fc2ブログ
topimage

2023-09

大覚寺・望雲亭 - 2017.03.21 Tue

P3200001.jpg



奥嵯峨にある、嵯峨天皇の離宮であった嵯峨御所・大覚寺。
1200年もの歴史を持つ格式高い門跡寺院であり、華道・嵯峨御流本山であり、、、時代劇ファンにはたまらないロケ地でもある。
(*ちなみに4月7日~9日に嵯峨御流流は最大の祭典・華道祭があるよ)





P3200009.jpg




境内を出てぐるっとまわって大沢池南畔に、、、




P3200011.jpg




望雲亭がある。

かつてここに、少なくとも江戸末期には、庭湖館という建物があったが、のちに明治年間、裏千家の肝いりで広間小間水屋を備えた望雲亭が建てられた。

命名の由来は、嵯峨天皇が高野山に帰山する弘法大師に贈った詩による。
(道俗相分かれ数年を経たり、今秋晤語するも亦良縁なり、香茶酌みやみて日ここに暮れる、 稽首して離れを傷み雲煙を望む)←嵯峨天皇は空海ととても仲がよく、ここでいっしょに茶を喫したり、中国留学時代の話を聞いたりされたそうな。


ところが昭和40年代に焼失、昭和50年に再建されたものの、あまり茶会などに使われず、露地がひどく荒れていた。それではあまりにもったいない、ということで露地をきれいに整備したのがうちにもゆかりのある造園屋さん。
そのご縁で、(もったいなくも)お寺さんにこちらを案内していただいた。




P3200012.jpg




荒れている時を知らないのだが、とても美しく整えられているので、そんな時があったのがなおさら信じられない。




P3200017.jpg




網代の腰板や天井で囲まれた玄関をはいってまず案内されたのが、この大広間。
船底天井で照明は新しくしたものの、それ以外は当時のままの和風モダン。

特筆すべきはこのテーブルと椅子。
お寺の応接間(?)にも同じ物があったが、有栖川宮家よりの下賜の品なのだそう。現在名宝館で開催中の慈性入道親王展、門跡としては最後の方だが有栖川宮家ご出身なんのだとか。




P3200021.jpg



八畳の広間。

障子を開け放つと目の前に広がる大沢池のパノラマ!
これは気持ちのよい眺めだが、楽しめるのはむしろ亭主の方かも。




P3200023.jpg



小間の外観。
この沓脱石などもすべて新しく設置したのだそうだ。



P3200036.jpg



小間へ続く露地。




P3200028.jpg



小間は二畳台目向切+堂庫らしきもの+二畳の相伴席。
たてていた雨戸をあけてもらうと、、、、まあ!とおもわずため息のでる切り取られた大沢池、その向こうに二重塔の心経宝塔。




IMG_6151.jpg



室内を明るくすると船底天井がよく見える。茶室自体が、まさに池へこぎ出そうとする舟のようだ。




P3200034.jpg




塵穴もおもしろい。




P3200033.jpg



これも新たに据えられた四方仏の蹲居。




IMG_6145.jpg



水屋も広くて使い勝手がよさそう。
さらに広い広いキッチンもついて、トイレもきれいで複数あって、設備的には申し分ない。これで使われないのはあまりにもったいない!



P3200025.jpg



腰掛け待合いも修復したそうだが、これも露地を歩く景色になっている。



P3200078.jpg




しかもここへすわると松越しに大沢池がよく見える。





P3200024.jpg




さて、なんといってもお楽しみは、、、露地からそのままいける船着き場、そこから池へくりだす舟!




P3200041.jpg




さあ、舟にのりこもう。
結構広い。




P3200046.jpg




舟に乗ってふりかえる望雲亭。




P3200053.jpg



いつもは向こうに見える舞台から見ている大沢池を池から見るこの楽しさ。




P3200052.jpg



大沢池は水深が浅いので、漕ぐというより竹の棹で地面を押している、という感じ。

ここで池を巡りながら点心をいただくもよし、薄茶席にするもよし。
いろいろ妄想がふくらむ。




P3200051.jpg



ここには野生の水鳥も多い。
水中にもぐってエサをとっているのはオオバンという鳥だそうだ。




P3200062.jpg



今は枯れ蓮だが、花の盛りはいかばかりか。
ちなみに池をぐるっとまわっているのは桜なんだそうだ。これも見たいなあ。

嵯峨天皇が中国の洞庭湖を模してつくらせたという大沢池、1200年の昔からほぼ形をかえていないのだとか。平安初期の雰囲気を少し味わえるかも。




P3200068.jpg



枯れ蓮の景色は若冲も描いていたと思うが、結構好き。




P3200054.jpg




と、ゆるやかな船遊びをしているうちにふたたび望雲亭が見えてきた。終点だ。




P3200080.jpg



たっぷりいいものをたくさんみせてもらったあげく鉄鉢料理もご馳走になった。ここで茶会をするときにこういうのを取ることができる。




P3200083.jpg




しかし、、、、この広い広間に宮家の調度でふたりっきりでご飯を食べるというのもなあ、、、なんだか一時だけ高貴な人になった気分だ。



この望雲亭、お稽古とかイベントとかで使用されることはあっても茶事茶会に使われることがめったにない、というもったいない施設。お寺の方も茶会使用への使い方を模索中とか。船もいろんな使い方があって楽しめることうけあい。
手始めに秋に一回茶会をやってみようかと、思っている。





関連記事

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/826-63153d82
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

桐蔭席〜中村宗哲・諏訪蘇山姉妹席 «  | BLOG TOP |  » 祗園・山玄茶

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (385)
茶事(亭主) (82)
茶事(客) (171)
茶会(亭主) (17)
煎茶 (9)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (108)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (29)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (138)
奈良散歩 (128)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (9)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (13)
中国茶 (48)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (1)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (3)
信州旅行2023 (2)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR