表さんの開炉茶事〜建築士さんの茶室解説付き(!?) - 2016.11.16 Wed

楓系の紅葉もぼちぼちすすんできましたね。
このたびは一時少し住んでいたことのある、なつかしい北摂の町にあるお宅で表千家さんのお茶事におよばれしました。

今年の開炉の茶事を何回かひかえておられて、今回は予行演習もかねて、気の知れた方々と気軽な茶事にとのことです。

なのでお弁当にします、とおっしゃっていたのに、まあ!!
かえって手間の掛かったお料理!!ではありませんか。松茸ご飯の物相飯、感激です。
実は前日ばったり京都でお会いして、魚のすり身を手にいれるために錦までわざわざお越しになったと聞いて驚いてもいたのです。気軽なお弁当どころではありません。(すり身1.5kg購入されたとか!!(@_@;) )

(八寸もお手のこんだもの)
昨年こちらのお茶事にはじめてよせてもらった時、普通の住宅の中にすっぽり二畳台目(堀内家の長生庵写し)の茶室がはめこまれているのにビックリしたのですが、今回はそれを設計された建築士さん、うちを設計してくれたI君とご一緒だったので、水屋や収納スペースまで、おしげもなく見せていただき、専門家の解説付き、贅沢な見学会にもなったのです。

(干菓子の小茄子の砂糖漬)
裏千家と近いのに、意外と知らない表千家の作法は新鮮なんです。表さんでは露地に中潜りがあるので、腰をおろして迎え付けされます。露地草履の組み方も違うし、炭の種火の種類も違うんです。裏千家は丸ぎっちょを三本、ぼんぼんとおきますけれどね、表さんはもっと繊細に丸割割(だったかな?)。
炭斗の炭の並べ方もちがって、真の炭斗の中に似ているし、炭のつぎ方もこれといった法則はなく、湯の沸くようにつぐのだそうです。(間違えておぼえていたらごめんね)
他にも相違はちまちまあって、これを見るのが他流派の茶事の楽しみの一つ、それぞれの流派に理屈があって、どれも正しいように思えるのが不思議。
茶室を作るのに、釘一本の打ち方まで茶室研究の第一人者に教えを乞われたり、材料もなるべく本歌に近く、建築材も現地まで見に行かれて吟味され、懐石料理も習いに行かれ、花の調達まで時間をはかって届けてもらうなど、ほんとうにご亭主の茶の湯への真剣で真面目な姿勢には頭がさがります。
私はほとんどI君に丸投げしたし(^_^;なんちゃって懐石しか作らんし、、、ひゃ〜、はずかしい。

記憶に残ったのがこの華鬘釘(落掛け釘)。本歌にもある、床の中ではなく床の前面の落掛けの中央にうたれた釘。花をかけるのだそうです。少なくとも裏千家の茶室ではみたことがない。
それから床柱の筍面(丸い床柱の下部前面を畳の面にそろえて平ら に削ったもので、削り面がたけのこの形に似る)、これはよく見るのですが、利休はこの面が白いままなのをきらって、砥の粉を塗った、とあるそうなのです。それを踏まえてあれこれ試行錯誤し、柿渋を塗ることにされたとか。そう思ってみるとなにげない筍面に利休の美意識を感じられます。
茶事がお開きになったあとは、水屋まわりを設計士さんの説明を聞きながら拝見。
既存の建物の中ゆえに、壊せない構造物(柱など)を逆手にとって、収納力をアップしているのはお見事。ほんまにたくさんの茶道具が取り出しやすく、しまいやすく収納できるのです。
底を掘れないので框の分だけ上げた水屋の流しが、かえって使い勝手が良いのもびっくり。腰痛持ちにはこれは良いアイデア。
広間の押し入れの中はもう感激!
きちっと整理整頓されて、どこになにがあるが一目でわかるのです。これはご亭主の工夫なのですが、すばらしい、、、の一言です。
ほとんどカオス状態になっている自分の(茶道具用)押し入れの中を思い出してため息。
ちょっと爪の垢でも煎じさせていただきたいと真剣に思ったのでした。
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