菊花の茶会〜黄梅院 - 2016.10.20 Thu
昨年は春にひらかれた大徳寺・黄梅院の是空庵さん主催の春風流水の茶会、今年は秋に「菊花の茶会」としてひらかれた。
是空庵さんは関東のすごい数寄者なのだ。歴史的価値のあるお道具からみたての道具、お嬢さん、息子さんが塗師と金工をされているので、思いのままに新しくデザインして作った道具、それらがすべて同じ舞台に縦横無尽にならぶ茶席はお見事と言うほかない。
黄梅院ご住職の小林太玄師と長年のおつきあいで毎年ここで茶会をひらかれる。
いつもは薄茶席を是空庵さんがされるのだが、今年はひとやすみしてください、というご配慮で、関東の鴛鴦会(夫婦でお茶を楽しむかなりハイレベルな(^_^;会)のメンバーさんが立礼席、濃茶席、薄茶席すべてもたれた。
今年はきばって早く行ったので、第一席・太玄和尚様とごいっしょに席にはいることができたのはうれしかった。長年の知己であるご亭主たちとの会話の弾み方がちがう。
まず立礼席では初代飛来一閑の「飯后軒」の扁額がかかる。
明から亡命してきて宗旦の茶の弟子になった一閑は宗旦から「おまえさんは物覚えが悪いから濃茶は習わずに薄茶だけにしなさい。」云々の書状付きの扁額で、(飯后軒は宗旦からもらった号)黄梅院のお蔵から初めて出してきたものだそうだ。
図らずも立礼のご亭主が使われたのが初代・一閑の煙草盆であって、ご亭主は「鳥肌がたつ思い」とおっしゃる。わかるような気がするわ。
立礼の台は特注でこしらえはったもの、上の台が伊勢神宮遷宮時の材、下の台はふすま紙を貼っているので、季節によって模様をとりかえられるというスグレモノ。茶器が万象さんがまだ作りかけ、という曲げの青海波模様、この茶会が終わればまた胡粉の置き上げを追加されるというストーリーもおもしろい。このままでもけっこうステキなんだが。
びっくりなのは漆の塗盆に銀の波模様の装飾がついていたこと。是空庵さんのお子様たちの合作なのでしょうか。普通ではお目にかかれない茶道具がつくれるのは強みだなあ。
薄茶席は広間の玄徳軒にて。山形からこられたご夫婦がもたれた。これがまた楽しいお席で。
和尚様は中置きの風炉(?)にこれは見事!とうなり声をあげられる。四角の真塗りのつやつやベンガラ色の風炉はすごい存在感。私もまけずにうなる。なんとこれは火鉢なんだそうな。和尚様曰わく、焼香台であったのではないかと。
その風炉に合う釜を探しにご一家で旅をされた、というからすごい。
ちなみにお嬢様方はまだ10代前半、つややかな振袖姿でおはこびをされていたのが印象深い。ええなあ、振袖、、、(もう着られんけど)
耳盥に竹炭を敷き詰めて花入れにしたのはこれはいただきのアイデア。
軸は和尚様がご亭主ご夫婦の銀婚式に送られた「無声呼人」。徳のある人のまわりにはだまっていても人は集まるの意。
棗がこれまた是空庵さんのお嬢さんに注文された棗で、私も大好きで茶杓の銘にもしている人麻呂の
「あめのうみ くものなみたち つきのふね ほしのはやしに ごくかくるみゆ」がテーマだとは!!うれしい!
