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2017-08

遠砧〜北村美術館 - 2016.10.24 Mon

遠砧は秋の季語。
それより砧ときけば「長安一片月」とか謡曲「砧」とか、長く帰らぬ夫をまちつつさびしく一人砧を打つ女性の姿を思い浮かべる。



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そんな趣向で茶事をすれば、、、という道具組を見せてくれる今期の北村美術館の展示。

ここの目録は茶事の記録のような体裁をとっているのが楽しくてよい。まるで自分がその茶事に招かれたかのように妄想をふくらますことができるからだ。

寄付は白隠の「猿猴捕月図」を掛けて、信楽の大きな四方瓶掛けにしゅんしゅんと沸く湯を、くみ出しに客が自分でくんでいただく。汲み出しは古染付だ。手あぶりも大ぶりであったかそう。

本席の炭手前では唐物の脛当炭斗を使う。火箸がまた金森宗和所持のもの、灰器が、、、まあ!長次郎なのね。(とてもこわくて使えんわ)素朴な素焼きの焙烙で楽茶碗とはまた別のおもむき。

五徳が、、、与次郎ですってよ。霰サツマヤ蝮爪と書かれていたけれど、爪が3本とも違う大きさ、デザインで普段見えない道具にこれだけのこだわりをみせるとは感動。

軸が「布袋図」。描いたのは胡直夫と書かれているが詳細がわからない人らしい。しかし賛が宋の名僧癡絶道沖(1169~1250)で密庵咸傑の法孫にあたる方。800年以上昔のものかあ。




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(美術館向かいの空き地に咲くホトトギス)



懐石はなんといっても焼物をのせた織部松皮菱手付鉢!大きいのよ、迫力あるのよ、これぞTHE織部、という感じ。よく見ればやっぱり重文なんだ。これに北村謹次郎はどんな肴を載せたのだろうな。

向付にのんこうの割山椒とか、これもこわくて何ものせられそうにない。

中立には井上世外が持っていたという「松風」という銘をもつ銅鑼。どんな音がするのだろう。


後座の濃茶席は、、、、

おおお!!利休がかの韮山の竹を切って作ったという三つの花入れの一つ、尺八はここにあったのか(◎-◎;)(あと二つは「園城寺」「夜長」)これが今回一番のごちそうかな。つやつや飴色、どのくらいの重量があるのか手にとってみたいものだ。


釜は蓋も無骨でごっつい。大名物・古天明砕銭釜(古い硬貨を鋳つぶして作ったもの?)。もとは足利義政所持だから東山御物になるのか。その後織田信雄、今井宗久の手に渡っているから、茶道黎明期から隆盛期までを見てきた釜なのだな。

茶碗が井戸の「雨雲」。井戸らしく安定感悪そうなところが良い。陶工の指跡が4つついているところも見所か。
唐物茶入は遠州の箱だし、茶杓は織部だし、、、もう勘弁してくれ〜といいたくなるような満腹感。


続き薄ではじめて遠砧らしい銘の赤楽・夕紅葉(宗入)がでてきた。羊遊斎の菊大棗が茶碗に似合う。

、、、で、どこが「遠砧」なのか。あまりにすばらしいお道具に溺れてすっかりテーマを忘れていた。
披きの間(後段か?)でようやく掛け物が京都の日本画家・森本一洋の大和絵「遠砧」が。
牛車にのる上﨟が秋の野でふと車をとめて遠くから聞こえる砧の音に耳を傾けている、、、という絵であった。

こんな道具ばかりでもてなされたら狂喜はするが、お茶の味とか懐石とか茶事の中味がぶっとびそうで、それも恐いなあ。やはり私は分相応に、こういう道具は美術館でみるのがよいわね。あ、でもちょっと手にはとりたい、、、(^_^;




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おりしも四君子苑の公開日だったが、受付が15時終了、、、というのに阻まれました、がっくり。



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● COMMENT ●

謡曲「砧」に関係する蘇武の名前を冠した蘇武岳がわが町にあるのですよ。
それで蘇武には密かに親しみを感じています。砧といい、雁の玉章といい、何とも哀愁のある優雅な響き、秋だなあ。

紀元前100年頃の話に心を躍らせています。蘇武と李陵と司馬遷が同時代を生きていたなんて、これも私には驚きでした!

そらいろつばめ様

但馬と蘇武に関係があったとは!なぜかな?

蘇武と李陵といえば高校時代に読んだ中島敦の「李陵」だなあ。あれ、今読んだらまた感じ方がちがうかもしれない。世の中に流される流され方を覚えちゃったからなあ、、、、

お能の砧は多分、見に行ったら確実に意識を失うタイプの演目だとおもうけれど、思い描く景色はほんと美しいですね。今時の人は砧ってしらんやろうなあ。(私もイメージでしか知らんけど)

遠砧

北村美術館の茶事へ招かれたような展示、私もいつもうっとりでした。
今は行けないのが残念ですが、しぇるさまのブログであれこれ想像し、御一緒に茶事へ行ったような心地です。

中でも白隠の「猿猴捕月図」、大名物・古天明砕銭釜、見たい!です。
後段で砧がやっと登場するなんて・・・それで、遠砧かしら?? 心にくいですね。
ところで、我が家の砧、覚えていますか?
砧に描かれた不動明王が玄関で睨みをきかせていて、近砧です。近々、お会いできそうですね・・・!!

暁庵様

はいはい、覚えていますよ、あの砧(?!)
またお目にかかれるかとおもうと灑雪庵を思い出してしまいますね〜。
相変わらず多方面でご活躍のご様子、なによりです。一番にはやはり社中をお持ちになったことでしょうか。それでどんどんひろがるお茶のご縁もいいですね。

北村はたいがいお客さんが0〜2人くらいなので、ゆっくりできていいですね。茶事立てなのも心憎いです。でもこんな茶事に招かれたら鼻血がとまらなくなりそう(コウフンして、、、)(^◇^;)
では月末、よろしくお願いいたします!!楽しみに参上いたします。


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