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2017-05

半泥子の茶碗をめぐる茶会〜笹山芳人さんと - 2016.10.14 Fri

伊賀丸柱にある笹山芳人さんの窯を川口美術の川口さんのご案内で訪ねたのは遅桜の頃だった。



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(この日は旧暦の重陽の節句だったので着せ綿に似せた室礼を)



もともとご実家は伊賀丸柱の土鍋作りを家業としていたとはいえ、一時サラリーマンをしていたのを30代にして捨てて陶芸の道にはいった、そのきっかけが半泥子の茶碗だったという。

半泥子といえば作品は自由奔放で飄逸、銘が「欲袋」(破れ袋の向こうを張る伊賀水指)とか、「閑く恋慕(かくれんぼ)」とか「猫なんちゅ(犬はワンとなくが猫はなんとなく?)」とか人をおちょくっているようなイメージ。でも、まともなもの(?)も実は多く、陶芸としては高く評価されている。

半泥子本人がいうところ「光悦と同じく生活の手段でなく趣味だから、売れる売れないは考えず自分の好きな物だけを作れる。」というあたりがあの作風の原点だろう。




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その笹山さんが愛してやまない半泥子の茶碗を入手された。高いお金を払って購入したわけではない。来るべき人の所へ茶碗が自分でころがりこんだ、、、というべきか。

その記念にくだんの茶碗を使わせてもらって、川口美術主催の茶会を我が家でひらくことに。


飾りも気どりもないお人柄の笹山さんは茶碗をしまい込んだりせず、毎日そばに置いてそれで茶を点ててのまれているそうだ。茶会の前に持ってきてくださり、ほいっと差し出されたその茶碗をうやうやしく受け取る。




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招待されたのは若い陶芸家さん、若い茶人さん、川口美術ゆかりの方々、私もはいって9名。六畳の間はちょっとぎゅうぎゅうだったが、まずはお弁当をいただきながら、茶碗をみんなで眺めてさわって茶碗談義。
ご入手のいきさつや半泥子のエピソードや、どんな風に影響を受けているかなどなど。

「椎ノ実」(半泥子にしてはマトモ?)と名付けられたその茶碗は椎の実のように少し丈が高く灰色の釉薬+白の釉薬で一見唐津のような、手のひらにすぽっとおさまる茶碗であった。

どうしても半泥子というとアヴァンギャルドな茶碗のイメージが先行するが、これはなかなか端整。展示会となるとどうしてもインパクトのある作品ばかり並べがち、、なのであやまったイメージだと笹山さんはおっしゃる。

私などは茶碗はどうしてもお茶の亭主、使う側としての見方をしてしまうが、陶芸家さんたちはやはり作り手としての見方をされているのが新鮮であった。そういうポイントは普段チェックしないよなあ、、ということ多し。おもしろい。



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会食のあとはいよいよこのお茶碗にて茶会を。

水指は笹山さんの大平片口、それを購入した川口美術にたまたまその場にいた木工の水野悠祐さんにお願いした蓋をつけたもの。
敷板は春に笹山窯を訪ねた時に拝領した舟板。(いいなあこれ、といったらくださった。太っ腹!感謝!)




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二組に分かれて席入りしていただく。先発が主に陶芸家グループ、後発が主に茶人グループだったので、席での会話、話題が全然ちがっておもしろかった。作り手と使い手の違いをふたたび。それを味わえたのは亭主の役得。

「椎ノ実」は少し塩笥のように口がつぼまっているので点てやすいとは決していえないが、人の手にいだかれている姿がよいなあ。男性の大きな手には少し華奢に見え、女性の手の内にある時はちょうどすっぽりと。茶碗はやはりこういう場で使われてこそ生き生きと命を持つようだ。美術館にずっと展示されたままの茶碗はどこかかわいそう。

すべてこの一碗で二服ずつ点ててさしあげた。自分でも一服いただく。口当たりがよい、手取りがよい、抹茶の色が映える、、、半泥子はやはりお茶を知っている人だったのだな、と思った。


お菓子は愛信堂さんにお願いした「着せ綿」。



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花入は、初めて触れた笹山作品で記念すべきもの。裏と表で表情がまったく違っていて時代がついているように見えて、けっこうお気に入りなのだ。

若い陶芸家さんのお一人はこういう小寄せの茶室でお茶を飲んだのは初めてとおっしゃる。こういう機会を今後の作陶に少しでも生かしてもらえたなら、亭主冥利につきるというもの。

茶会の後もひとしきり茶碗談義は続いたがついにおひらき、笹山さんはまた半泥子の茶碗を箱に入れて包んでぶらさげて、颯爽と帰っていかれた。


(笹山さん、川口美術様、御参席の皆様、つたない亭主をつとめさせていただきほんとうにありがとうございます。とても楽しかったです。)





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