和尚様の雛の茶事 - 2017.03.11 Sat
昨年の秋、みのり茶事にお呼びいただいた日は雨、仲間内で伝説となっている雨笠ならぬプラスチックタライを笠に使えた感激(^_^;はいまも忘れません。(なのでご亭主の和尚様は「タライ・ラマ」の二つ名をお持ちです(?))
このたびは雛の茶事にお招きいただきました。
待合に掛けられた短冊は山本由之の雪を歌ったもの。
ところで山本由之さんってだれ???と思うでしょ。私もしらなかった。
実はあの良寛さんの実弟なのです。まずはここで和尚様の心あたたまるお話を拝聴。
長男である良寛さんが実家をでて出家したものだから、山本家の商いを継ぐことになった弟由之さん。初めは順風満帆だったものの、そのうち家業は傾き一家離散、妻にもさきだたれ自暴自棄、酒に溺れる放蕩の荒れた日々をすごしていました。ある日弟を家によんだ良寛さん、ひとことも責めることなくもてなし、帰り際に兄のわらじの紐をむすんでいた由之さんはなにやら熱い物がしたたってくるのに気づきます。はっと上を見ると兄の目からはらはら涙が、、、。
はっと我に返った由之さん、それからというもの世を捨て庵をむすび、俳人として生きたそうです。兄の愛はかくも大きかった。(、、と、こんなものでしょうか?聞き間違えあるやもしれませんが、、、)
峰の庵の雪景色を歌ったこの歌は、俳人となってからのものでしょうか。
いきなりしんみり。さすが説法はお上手です。
中待合には半泥子の蕨春草萌える図が。
そして、、、、
本席にはその、、その,,良寛さんの消息が〜〜!!
なんて心憎い演出でありましょうか。しかも内容が朝から客がきてお酒をのんでおり云々。
和尚様曰わく、雪=白、春草=緑、お酒を飲んでほんのり赤くなった良寛さんの頬=赤
で、菱餅の色を現したのだそうです。
ヤラレタ〜〜!!
まずは炭手前。藪内独特の霰灰、角のハマグリ、炉中に撒く灰もやはり霰なので、灰匙にあたるとカラコロ音がするのが印象的でした。炭のつぎ方も裏千家と全然理屈が違うのが面白い。
たっぷりとした濡釜も浄林、炉縁が六角ナグリの漆か自然の煤の色、大きな節がとてもよい景色でこれには萌えました。
座掃きも小さい同じ羽根でこまめになんども掃く所作が自流とだいぶん違う。

懐石の前に、、、お!鏡割り。小さな樽の蓋は実はマグネットで初めから三つに割れているもの(^∇^)
杵で割って(?)小さな柄杓で白酒をよばれました。お雛様にふさわしい御趣向です。

こちらの懐石はいつも美味しいイタリアン、お料理もさることながら、なにせ器がもう次々と眼福物もの。
白酒の次は海上がりの古備前鶴首にはいった日本酒(ワインより日本酒が飲みたいと以前ワガママ言っていましたので。言ってみるもんやな〜)、また備前燗鍋でワインと三種のチャンポン、飲み助にはなんてうれしい!
そして石杯が、、、もう泣かせる泣かせる。
刷毛目の塩笥のぐい飲みサイズ、金繕いあり!ないよ〜、なかなか刷毛目で塩笥でこのサイズ。めちゃかわいくてかわいくて手放したくありませんでしたわ。

例によって、みなさんが「油がしみこむのではないか?」とはらはら心配されている古唐津ブイヤベース、今宵もでましたでました。
使う前後に水通ししているから大丈夫、と得意げにピースサインのお茶目な和尚様はおっしゃるけれど、やっぱり太っ腹すぎます。
焦がしたご飯にあさりのスープが、湯斗と湯の子みたいで洋風に解釈するとこうなるのか、のナイスアイデア。
最後にでたシチリアオレンジシャーベットもこんなん使ってええの??の絵唐津でございました。