縁に薄くかかる月、ちりばめられた金砂子は星。ええなあ、こんなふうに注文できるの。(と、常にここにおちつく)
お菓子も特注、鴛鴦会なので鴛鴦と月、そして山形の山葡萄の果汁をつかった琥珀。これはほんのりすっぱくて美味しかった。
数茶碗はこれも特注の2種、一つは陶器の瓔珞模様、もう1種は染付、違うテイストながらモチーフが同じで、長寿・吉祥の桃・石榴・仏手柑。数寄のきわみやな。
濃茶席の待合では利休62歳の作と伝わる庭を眺めながら、利休参禅の師であった古渓宗陳の軸、茶の師であり、濃茶席・昨夢軒を作った人でもある武野紹鷗の茶杓・銘「さゞれ石」を拝見する。まあ、なんて艶やかな煤竹(?)拭き漆(?)の茶杓。
主菓子の栗きんとん、栗の香りがいっぱいで美味しかった。
昨夢軒は本来4畳半、襖をあけはなち広間としても使える。黒いスサ壁が渋い。
この席のご亭主は鎌倉からこられたので、鎌倉と言えば将軍実朝に栄西が献上した「喫茶養生記」、ということで軸も太玄和尚の「喫茶養生」。
昨夢軒の作者の紹鷗=大黒庵にちなんで大黒〜布袋の堆朱香合。茶の十徳が鋳込まれた古い釜は無骨なほど堂々としていてあわせた風炉も無骨そのもの。
主茶碗の伊羅保が肌の色・質感が渋くて印象的。ちょっとかしいだ姿もいい。銘がめずらしくて「羊腸」。羊の腸のように幾重にもおりたたんだような箱根路を越えて京都にやってきました、との意で使われたとか。
みなさま、ご夫婦で数寄を楽しまれているご様子、うらやましくてしかたない。少々値の張るお道具でも相方に内緒でこそこそ買わなくてもいいだろうしなあ、、、(^0^;) 夫婦で共通の趣味ともなれば暴走しそうでこわくもあるが。
最後に是空庵さんチョイスの?点心をいただく。
小さいお皿がちまちま、かわいい。なんと祗園祭にはしみだれ肉まんをだす洛中の膳所漢ぽっちりさんの点心ではないか。おいしいのはもちろんだが、左下の菊花粥が菊花茶会にぴったりですてきであった。
今年も楽しませていただいた黄梅院茶会。
和尚様によると茶会に使ったのはこれが今年で初めてとか。ありがたいなあ。
大徳寺のあちこちで原種フジバカマ(園芸種よりワイルド)が栽培されていたのが季節柄ですてきであった。
是空庵さんは関東のすごい数寄者なのだ。歴史的価値のあるお道具からみたての道具、お嬢さん、息子さんが塗師と金工をされているので、思いのままに新しくデザインして作った道具、それらがすべて同じ舞台に縦横無尽にならぶ茶席はお見事と言うほかない。
黄梅院ご住職の小林太玄師と長年のおつきあいで毎年ここで茶会をひらかれる。
いつもは薄茶席を是空庵さんがされるのだが、今年はひとやすみしてください、というご配慮で、関東の鴛鴦会(夫婦でお茶を楽しむかなりハイレベルな(^_^;会)のメンバーさんが立礼席、濃茶席、薄茶席すべてもたれた。
今年はきばって早く行ったので、第一席・太玄和尚様とごいっしょに席にはいることができたのはうれしかった。長年の知己であるご亭主たちとの会話の弾み方がちがう。
まず立礼席では初代飛来一閑の「飯后軒」の扁額がかかる。
明から亡命してきて宗旦の茶の弟子になった一閑は宗旦から「おまえさんは物覚えが悪いから濃茶は習わずに薄茶だけにしなさい。」云々の書状付きの扁額で、(飯后軒は宗旦からもらった号)黄梅院のお蔵から初めて出してきたものだそうだ。
図らずも立礼のご亭主が使われたのが初代・一閑の煙草盆であって、ご亭主は「鳥肌がたつ思い」とおっしゃる。わかるような気がするわ。
立礼の台は特注でこしらえはったもの、上の台が伊勢神宮遷宮時の材、下の台はふすま紙を貼っているので、季節によって模様をとりかえられるというスグレモノ。茶器が万象さんがまだ作りかけ、という曲げの青海波模様、この茶会が終わればまた胡粉の置き上げを追加されるというストーリーもおもしろい。このままでもけっこうステキなんだが。
びっくりなのは漆の塗盆に銀の波模様の装飾がついていたこと。是空庵さんのお子様たちの合作なのでしょうか。普通ではお目にかかれない茶道具がつくれるのは強みだなあ。
薄茶席は広間の玄徳軒にて。山形からこられたご夫婦がもたれた。これがまた楽しいお席で。
和尚様は中置きの風炉(?)にこれは見事!とうなり声をあげられる。四角の真塗りのつやつやベンガラ色の風炉はすごい存在感。私もまけずにうなる。なんとこれは火鉢なんだそうな。和尚様曰わく、焼香台であったのではないかと。
その風炉に合う釜を探しにご一家で旅をされた、というからすごい。
ちなみにお嬢様方はまだ10代前半、つややかな振袖姿でおはこびをされていたのが印象深い。ええなあ、振袖、、、(もう着られんけど)
耳盥に竹炭を敷き詰めて花入れにしたのはこれはいただきのアイデア。
軸は和尚様がご亭主ご夫婦の銀婚式に送られた「無声呼人」。徳のある人のまわりにはだまっていても人は集まるの意。
棗がこれまた是空庵さんのお嬢さんに注文された棗で、私も大好きで茶杓の銘にもしている人麻呂の
「あめのうみ くものなみたち つきのふね ほしのはやしに ごくかくるみゆ」がテーマだとは!!うれしい!
