秋の茶は楽し〜この秋のたくさんのすてきなお茶たち♪ - 2016.11.30 Wed
<西行庵夜咄〜江戸千家渭白流>

円山公園、真葛が原の西行庵さんの毎年恒例の夜咄茶事。いっさい電灯を使わない、しかもまわりは東山の裾野、只でさえ暗い中の茅葺の庵は時代を遡ってタイムスリップしたよう。
今回のお席主は江戸千家渭白流九代お家元・竹聲庵川上渭白さま。
江戸千家はもともと表千家の如心斎の一番弟子であった川上不白が江戸で広めた流派だが、その不白の一番弟子が渭白であった。(幕末の人)渭白流はその後途絶えるが、最後の家元に許可をもらって6代目を継いだのが、かの麗子像で有名な画家、岸田劉生の妻。現在のお家元はそのお孫さんにあたる。

岸田劉生ゆかりのお流派なので、待合の花入れの敷板がパレットに漆をしたものでこれはすてきだった。真似したいくらい。
待合掛けが劉生画賛、「鞭聲粛々 夜川を 渡る(頼山陽・川中島の戦いを漢詩にした)」をもじった「先生 ちょくちょく 夜酒を飲む(ちょっと記憶さだかならず)」で、ちょっとにやっとする。
不白流の紋が雪輪なのでこちらも雪輪をいただきそれに蔦(岸田家の紋)を組み合わせる。お点前は如心斎からでた流派らしく表千家に似ていると思った。おいしい濃茶をいただき続き薄、燈火がてらす場所以外は薄暗がりの中で連客の連帯感がうまれる。
独特の円相床に背後から燈火がゆらぎ、丸いシルエットの真ん中に花入れを飾る。道安囲いの障子は柄杓を引いた後に静かに開き景色が一変する。手燭の元でお点前を拝見し、お道具を拝見し、ここの小間の夜咄は雰囲気最高である。
<銀月サロン〜紅葉茶会@銀月アパートメント>

北白川にたたずむ、戦前からあったということ以外建築年も設計者もすべて不明という不思議なアパート・銀月アパートメント。数々の映画のロケ地にもなっている。

いつかここに潜り込みたいという好奇心と、美しい室礼でいただく中国茶の両方に惹かれてここで不定期にひらかれている銀月サロン紅葉茶会へ。
窓の外に見えているのが玄関のファサードなので、ここは二階の向かってすぐ左の部屋ということになる。

部屋は四畳半くらいの板間で半畳の収納スペースがあるだけ、トイレも水道もない。部屋をでたところに共用キッチンがあったりして昭和の大学生の下宿やわ〜(^o^)

お茶をいれたり湯をそそいだりする排水管付きの台は端渓かなにか?硯と同じ材でできている。秋らしい室礼とこぢんまりとした空間がとてもおちつく。

いただいたのは桐郷胎菊王という菊茶。これはカモミールティーのような香り。
次に今年の新茶で作った茉莉花茶、いわゆるジャスミンティーだが、いままでのジャスミンティーってなんだったの?!というくらい別物の上品な芳香。

さらにその次は私が今回一番お気に入りであった蜜香貴妃茶。
中国の東方美人茶と同じく虫の力を借りて香りを豊かにする方法を台湾でしてみた、という感じか。蜜のような甘〜い香りが数煎目まで味わえる。まさにお茶のクイーン(貴妃)。

お菓子も数種、お茶をおかわりしつついただく。これは百万遍の鍵やさんの。学生時代から地味にある和菓子屋さんだが、現在も健在だ。

点心が貝柱のお粥に、これまた最高、おもわずレシピを聞いた咸水角(ハムスイコー・右のピロシキみたいなやつ)。もちもちでほんのり甘い、中は肉餡。

最後に中国の紅茶・ラプサンスーチョンをラテにしてお菓子といただく。ラテもまたいけますなあ。

茶会がお開きになる頃、銀月アパートメントも黄昏につつまれていた。
<市川孝拵展(こしらえてん)〜下鴨・川口美術>

毎度おなじみ、わが愛する川口美術さんで、これも多々愛用している市川さんの個展。

夏の終わりに好日居さんたちといっしょに雲南省のお茶の故郷シーサンパンナへ行かれたお土産の現地の茶葉をたくさんもちかえって、ふるまってくださる。
ちなみにこの台になっているのは市川さん手作りの茶車。これをひっぱって雲南省を旅しはったのだ。

中国茶にはまっている市川さん、こんな茶道具があればいいなと思ったら、焼物はもとより木工金工もご自分でされて作っちゃうといううらやましい腕の持ち主。
現地でご自分で製茶された白茶と、プロの作った白茶の飲み比べはじめ、日本語がわからない台湾人も飛び入り参加でほんとうにたくさんたくさんおいしいお茶をいただいた。
自分で道具を使う作家さんの作品はやはりどこか違う。茶陶をされる作家さんはまずお茶をされるべきだとふたたび思った。
<無隣庵〜麗人乙女の茶会>
掛け値無しに若くてべっぴんさんのお二人の茶人さん。時々京都市内のよいお茶室をみつけては不定期に釜をかけられる。今回も予定があわず参席できなかったのだが、最後の席のころお水屋見舞だけもっておじゃました。

