道。

けれどこの美しい景観は、ほっておいたら観光開発やマンション開発の波にのみこまれ破壊されていたかもしれない。この界隈にお住みの方の維持努力があってはじめて美しく保たれているのを知ったのは、今年五月、茶事のために白川ぞい・竹中庵をお借りしたとき。

かつてこの白川の水流をつかった竹中精麦工場(大麦の加工工場)が竹中庵の場所にあったのだ。向いのマンションの場所には冷蔵工場、マンションに建て替えられるとき少しでも景観を維持するようにと白川との間に桜の木を植えて欲しいと要望し、それがかなえられ、今や桜の名所になったわけだ。




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その景観を維持し、少しでも知ってもらおうと数年前からこの季節、竹中庵の竹中さんのお世話で、都市計画の専門家や学生さんも交えてひらかれる白川茶会、今年は5日間、亭主を日替わりで、白川の真ん中に床をすえて行われた。

おりしも台風直撃の5日間、、、さて、いかがあいなりましたでしょうか。



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前日お掃除の手伝いにいったときの川床の様子。お〜やっとるやっとる。かっこいいな、これ。



1日目


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初日の亭主はF太朗君。

実は川床をつかってちゃんと亭主ができたのはこの日だけ、F太朗、ええとこ全部もってった!




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通りすがりの人もいたかも。大人も子供もお茶を知っている人もいない人も、楽しそうに茶席の下の水の流れを楽しみお茶を楽しむ。



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中には亭主にお尻をむけて足を川につっこみながらお茶する人も。
なんとも楽しい風景。



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その茶席の上流にあるのはこれまた建築デザインを学ぶ学生さんの力作ピラミッド茶室。(実はこれも台風のせいで一日しか稼働しなかった!)



2日目



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亭主は不肖わたくし。

川床の上で川の中でやるのを楽しみにしていたのに、無情の雨!
お向かいの竹中さん所有の町家(将来はゲストハウス)の一階にて急遽場所変更。



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庭でとれた秋海棠と白の水引も用意し、



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急遽の茶室こしらえに逆勝手も準備し、



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愛信堂さんにお願いした干菓子もたくさん用意したのに、、、、



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雨が、、、集中豪雨のような勢い。
道行く人は急ぎ足で家に帰る、、、わな、そりゃ。自分が客でもさすがにこんな日はいらんわ。

雨の激しさにめったにない白川の増水がおこり、床が冠水したら流れて行ってしまうので、撤去すべきかどうするか担当のKさんは悩んでいる。




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結局ピラミッド茶室の学生さん(一人としてお茶を習ったことある人いなかった。やっぱり世間的にお茶はやはり特殊な世界なんか、、、)と、大雨をついてきてくれたありがた〜いわずかなお客さんだけでこの日はおしまい。(ありがとうございました!!)





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豪雨の音に白川の流れの音もかきけされ、、、室内ではろうそくをともして竹中さんとKさんと水屋手伝いしてくれたWさんと、おもに白川の景観についてお茶について、いろいろ静かに語りあえたのがよかったかな。



3日目


実はKさんから台風のため三日目以降中止にします、と伝達がきたのだが、、、

そこは亭主一味がだまっていなかった。どんな条件でもお客さんがこなくても、茶会はやる!!
おお〜!!素晴らしき数寄者魂!

その熱意にほだされて、床も撤去せずにすんだことだし、竹中庵の母屋を茶室にして継続することに。




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3日目の亭主は秘密結茶のMちゃん姉妹+能ユニット(?)TBTのMさん。

Mさん所有の能面(神体系だったか?)が飾られた床。



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葉っぱの茶巾置、兎さんの五徳など、Mちゃんらしさいっぱいの素敵な席になっている。



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お茶をいただくあいだ、外の白川の方から聞こえるMさんの小鼓。どうやら川中の床几のところで打っているらしい。しかも冴え冴えとしたよい音!
Mさんいわく、後のマンションが能舞台の鏡板の役目をして反響が抜群なんだそう。そうか、白川、音曲や謡の舞台にも最適やんか。



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Mちゃんの炉はお湯をわかすだけぢゃありません。肴も炙ってお酒とともに出していただく。3日目も楽しいうれしい席であった。



4日目


またまたここでハプニング。

朝から台風直撃の大雨で担当亭主がリタイアを宣言。ところがどんな環境でもやるのがお茶だ!こんなおいしいシチュエーションを逃してなるものか、とF太朗君の数寄魂炸裂!水着+ゴーグル持参で雨の中、川床で茶席をやると宣言。




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夜までに台風は通り過ぎ、雨もあがったが、一体どういうことになっているのろう、、、と行ってみると、、、、なんと!床の上ではじまっていたのはKさんによる大鍋宴会!しかもスタッフばかりとはいえたくさんの人。みなさんの好き者、、、いや数寄者ぶりはよ〜くわかりました。




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朝の雨がウソのように穏やかな白川の流れの音をききながら鍋をつつき酒を飲み、



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こんな景色を楽しむ。
この白川の景色、ほんとうにいいなあ。特に近所にあってうれしい限り。



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そうこうするうちに床几からちょうどみえる場所から月ものぼってきたではないか。



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遅れてきたF太朗君は早速湯をわかし、ほんまに(雨ふってないけど)水着+ゴーグルでお茶を点ててくれたのだ。実はこの夜が一番楽しいお茶だったかもしれない。



5日目 最終日


やはり雨がふろうと台風がこようとお茶する!とのたまわった数寄者の鏡・Y&Yペアの席。




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竹中庵母屋にて。



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Y&Yペアは裏千家と藪内のペア。これはどうまとめるのか?
と思っていたらなんと山里棚。これは両派共通の棚なのだ。

そのいわれを博覧強記のYさんから聞いてびっくり!もともと藪内剣中が利休からたまわり、藪内に伝わるも、淡々斎が使わせて欲しいと、かつて使うたびに藪内に挨拶にいっていたのだそうだ。
知らんかったなあ、、そんないわれがあるとは。



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お菓子は月。Yちゃんこだわりの鍵善さん特注のもの。泡雪寒みたいにふんわりしてとても美味しかった。雲華のお皿もYちゃん家ゆかりの品。

道具組がYさんこだわりのストーリーになっていて、わざわざこの茶会のためにいろいろ入手された物も多い。これは中止するわけにはいかんよなあ。




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川床のそばに沈めてある大きな壺に鴨川で刈ってきたというススキをいっぱい投げいれてくれたのもYさんであった。



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かくして亭主の数だけ数寄のありようがあった白川茶会、雨にも負けず風にも負けず無事お開きとなりました。



お茶は亭主する方が楽しい、絶対そう思う。



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● COMMENT ●

しぇるさん、こんにちは

ああ、白川でその様な茶会が・・・

ええなぁ^^

そして、2日目のご亭主は

しぇるさん

これまた、

ええなぁ^^

高兄様

とてもすてきな場所です。
私の茶会は大雨でほとんど流れましたが、、、、(^_^;
桜の頃がまた絶品の景色なので竹中庵で茶会などしたいなあ、、、


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