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2020-02

NHK「自閉症アバターの世界」第一夜・脳内への旅 第二夜・仮想と現実を生きる - 2017.10.01 Sun

NHK・EテレでハートネットTVというのがある。


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「生きづらさを抱えるすべての人へ」というコンセプトの福祉番組。

今回、個人的にお知り合いでもあるアメリカ・ニュースクール大学大学院教授で社会学者の池上英子先生(NY在住ですが日本のお家がご近所)が、リアル(現実)とバーチャル(仮想)の世界を生きる自閉症スペクトラム(ASD)の方たちを両方の世界で尋ねるという、二夜連続の自閉症アバターの世界の回を見た。

池上先生は10年ほど前にセカンドライフという3DCGで構成された仮想空間に研究室を作り(もちろんバーチャル)ご自分の分身であるアバター(キレミミ・タイガーポウ)と、ここを訪れる世界中のアバターとバーチャル世界でのチャットをされてきた。

*セカンドライフについては番組HPからの引用
米国リンデンラボ社が運営する、3DCGで構成されたインターネット上の仮想空間。ゲームのようなシナリオは無く、利用者は「アバター」と呼ばれる自分の分身を操り、住民と交流しながら生活します。街や娯楽施設もユーザー自身によって建てられ、お店を経営したりライブを開いたりと、自由な活動が可能です。


このセカンドライフは一時爆発的な人気があったそうだが、SNSの発展とともにすたれてきた。ところが今でも残ってその世界を楽しんでいる人たちにASDの人がとても多いことに気づき、やりとりを重ね実生活では他人とのコミニュケーションに障害があり、他人への共感が少ないといわれる彼らがお互いに共感し合い、とても豊かなバーチャルライフを送っていることに驚いたという。

彼らのバーチャル世界での会合を傍聴したり、参加して会話をしたり、を重ねるうち、リアル世界の彼らがどんな生活をしているのか興味を持ち、そのうちの4人に実際に会いにいく約束をとりつける。本番組はその記録である。

リアル社会では、アスペルガーの男性が構築するバーチャルの世界(3DCG)は、あまりに不思議で、かつとても美しい。黒い壁に囲まれた空間に浮かぶ多面体、植物の根の土の中の世界、不思議の国のアリスのようなトランプの世界、「2001年宇宙の旅」の一場面を思わせるような世界、、、あり得ないシュールな世界で、見ていてワクワクして惹きこまれる。彼の頭の中を可視化するとこうなるそうだ。ここでは彼のアバターはちょっとシャイな中性的少年だ。

彼はまたセカンドライフで経営するダンスフロアのカリスマDJ、彼の作る不思議な、でもここちよい電子サウンドで世界中のアバターが気持ちよさげに踊る。バーチャルの世界で彼は自由で、のびのびと羽根を伸ばし、自信にあふれているように見える。

では現実ではどうか。

人とのコミュニケーションがとりづらく、人間関係がしんどい、ときにパニック発作を起こす。仕事も長続きしないが、人と対面することの少ない夜勤でなんとか続けられる。セカンドライフでのあの自由な翼は折れてしまっているようにみえる。
しかし、彼は言う。バーチャルの世界を作ることもまた現実であると。


ASDとバイセクシャルなことで親から虐待を受け、家を追い出された青年、そんな彼を受け入れたADHDの青年、リアル世界でもバーチャル世界でも支えあって生きている。しかし、職がみつからない現実、これからふたりはどうやって生きていくのか。
別の女性のアバターは賢く知的で洞察力もするどい。しかし現実世界では意思伝達アプリを使わなければ店で物を買うのもむつかしい。パニック発作をおこしそうになるのを予防するための、経験則でみつけたグッズを、いっぱいポケットのあるジャケットに山のようにつめこんでから外出する。

2つの世界のあまりの解離を思わずにはいられないのだが。
しかし、第二夜で最後にでてきたアリス、障害者教育に長年たずさわり、現在は引退したが、障害者のアートの才能をバーチャルとリアルで融合しようと試みている伝説的カリスマなのだそうだが、彼女の言葉が印象深い。リアルの世界は物質的世界、バーチャルな世界は物質的でこそなけれ、やはりそこに存在する同じくらいリアルな世界なのだと。