景色はあまり撮れてないのだが、見事に紅葉した五彩の東山を贅沢に借景とする無隣庵の茶室。
燕庵写しの三畳台目の小間で濃茶、景色の良い縁側で薄茶というすてきな茶会。ここで一席五客さま。

すぐ帰るつもりがやさしい乙女たちのご配慮でお菓子をお薄を一服よばれてしまった。お手伝いだけに来られた茶友、お茶碗を作って提供した茶友などとの邂逅もあり、なんだか長居をしてしまった。

縁台の薄茶席遠景。

あとでお茶室も拝見、乙女らしいやわらかさ、そして若々しいしなやかな感性が光る。決して背伸びはしない、でも手は抜かない、ある意味彼女たちはお茶のプロフェッショナルだ。前回は拾翠亭だった。次回はどこでしてくれるのかな、今度こそ参席したいわ。

お菓子。
目からウロコのクリームチーズを仕込んだ干し柿!なんて美味しい!
<Sai exhibition〜NO ONE 茶会>

紙メディア、エンボスなどによる空間作品をつくっておられるSai さんのexhibitionが大阪天満橋のギャラリーで。
今年のはじめさらわれてblinded茶会でともにさらわれて目隠し茶会で最後お稲荷さんで化かされたご縁。

exhibitionにあわせてNO ONE(だれでもない、だれもいない)茶会を陶々舎のKさんがされる。
こじんまりとしたスペースは照明をおとしている。
ドレスコードはmonotone このスペースに住むMr. Xの心の深淵
闇と光
物の色があいまいになる薄明の中、粛々とすすむ濃茶点前もmonotoneの世界

各々の心の底のMr. Xを探って、なのものでもない自分、NO ONEに出会う。

Xは今この時間、たまたま交差した私たち、そして終わればそれぞれまた別の道を行く。そんな共有した時間のすてきだったこと。

円山公園、真葛が原の西行庵さんの毎年恒例の夜咄茶事。いっさい電灯を使わない、しかもまわりは東山の裾野、只でさえ暗い中の茅葺の庵は時代を遡ってタイムスリップしたよう。
今回のお席主は江戸千家渭白流九代お家元・竹聲庵川上渭白さま。
江戸千家はもともと表千家の如心斎の一番弟子であった川上不白が江戸で広めた流派だが、その不白の一番弟子が渭白であった。(幕末の人)渭白流はその後途絶えるが、最後の家元に許可をもらって6代目を継いだのが、かの麗子像で有名な画家、岸田劉生の妻。現在のお家元はそのお孫さんにあたる。

岸田劉生ゆかりのお流派なので、待合の花入れの敷板がパレットに漆をしたものでこれはすてきだった。真似したいくらい。
待合掛けが劉生画賛、「鞭聲粛々 夜川を 渡る(頼山陽・川中島の戦いを漢詩にした)」をもじった「先生 ちょくちょく 夜酒を飲む(ちょっと記憶さだかならず)」で、ちょっとにやっとする。
不白流の紋が雪輪なのでこちらも雪輪をいただきそれに蔦(岸田家の紋)を組み合わせる。お点前は如心斎からでた流派らしく表千家に似ていると思った。おいしい濃茶をいただき続き薄、燈火がてらす場所以外は薄暗がりの中で連客の連帯感がうまれる。
独特の円相床に背後から燈火がゆらぎ、丸いシルエットの真ん中に花入れを飾る。道安囲いの障子は柄杓を引いた後に静かに開き景色が一変する。手燭の元でお点前を拝見し、お道具を拝見し、ここの小間の夜咄は雰囲気最高である。
<銀月サロン〜紅葉茶会@銀月アパートメント>

北白川にたたずむ、戦前からあったということ以外建築年も設計者もすべて不明という不思議なアパート・銀月アパートメント。数々の映画のロケ地にもなっている。

いつかここに潜り込みたいという好奇心と、美しい室礼でいただく中国茶の両方に惹かれてここで不定期にひらかれている銀月サロン紅葉茶会へ。
窓の外に見えているのが玄関のファサードなので、ここは二階の向かってすぐ左の部屋ということになる。

部屋は四畳半くらいの板間で半畳の収納スペースがあるだけ、トイレも水道もない。部屋をでたところに共用キッチンがあったりして昭和の大学生の下宿やわ〜(^o^)

お茶をいれたり湯をそそいだりする排水管付きの台は端渓かなにか?硯と同じ材でできている。秋らしい室礼とこぢんまりとした空間がとてもおちつく。

いただいたのは桐郷胎菊王という菊茶。これはカモミールティーのような香り。
次に今年の新茶で作った茉莉花茶、いわゆるジャスミンティーだが、いままでのジャスミンティーってなんだったの?!というくらい別物の上品な芳香。

