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2023-12

公家雅に魅せられて〜旧山科家別邸・源鳳院 - 2017.03.05 Sun


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ご近所の岡崎神社へ行く途中にはいつも前を通るこの建物。
以前は「洛陽荘」という名前の旅館だったのだが(現在は源鳳院と改名)、中へはいったことはない。なんだか格式高そうなお屋敷やな〜と思っていた。

実はそれもそのはず、元お公家さんも山科家の別邸だったんだ。




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山科家は公家の家格でいうと羽林家になる。(トップが摂関家、ついで清華家、大臣家、名家と並んで羽林家)

もともと衣紋装束(身分の高い方の衣裳の着付けをする)の家柄だそうで、高倉家とその世界を二分しているとか。
実は後日、それについて詳しい話をきけるイベントがあったので、その件についての記事は後日。



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お雛様の展示があるからとご案内いただいて、おそるおそる入ってみた。(入り口になんの案内もないのでどきどきだったよ)




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入り口は旅館らしく改修されているのでモダンな造り。




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広間の座敷には新旧(といっても新でも江戸時代)お雛様がいっぱい。
ああ、桃の節句やねえ。(ちなみにうちは旧暦で祝うからまだ出してもいない)




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この広間は庭に面していて陽がさしこんでぽかぽか。




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山科家に伝わる束帯や袿などの古式ゆかしい衣裳に冠。

最初「衣紋衣裳」ってなんのことだかわからなかったので、???だったのだが。

昔の宮様やお公家さんなどの身分の高い方はご自分でお着替えをなさらない。特に正式の衣裳は一人ではとても身につけられるようなものではなかったのだ。そこで衣紋方、衣裳を着付ける役目を担っていたのが先にあげた山科家と高倉家。
衣裳を着付けることを「衣紋する」という。

そうか、だからお雛様なんだ。
雛人形は庶民がお公家さんの雅に憧れてそれをまねて作ったお人形、人形に着付けるのにも衣紋、有職故実の知識が要る。現在山科家が古いお雛様をお持ちだったり、さらにもとめたりされるのは、衣紋の研究という側面もあるのだ。




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こちら檜扇。
平安時代の絵巻物では、これで顔をかくしたり、花や文をのせたりしていたが、近世になってから開くことはなくなったそうだ。(だから皇后様は一度もご自分の檜扇をお開きになったことがなく、紋様をご存じないと聞いた。)




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これは古い享保雛かな。お顔がゆで卵っぽいのでわかる。

なんと山科家の若様がお雛様について解説くださる。(ちなみに高倉家も健在で衣紋道の研究所をお持ちだ)




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御殿のお雛様も菊置き上げだったり、御簾の巻き上げ金具がちゃんとついていたり、紐結びもなんとなく有職故実っぽかったり、雅びやわ〜。




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床の間にもならぶお雛様。

この屋敷はオリジナル部分は大正9年だから今から約100年前に建てられたそうだ。
上棟式の写真や、できたばかりのこの屋敷のここ大広間で、当時の当主山科伯爵の神前結婚式の写真も拝見できた。もちろん公家の正式な衣裳で。(束帯と小袿?)




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建物の造りも当時のモダンの気風が取り入れられているような印象。
これは廊下との間の欄間。




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化粧裏天井。
お寺や商家のお屋敷と違って(どこがどうとはよう言えんが)なんだか雅な。さすがお公家さんの別邸。

向かいの庭では紅梅がつぼみをふくらませていた。

この景色、なんだかよく○○画報とかでモデルさんが立ってる景色に似てるな、と思ったら、しょっちゅうここで撮影があるそうですよ。ここに立てば着物をお召しの方ならぴったりはまる感じですよね。




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こちらは新しく改修したとおぼしき部屋。
和モダンという感じ。低い網代の天井が落ち着く。




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お日さまぽかぽかの日当たりの良い廊下で、愛信堂さんの麩の焼きと加賀棒茶をいただく。




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お庭も拝見できるので、これも楽しい。



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植治の庭らしい。奥まではいかなかったが、ここも東山を借景にできるポイント。



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さて、美しく雅なものたちをみて、気持ちだけはお公家さんになって(^_^;)おうちへ帰ろう。




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● COMMENT ●

わああ!素敵な建物!雅ですね!!こんなに広いとこれだけお雛様を飾っても余裕ですね!!檜扇、素敵ですね!!うりざね顔の享保雛、良いですね!!しぇるさんのブログを拝見して優雅な気持ちになりました!

みゅうぽっぽ様

お雛様もよかったですが、私的には衣紋の家、というのがツボでした。


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