縁に薄くかかる月、ちりばめられた金砂子は星。ええなあ、こんなふうに注文できるの。(と、常にここにおちつく)
お菓子も特注、鴛鴦会なので鴛鴦と月、そして山形の山葡萄の果汁をつかった琥珀。これはほんのりすっぱくて美味しかった。
数茶碗はこれも特注の2種、一つは陶器の瓔珞模様、もう1種は染付、違うテイストながらモチーフが同じで、長寿・吉祥の桃・石榴・仏手柑。数寄のきわみやな。
濃茶席の待合では利休62歳の作と伝わる庭を眺めながら、利休参禅の師であった古渓宗陳の軸、茶の師であり、濃茶席・昨夢軒を作った人でもある武野紹鷗の茶杓・銘「さゞれ石」を拝見する。まあ、なんて艶やかな煤竹(?)拭き漆(?)の茶杓。
主菓子の栗きんとん、栗の香りがいっぱいで美味しかった。
昨夢軒は本来4畳半、襖をあけはなち広間としても使える。黒いスサ壁が渋い。
この席のご亭主は鎌倉からこられたので、鎌倉と言えば将軍実朝に栄西が献上した「喫茶養生記」、ということで軸も太玄和尚の「喫茶養生」。
昨夢軒の作者の紹鷗=大黒庵にちなんで大黒〜布袋の堆朱香合。茶の十徳が鋳込まれた古い釜は無骨なほど堂々としていてあわせた風炉も無骨そのもの。
主茶碗の伊羅保が肌の色・質感が渋くて印象的。ちょっとかしいだ姿もいい。銘がめずらしくて「羊腸」。羊の腸のように幾重にもおりたたんだような箱根路を越えて京都にやってきました、との意で使われたとか。
みなさま、ご夫婦で数寄を楽しまれているご様子、うらやましくてしかたない。少々値の張るお道具でも相方に内緒でこそこそ買わなくてもいいだろうしなあ、、、(^0^;) 夫婦で共通の趣味ともなれば暴走しそうでこわくもあるが。
最後に是空庵さんチョイスの?点心をいただく。
小さいお皿がちまちま、かわいい。なんと祗園祭にはしみだれ肉まんをだす洛中の膳所漢ぽっちりさんの点心ではないか。おいしいのはもちろんだが、左下の菊花粥が菊花茶会にぴったりですてきであった。
今年も楽しませていただいた黄梅院茶会。
和尚様によると茶会に使ったのはこれが今年で初めてとか。ありがたいなあ。
大徳寺のあちこちで原種フジバカマ(園芸種よりワイルド)が栽培されていたのが季節柄ですてきであった。
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● COMMENT ●
しぇるさん、こんにちは
こちら、中の御庭も、素晴らしそうやなぁ^^
特別拝観の時も、撮影禁止なので
御邪魔した事が、ないんです^^;
こちら、中の御庭も、素晴らしそうやなぁ^^
特別拝観の時も、撮影禁止なので
御邪魔した事が、ないんです^^;
そらいろつばめ様
そうか、そうでしたね。
山形はそらいろつばめ様のご郷里でした。
お茶のご縁がめぐりめぐって都で再会されたお菓子はまた格別の感慨があったことと思います。
これがあるからお茶は楽しい。
濃茶席の待合にあまりになにげに飾ってあったので、ふ〜んと見て、よく見て、えええっ!!となりました(◎-◎;)
山形はそらいろつばめ様のご郷里でした。
お茶のご縁がめぐりめぐって都で再会されたお菓子はまた格別の感慨があったことと思います。
これがあるからお茶は楽しい。
濃茶席の待合にあまりになにげに飾ってあったので、ふ〜んと見て、よく見て、えええっ!!となりました(◎-◎;)
高兄様
じっくり撮影はできませんが、そぞろ歩くだけでもいいところですよ。
どこかの塔頭の撮影とだきあわせで是非一度いってみてください。
どこかの塔頭の撮影とだきあわせで是非一度いってみてください。
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薄茶席のオシドリの干菓子はのし梅で有名な佐藤屋というお菓子屋です。ご主人は幼稚園、小学校と同級生でした。このお菓子は息子さんの作ということでしたが、時の移ろいの何と早いこと。私にとっては一段と懐かしいお席でした。