仕事がハードでも、仕事が終われば趣味の世界で(私ならお茶に)仕事とは関係ない世界を楽しむ、、、なんていうのと実は同じなのかも知れない。どちらも大切な自分の世界だ。ただASDの人たちの脳内世界は一般的には外から見ることができないので、私たちにはただただ奇妙に異常に見える。ところがパソコンを通じて意外と理路整然、あるいはシュールに美しいその世界を垣間見ることができるとは、われわれの時代は、すごいツールを持つようになったのだな、と感慨深い。ASDと非ASDの人たちの相互理解をすすめるツールに将来なっていくことを期待する。


TVでは池上先生はつぎつぎその生活の場で彼らに出会っていく。
アバター同志の交流はあったとはいえ、初めてリアルで出会った時にすっと会話に入っていけるのもすごいなあと思うが、撮影まで了承してくれたこの人たちもすごいなと思った。

セカンドライフの3DCGの画像だけでもすごく魅力的で惹きこまれた。おすすめ、是非!

第1夜

第2夜

*再放送 NHK Eテレ 10月3日4日 いずれも13:05〜



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● COMMENT ●

おどろいた

池上英子氏のことが出てきて、ROMを決め込んでいる私もびっくりしました。まえに『名誉と順応』(もちろん日本語で)を読んだとき、日本人の書く本ではないと確信して、ずっと日系アメリカ人と思っていました。本年夏休みにベトナムに遊びにいったさいに彼の地で『美と礼節の絆』を読みました。生まれ育ちが日本人と知り驚いた次第です。茶の湯の部分はちょっと、、、ですが。詳しくは11月にお会いするかもしれませんのでその折に。

ひえん様

池上先生の著書をご存じでしたか!
また意外な接点!
知り合ってまもなく、こんな偉い先生とはつゆ知らず、うちのお茶事におよびしたりなんかして,今思うと汗顔ですわ(^_^; 
ご本も、タイトル見るだけで頭痛くなってきそうなくらいむつかしそうなんで、いまだ、、、(^_^;
この番組でちょっと興味がわいてきましたので、ちらっと読んでみようかな〜、、、、っと。
茶の湯にふれた部分もあったのですね。はい、またお目にかかれたときに。

シュルさま、番組紹介いただきありがとうございます。
ひえんさま、また拙著を二冊とも読んでくださったとは。!!名誉と順応、と美と礼節の絆の絆、は英語から翻訳しはていただいたので恐縮です。近著の、ハイパーワールドは、書き下ろしですので、少しは読みやすいかと思います。NHK の自閉症アバターの番組のほうはまた再々放送等あるかとも思いますが、誰かが勝手にYutube にあげているとききました。いつまでそこにあるか、不明ですが。

キレミミ様

コメントありがとうございます。
御著書はちょっとむつかしそうに思いましたが、ハイパーワールドの方は読みやすそう(に思える)ので早速アマ○ンで予約しておきました。番組とリンクするようなので楽しみです。
ひえんさんと本つながりで知り合いがつながる、、、というのも面白いです。ひえんさんも御著書がおありなので、なにか引かれるモノが、、、あったのかも(^_^;

NHK番組の原案、ハイパーワールド、ポチッと購入ありがとうございます。シェル様のようなかたに難しいと恐れられるとは、こちらの未熟を反省するばかりです。まあ英語からの翻訳はどのような達人がなさっても 正確さと読みやすさを両立するのがむずかしいのですが。先日、法政大学総長で 江戸の想像力、などの著作がおありの田中優子先生がNYにおいでになり初めてお会いする機会がありましたが、江戸の芸能文化社会とデジタルアバターの世界が類似していることを、一瞬で了解されました。つまり2つの世界は時を超えたパラレルワールドなんです。。。幸いNHK番組はそこら辺の不思議さも結構描いてくれてありがたかったです。

キレミミ様

早速アマ○ンから御著書が届きまして、まだ眺めている最中です(^_^;
先に受け入れやすい映像を見ているので、読み始める最初はエンジンがかかりにくい状態です。
読み出すときっと乗ってくると思うのですが、少々お待ち下さい。
江戸の芸能文化社会云々はTVの冒頭ででた部分ですね。なるほど。
私的には、社会的肩書き関係なく客が理想的な一期一会の茶会を楽しむ様、、、と解釈してみましたが。


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