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2017-08

播磨路の有明の月茶事 - 2016.10.16 Sun

播磨の国にてお茶事にお招きいただく。

待合にて播磨路の有明の月を詠んだ歌。



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汲み出しの小さな碗は蓮月さんのものでそれぞれ違う蓮月さんの歌の釘彫り。
引っ越し魔ではあったけれど、蓮月焼を始めたゆかりの粟田焼、粟田近くの岡崎村にしばらく寓居された蓮月尼。今の我が家が岡崎なので、ひそかに親しい気持ちをもっていたので、これはうれしい。

足腰への負担を考え、見立ててご自作された低めの立礼のような本席、体をおいといされながらお孫さん達とも茶事茶会を楽しまれるゆるゆるお茶ライフ。これから体力が落ちてきても十分楽しめるんだ、とお手本にしたいと思う。

けれど決して手はぬかれない。
懐石はシンプルに見えて実は非常に手間暇かかっている。地下水を料理にも使って、出汁は水出し昆布、味噌や野菜の選択も十分吟味、手作りの胡麻豆腐はなめらかで絶品であった。



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ご亭主は庸軒流、懐石の作法も少し違う。

庸軒流では懐石は質素に控えめに、お茶が主役、というのがポリシーなのだそうで(本来そうあるべき、と私も同意)一度たくさん強肴をだしたら、先生が「それはひっこめなさい。」とおっしゃったこともあるとか。

藤村庸軒は宗旦の弟子、乞食宗旦といわれ実際利休賜死のあと、経済的に困窮していたわけだけれど、フル懐石ではない飯後の茶事をよくしたという。その師にしてこの弟子、なるほどな、と思う。
一方武家系の流派ではやはりサムライは体力維持のためたくさん食べなければ、ということで山ほどでてくるところもある。

今回は名残の時期なので、寄せ向う(そろわない向付をわざわざ使う)、どれもすてきに古い器であった。

そして引重を使われた。

引重は二段の重箱の上の段に香物、下の段に焼き物をいれ、箸は一方なまぐさ、一方精進ということで両方使える両細を添える。裏千家でも香物の箸が両細なのはその名残だと聞いた。
しかしながら、いまだにどういうタイミングで上の香物の重をまわすのか、よくわからない。真の茶事などでは引重は必ず出るから、この作法、知っておきたいのだが、、、



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主菓子はこれもお手製のじょうよ。すすきの焼印がやはり月を連想させる。


中立の間は手入れの行き届いた庭を愛でる。歴史のあるおうちの庭をお茶仕様に工夫されている。蹲居も立ち蹲居で腰にはありがたい。


後座。


池川みどりさんの揖保川焼(播磨のお茶人さんには大人気)のしゅっと縦長の細い花入れにワレモコウ、シロバナホトトギス、シュウメイギク、繊細な桜タデ。
お釜は鉄風炉、灰にはかきあげ(鉄風炉には灰に筋を入れ掻きあげるのがお約束)

そして初めて拝見する庸軒流のお点前。

宗旦は千家が三流派に分かれる大もとの人だから、表千家によく似たお点前。と思ったら、庸軒はもともと久田家出身の人だったんだ。(初代久田家の次男)
斬新だったのは茶巾の扱い。使う前に勝手付で茶巾を裏表、熱湯消毒(?)するのだ。そして茶碗に投げ入れるような所作。これは山荘流でもあったな。

高麗刷毛目の茶碗でたっぷりと濃茶をいただく。これぞ手練のお練り加減、あつあつで美味しい。播磨のお茶屋さんのお茶とのこと。これも吟味してくださったのだろう。



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薄茶では、立礼席の茶碗を出す台にあたるところが実は洞庫みたいで中から替茶碗がでてきたのには驚く。
山田無文老師の手になる「月」の字の描かれた呉器風の茶碗がよかったなあ。ご夫婦で無文老師のおられた妙心寺に帰依しておられるとか。


お干菓子も手作りの稲穂の打ち物、なんて美味しい。和三盆にきな粉、白あんで作られた物とか。ほろほろとくずれる口溶けはプロ級であった。ご連客のおひとりもお茶のお菓子は全部ご自分で作ってしまわれる方だったので、レシピをくわしくチェックしておられる。私も及ばずながらマネしてみようかな。


最後に拝見した茶杓が、席中での私との会話で急遽さしかえた、という金戒光明寺(くろ谷さん)塔頭西翁院の何代か前のご住職さんのもの。
この西翁院は庸軒の祖父が建てたもので、名席「淀看席」は庸軒が作った庸軒流ゆかりの塔頭なのだ。その淀看席にちなむ山階宮(幕末勤皇志士に味方した気骨のあるお公家さんだったらしい)の歌銘。やや小高い場所にあるここからはかつて淀の方まで見えた。その景色を歌ったもの。

西翁院はうちの家のほん近く、さらに学生心茶会は秋の錬成茶会をよくここでしているので(私が学生の時もした記憶ある)、馴染みのある大好きな塔頭(非公開)。その気持ちをくんでくださったことがありがたい。

蓮月に始まり西翁院に終わり、あちこちに散りばめられた陰の月。
帰り道、まだ月は日の浅い月であったけれど、心の中には有明の月が浮かんでみえた。

感謝。



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