初午・梅見夕ざり茶事 2017 - 2017.02.21 Tue

玄関の障子からのぞく恐いお目々は、、、、??

お狐さんでございます。
2月は初午、京都では伏見稲荷が有名ですね。今年もお参りにいきました。たいそうな賑わいでしたよ。ちゃんと「しるしの杉」もゲットしてきました。でもこの狐面、参道で売っているような大量生産品ではございません。

初午茶事のために、I画伯こと絵屋・宝樹さんに以前からお願いしていたもの。
胡粉をたっぷり使って、お目々は金泥、渋い赤がすてきなんです。

本日は初午・梅見の夕ざり茶事を。
おりしもうちの庭の梅の初花が花開いた日になりました。

数日来の寒さがうそのように緩んだ日でしたが、朝からあいにくの雨。今日は露地が使えないかなあ。
今日のお客さまは、さすが!最強の雨男、F太朗さん。

露地を使わない分、待合で雪見障子をあけて、見るだけ見てもらおうと思っていましたが、、、
日ごろの行いのせいか(^_^; 席入りの頃にはなんとかやんできましたので、露地・蹲居を使っていただいて席入り。
(今までうちの茶事で雨で露地使えなかったことないの)

なので準備したもろもろの露地行灯他、後座の席入りの時に使えそう。

席中には手あぶりを。
本日のお正客様、次客様は遠州流の流れをくむ流派の方々。
ちょうどタイムリーに「お点前の研究〜茶の湯44流派の比較と分析」の著者の廣田さんから「流派としての遠州流の展開」という論文(野村美術館紀要26)をお送りいただいたばかり。
遠州流は少なくとも6流派あることなど、一生懸命拝読して予習しておきました。

待合の天神さん。
これは昨年北野天満宮で手に入れた物。一年に一度はお顔をみなければ。

夕ざりは初座が花になるので、練行衆日の丸盆(3分の2の写し)へ紅梅を一枝。

昨年夏、土用のころ制作して、年末に乾きが足りないことに気づいて乾かしなおした丹精(?)の湿し灰。うふふん、よいでき。灰器は壬生寺の焙烙。節分はまあ、ぎりぎりテーマになるし、特に2月は裏千家は大炉の後炭で焙烙を使うのでこれもよいかなと。
昨年お正客様の茶事に招かれたとき、炭の置き方や練り香の入れ方(かたまりをちぎって入れる!)がずいぶんちがうなあ!とびっくりしたものです。今回はこちらにびっくりされたかも。流派の違いは最近茶事ではほとんど意識しなくなったのですが、どのタイミングで拝見して問答するのか?が多少違うとお互いにとまどうこともあります。それも苦にならず臨機応変に対応できるようになったらベテランといえるのでしょうが、私はまだまだですわ。
唯一同じ流派のF太朗さん、たのんだぞ〜!

燈火の扱いにひとり水屋がほしいところですが、今回はあえてひとり亭主に挑戦。そのためにはまず懐石に時間短縮がもとめられました。その結果たどりついた献立。向付はあいもかわらず鯛の昆布締め。
まずは伏せ笠(本来は飯碗に汁椀を伏せてふたとする)にて汁替え・飯器を省略。

煮物椀は百合根饅頭にて。しつこいけどここにも梅(人参)。
焼物はつけておいて焼くだけの鰆の幽庵。

嵯峨豆腐・森嘉さんの飛竜頭の炊いたん。
遠州にちなむ道具をさがしまわしたところ、やっとみつけた髙取(遠州七窯の一)の鉢にて。遠州さんの七宝紋入り。これは前日炊いておけば当日温めるだけなので時短できます。

酢の物も作り置きができるので時短にお役立ちメニュー。
茶室内が暗くなったので、膳燭を用意、炉中はよく火が熾って、ほんまに暖かい。広間だとこうはいくまい。灯りをかこんで小間に寄り合うお客さま方、きっとお話しもはずんだのではないかしら。

八寸も師匠からいただいたクチコ、これは炙るだけなので手軽。しかもんまい!
八寸の時は席中に長くいるので、ここぞとばかりあれこれ流派の所作について質問。お正客様はお若いのに流儀の師範をされているので、いろんなことをよくご存じ。付け焼き刃で遠州、遠州といっているのが恥ずかしいくらいでした。

今回は懐石終了はけっこう早かったし、消耗も軽く、なんとかお点前まで緊張感をたもつことができました。(いつもなら懐石で燃え尽きる)
最後に西陣・愛信堂さんの薯蕷「狐面」をお出しして中立。空はなんとかもちました。

12月にほぼ同じ時間に夕ざりをしたのですが、あの時は中立の頃ちょうど良い具合に暗くなって手燭交換ができたのですが、季節は確実に動いていますね、今回はしようかどうしようか微妙なところ。
結局若干まだ薄明ながら、手燭交換しました。やっぱり燈火の茶事のハイライトですから、これ。雁行するほどには暗くなかったのはご愛敬。

濃茶は、先日恵文社イベントで手に入れた日本茶アワード2016抹茶部門最優秀賞の「四天王」、宇治の利招園さんです。濃茶を飲む作法、飲んだ後の作法が遠州系はまた独特(逆に言うと裏千家が独特か?)。

薄茶では先日珠光茶会・遠州流宗家席でいただいた遠州の印をかたどった大有糖を菓子に。これ、京都の鍵善さんで作っているのにそこでは買えないというシロモノで、遠州流の知人にお願いして東京からおとりよせ。ちなみに大有糖の大有は小堀遠州の法名・大有宗甫から。お正客様はもちろん、このお菓子のことはご存じでした。

薄茶では最後に全国に数十人しかいない、という遠州系流派の次客様にお茶を点てていただきました。なんとまあ、慣れているとはいえ、裏千家の人が貴人点てでいつも苦労する千鳥茶巾をするするっと作られるのには感嘆です。柄杓の構え方、仕舞茶碗への茶筅の置き方など、廣田さんの「お点前の研究」を思い出して、実際に違いを目の当たりにして感動でした。

一会終了し、席からでられるころ、露地は燈火が良い感じの暗さになって風情があります。(自画自賛)ひとりでチャッカ○ンを手にあちこち火をつけて回った甲斐があったというもの。
しかし、ここで緊張の糸が切れてお見送りをすっかり忘れてしまいました。惜しい。
しめてちょうど4時間、一人でやったわりにはベストな時間をキープできました。
玄関までお見送りの時にふと見ると、、、、

脇山さとみさんの人形のそばに一枝白梅が置いてあるではありませんか!
う〜む、やるなあ、F太朗さん、彼の置き土産、春一枝。

しばし、水にさして楽しもうと思います。
お客さま方、美しき宵のひととき、ありがとうございました。
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