神戸つるやさんの特注菓子をいただいて中立。
お菓子は桃襲とでもいいたい袿をまとったお雛様(o‘∀‘o)*:◦♪
後入りの合図の銅鑼がすごく佳い音色で、さすがお寺様だと余韻を楽しみました。
濃茶席は珍しく長板?と思いましたが、向こうに杓立て、右に水指(しかも懐石でおかわりのパンがはいっていた古伊万里のポット!!)左に茶入、手前に火舎蓋置。珍しい置き方。
実はこれは藪内独特の菱かざりという置き方なのだそうです。
自流なら菱形の水指を使う所ですが、こういうのもありなんですね、お茶って意外と融通無碍なのよ。
軸は森寛斎を初めとする江戸の絵師たち何人かの合作の、墨絵のお雛様、描き表装。
そして、、、、一年ぶりにまた手にすることができました、井戸茶碗・小貫入「八重桜」。(根津の井戸茶碗展に個人蔵ででていたもの)
一年前、和尚様が楽々荘で八重桜に寄せてと題する釜を掛けられたときにこれで濃茶をいただいた感激が蘇ります。
再び我が手の中に〜(ほんの一時にしろ)。
小貫入の名にしおう内側のびっしり細かい貫入、釉薬の小さな盛り上がり、外側の梅花皮は控えめ、どこをとってもええな〜、、、の言葉しかでてきません。
今回おつれした御連客は八重桜と初めてのご対面、皆様、感激の面持ちでありました。は〜、、、+゚。*(*´∀`*)*。゚+

八重桜の感激もさめやらぬ薄茶席では楽しいお菓子が。
(あん、振り出しがまた安南v(o゚∀゚o)v)

山形県鶴岡市のからからせんべい。振るとからから音がして、中から小さなおもちゃがでてきます。お煎餅も黒糖の味がしっかりしてとても美味しい。

私のは瓢箪でしたが、他にも小さな鈴とかダルマとか。そうか、お雛様サイズね。
お菓子の台も薄器もこれぞThe 李朝!、茶碗も三島系、朝鮮陶器の流れをくむ絵唐津、「李朝オタクもしくは李朝ミーハー」にはうれしいセレクションでありました。
そして最後にやっぱり和尚様のあったかいお人柄(コレクションもね!)が心にしみて、感動しつつ、みな、家路につきました。
深く感謝いたします。
合掌
このたびは雛の茶事にお招きいただきました。
待合に掛けられた短冊は山本由之の雪を歌ったもの。
ところで山本由之さんってだれ???と思うでしょ。私もしらなかった。
実はあの良寛さんの実弟なのです。まずはここで和尚様の心あたたまるお話を拝聴。
長男である良寛さんが実家をでて出家したものだから、山本家の商いを継ぐことになった弟由之さん。初めは順風満帆だったものの、そのうち家業は傾き一家離散、妻にもさきだたれ自暴自棄、酒に溺れる放蕩の荒れた日々をすごしていました。ある日弟を家によんだ良寛さん、ひとことも責めることなくもてなし、帰り際に兄のわらじの紐をむすんでいた由之さんはなにやら熱い物がしたたってくるのに気づきます。はっと上を見ると兄の目からはらはら涙が、、、。
はっと我に返った由之さん、それからというもの世を捨て庵をむすび、俳人として生きたそうです。兄の愛はかくも大きかった。(、、と、こんなものでしょうか?聞き間違えあるやもしれませんが、、、)
峰の庵の雪景色を歌ったこの歌は、俳人となってからのものでしょうか。
いきなりしんみり。さすが説法はお上手です。
中待合には半泥子の蕨春草萌える図が。
そして、、、、
本席にはその、、その,,良寛さんの消息が〜〜!!
なんて心憎い演出でありましょうか。しかも内容が朝から客がきてお酒をのんでおり云々。
和尚様曰わく、雪=白、春草=緑、お酒を飲んでほんのり赤くなった良寛さんの頬=赤
で、菱餅の色を現したのだそうです。
ヤラレタ〜〜!!
まずは炭手前。藪内独特の霰灰、角のハマグリ、炉中に撒く灰もやはり霰なので、灰匙にあたるとカラコロ音がするのが印象的でした。炭のつぎ方も裏千家と全然理屈が違うのが面白い。
たっぷりとした濡釜も浄林、炉縁が六角ナグリの漆か自然の煤の色、大きな節がとてもよい景色でこれには萌えました。
座掃きも小さい同じ羽根でこまめになんども掃く所作が自流とだいぶん違う。

懐石の前に、、、お!鏡割り。小さな樽の蓋は実はマグネットで初めから三つに割れているもの(^∇^)
杵で割って(?)小さな柄杓で白酒をよばれました。お雛様にふさわしい御趣向です。