さらにその次は私が今回一番お気に入りであった蜜香貴妃茶。
中国の東方美人茶と同じく虫の力を借りて香りを豊かにする方法を台湾でしてみた、という感じか。蜜のような甘〜い香りが数煎目まで味わえる。まさにお茶のクイーン(貴妃)。

お菓子も数種、お茶をおかわりしつついただく。これは百万遍の鍵やさんの。学生時代から地味にある和菓子屋さんだが、現在も健在だ。

点心が貝柱のお粥に、これまた最高、おもわずレシピを聞いた咸水角(ハムスイコー・右のピロシキみたいなやつ)。もちもちでほんのり甘い、中は肉餡。

最後に中国の紅茶・ラプサンスーチョンをラテにしてお菓子といただく。ラテもまたいけますなあ。

茶会がお開きになる頃、銀月アパートメントも黄昏につつまれていた。
<市川孝拵展(こしらえてん)〜下鴨・川口美術>

毎度おなじみ、わが愛する川口美術さんで、これも多々愛用している市川さんの個展。

夏の終わりに好日居さんたちといっしょに雲南省のお茶の故郷シーサンパンナへ行かれたお土産の現地の茶葉をたくさんもちかえって、ふるまってくださる。
ちなみにこの台になっているのは市川さん手作りの茶車。これをひっぱって雲南省を旅しはったのだ。

中国茶にはまっている市川さん、こんな茶道具があればいいなと思ったら、焼物はもとより木工金工もご自分でされて作っちゃうといううらやましい腕の持ち主。
現地でご自分で製茶された白茶と、プロの作った白茶の飲み比べはじめ、日本語がわからない台湾人も飛び入り参加でほんとうにたくさんたくさんおいしいお茶をいただいた。
自分で道具を使う作家さんの作品はやはりどこか違う。茶陶をされる作家さんはまずお茶をされるべきだとふたたび思った。
<無隣庵〜麗人乙女の茶会>
掛け値無しに若くてべっぴんさんのお二人の茶人さん。時々京都市内のよいお茶室をみつけては不定期に釜をかけられる。今回も予定があわず参席できなかったのだが、最後の席のころお水屋見舞だけもっておじゃました。

景色はあまり撮れてないのだが、見事に紅葉した五彩の東山を贅沢に借景とする無隣庵の茶室。
燕庵写しの三畳台目の小間で濃茶、景色の良い縁側で薄茶というすてきな茶会。ここで一席五客さま。

すぐ帰るつもりがやさしい乙女たちのご配慮でお菓子をお薄を一服よばれてしまった。お手伝いだけに来られた茶友、お茶碗を作って提供した茶友などとの邂逅もあり、なんだか長居をしてしまった。

縁台の薄茶席遠景。

あとでお茶室も拝見、乙女らしいやわらかさ、そして若々しいしなやかな感性が光る。決して背伸びはしない、でも手は抜かない、ある意味彼女たちはお茶のプロフェッショナルだ。前回は拾翠亭だった。次回はどこでしてくれるのかな、今度こそ参席したいわ。

お菓子。
目からウロコのクリームチーズを仕込んだ干し柿!なんて美味しい!
<Sai exhibition〜NO ONE 茶会>

紙メディア、エンボスなどによる空間作品をつくっておられるSai さんのexhibitionが大阪天満橋のギャラリーで。
今年のはじめさらわれてblinded茶会でともにさらわれて目隠し茶会で最後お稲荷さんで化かされたご縁。

exhibitionにあわせてNO ONE(だれでもない、だれもいない)茶会を陶々舎のKさんがされる。
こじんまりとしたスペースは照明をおとしている。
ドレスコードはmonotone このスペースに住むMr. Xの心の深淵
闇と光
物の色があいまいになる薄明の中、粛々とすすむ濃茶点前もmonotoneの世界

各々の心の底のMr. Xを探って、なのものでもない自分、NO ONEに出会う。

Xは今この時間、たまたま交差した私たち、そして終わればそれぞれまた別の道を行く。そんな共有した時間のすてきだったこと。
- 関連記事
-
- 茶碗の中の宇宙展茶会〜席主・楽吉左衛門
- 秋の茶は楽し〜この秋のたくさんのすてきなお茶たち♪
- 香雪美術館・玄庵茶会2016
● COMMENT ●
高兄様
その桜の季節にここの茶会を予約しようとねらってます。
(やはり競争率高いみたい)
絵になりますね〜、あそこ。
(やはり競争率高いみたい)
絵になりますね〜、あそこ。
トラックバック
http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/768-00b7e3a6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
銀月アパートで、茶会とは、おサレですねぇ~
良いです、良いです^^
あそこの櫻は、隠れた名所
来春は、カメラ持って出かけようかな^^