こちらの懐石はいつも美味しいイタリアン、お料理もさることながら、なにせ器がもう次々と眼福物もの。
白酒の次は海上がりの古備前鶴首にはいった日本酒(ワインより日本酒が飲みたいと以前ワガママ言っていましたので。言ってみるもんやな〜)、また備前燗鍋でワインと三種のチャンポン、飲み助にはなんてうれしい!
そして石杯が、、、もう泣かせる泣かせる。
刷毛目の塩笥のぐい飲みサイズ、金繕いあり!ないよ〜、なかなか刷毛目で塩笥でこのサイズ。めちゃかわいくてかわいくて手放したくありませんでしたわ。

例によって、みなさんが「油がしみこむのではないか?」とはらはら心配されている古唐津ブイヤベース、今宵もでましたでました。
使う前後に水通ししているから大丈夫、と得意げにピースサインのお茶目な和尚様はおっしゃるけれど、やっぱり太っ腹すぎます。
焦がしたご飯にあさりのスープが、湯斗と湯の子みたいで洋風に解釈するとこうなるのか、のナイスアイデア。
最後にでたシチリアオレンジシャーベットもこんなん使ってええの??の絵唐津でございました。

神戸つるやさんの特注菓子をいただいて中立。
お菓子は桃襲とでもいいたい袿をまとったお雛様(o‘∀‘o)*:◦♪
後入りの合図の銅鑼がすごく佳い音色で、さすがお寺様だと余韻を楽しみました。
濃茶席は珍しく長板?と思いましたが、向こうに杓立て、右に水指(しかも懐石でおかわりのパンがはいっていた古伊万里のポット!!)左に茶入、手前に火舎蓋置。珍しい置き方。
実はこれは藪内独特の菱かざりという置き方なのだそうです。
自流なら菱形の水指を使う所ですが、こういうのもありなんですね、お茶って意外と融通無碍なのよ。
軸は森寛斎を初めとする江戸の絵師たち何人かの合作の、墨絵のお雛様、描き表装。
そして、、、、一年ぶりにまた手にすることができました、井戸茶碗・小貫入「八重桜」。(根津の井戸茶碗展に個人蔵ででていたもの)
一年前、和尚様が楽々荘で八重桜に寄せてと題する釜を掛けられたときにこれで濃茶をいただいた感激が蘇ります。
再び我が手の中に〜(ほんの一時にしろ)。
小貫入の名にしおう内側のびっしり細かい貫入、釉薬の小さな盛り上がり、外側の梅花皮は控えめ、どこをとってもええな〜、、、の言葉しかでてきません。
今回おつれした御連客は八重桜と初めてのご対面、皆様、感激の面持ちでありました。は〜、、、+゚。*(*´∀`*)*。゚+

八重桜の感激もさめやらぬ薄茶席では楽しいお菓子が。
(あん、振り出しがまた安南v(o゚∀゚o)v)

山形県鶴岡市のからからせんべい。振るとからから音がして、中から小さなおもちゃがでてきます。お煎餅も黒糖の味がしっかりしてとても美味しい。

私のは瓢箪でしたが、他にも小さな鈴とかダルマとか。そうか、お雛様サイズね。
お菓子の台も薄器もこれぞThe 李朝!、茶碗も三島系、朝鮮陶器の流れをくむ絵唐津、「李朝オタクもしくは李朝ミーハー」にはうれしいセレクションでありました。
そして最後にやっぱり和尚様のあったかいお人柄(コレクションもね!)が心にしみて、感動しつつ、みな、家路につきました。
深く感謝いたします。
合掌
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● COMMENT ●
みゅうぽっぽ様
普通の懐石よりよけいに器に意識が行く感じです。
器やお道具がすばらしいのは本当ですが、和尚様のお人柄でとにかく楽しい!のがこちらのお茶事のなによりのご馳走なのです。
古唐津は分類が複雑でいまだにようわかりません。絵唐津が一番好きですが、前回見た奥高麗(古唐津のひとつ)はすごかったです。
器やお道具がすばらしいのは本当ですが、和尚様のお人柄でとにかく楽しい!のがこちらのお茶事のなによりのご馳走なのです。
古唐津は分類が複雑でいまだにようわかりません。絵唐津が一番好きですが、前回見た奥高麗(古唐津のひとつ)はすごかったです。
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李朝、私も大好きです!!韓国の美術館にも行きたいのですがまだ行ったことがありません。唐津焼の窯元に行くと韓国の陶器の香りも感じますよ!昨年、中里太郎右衛門窯に行って来ました。