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2023-12

信楽の古民家を手に入れた陶芸家〜ペンと古民家 - 2017.10.20 Fri

うちから車で約1時間、信楽は朝宮地区はお茶の産地としても有名。



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雨に煙る茶畑の畝が美しい。
そんな景色が見えるお屋敷古民家をサラリーマン陶芸家こと平金昌人さんが手に入れはった。以前から自分で築いていた窯場の近くに半年ほど前に。

彼は石州流の茶人でもあり、自ら茶陶を作陶もすればお点前もされる。




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おお!これがそのうわさの古民家!

もともと土地の分限者のお屋敷だったそうで、14もの部屋がある。
もちろん入手当時は荒れに荒れて雨漏りもして根太も傷んでいたそうだ。そこを、一部大工さんの手をかりながらも自ら床を張ったり、漆喰の壁を塗ったりして改修中。完成にはまだ遠いらしいが、楽しみながらやっているらしい。

(一応(^_^;)サラリーマンなので、ここにおられるのは週末だけなのだが、茶縁や彼のお人柄に惹かれて週末訪れる人はあとをたたないとか。




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ワタクシも訪ねてみたいと思っていたが、このたびここで「ペンと古民家」と銘打って書家の奥田先生(若くてきれいな先生)と古民家ライフ(?)コラボのイベントをたちあげはったので、一目散に。

平行して緩和ケアネットワークの集会所も立ち上げ予定でその名前が「はなぐみ集会所」。
なんだか土地の人にはあやしい新興宗教?と疑われているとかいないとか(^_^;
緩和ケアは、今年最愛の妹さんをなくされた悲しい経験からきたものと聞いた。




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母屋、座敷前の庭もかなり手入れをされたもよう。以前は野生の鹿の集会所だったとか。
雑草取りの時にはヒルに吸い付かれるというご苦労もあったようだ。

庭石にえ?っとビックリするような巨石もあって、やはり分限者のお屋敷だったのだな、と。




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高い上がりかまちの玄関は二間以上?



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玄関の間から玄関を振り返る。




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玄関の間からして四畳半以上ありそうだった。(カウントしていないが)
ここにギャラリーコーナーを設け、平金作品を展示。




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玄関の間の建具がまたいい!

ちなみに彼はとにかく井戸茶碗が大好き。(私も一碗所蔵してる)電気窯から初めて現在は2号の穴窯を近所に鋭意作成中。薪での窯になって、作品の意図しない変化が面白いと以前言っておられた。




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玄関の間から上がった広い座敷からは正面に茶畑が見える。



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座敷の土壁は、かつて床の間が物置になっていたときの傷がいっぱいついているが、むしろそれがスサみたいでいい景色になっている。




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この広間の上につけた照明カバーは,地震や火事になったらこれだけ持って逃げる!という時代物。非売品をあの手この手で攻略してようやくゲットしたものだそうだ。暗くて見えないがこの下に房がついていて、たしかに惚れるのもわかるよいものだった。





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広間に続く次の間はフローリングだがこれもご自分で張られたもの。舞良戸の押し入れがすてき。
どこにあるのかわからないくらい上手にかくしたスピーカーから低くながれるジャズ系のBGMが雰囲気にぴったりだ。




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どこをとっても絵になる。(この照明はいいね!)




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台所に続く食堂だったとおぼしき小間。その向こうは裏山になる。




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裏庭には、いまでも鹿が通り過ぎたりするそうだ。
柿が色づいていた。




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まずは懐石をいただけるようだ♪
大工さんに一枚板をカットして作ってもらったという折敷がいいな。




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台所にある食器棚も手作りっぽい。
彼のコレクション、主に古伊万里が多いのだが、ご自分の作品が土物なので、磁器の古伊万里のように白くてきれいなものが反対に欲しくなるのだと。なので向付は古伊万里。




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飯碗がなんと平金井戸でありました。まさしく茶碗!

朝宮地区のお米に滋賀県特産赤コンニャクの汁、鯉の洗い。ご飯は二碗目から栗ご飯でとってもうれしい!



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古伊万里に厚焼き卵。庭を背景にするととてもきれいな景色になるので、しばし皆様撮影タイム(^_^;




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煮物椀はこの地区の神社のお祭りの撤饌であるところの小餅入り。
平金さんはすでにこの神社の氏子として、地域の所帯主(男性のみ)の集まりにすでにデビューされている。ここを終の棲家とするにあたって、地域を愛し、溶け込む姿勢はほんとうに大事だし、うらやましくさえある。





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懐石のあとはお菓子をいただいて、抹茶を一服よばれる。満ち足りた時間。

このあと、本来の目的の「ペンと、、、」を忘れて(^_^;まだほとんど手つかずの二階部分を探索。



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土ひねりをしている土間では主に五輪塔を制作。プロの陶芸家なら,売れる物を焼くが、そうでない自分はかえって好きな物が焼けるので、来年早々に予定している穴窯二号機の最初の窯炊きのときにこの五輪塔をいっぱい詰めたいとおっしゃっていた。供養のお気持ちもこめてかな。




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作業場のガラス建具が昭和で懐かしい、、、実家にもあったわ、こんなの。



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現在使用してはいないが、昭和の遺構として是非残してほしい風呂。このタイルがなあ、、これも懐かしいのよ。

二階の使用人部屋であったとおぼしき部屋や奥座敷であったろうりっぱな床柱の座敷は傷みがひどくて、まだまだ改修に手がかかりそうだが、ここはこんなことに使いたい、そこはこうできるのでは、と他人の家にもかかわらず、つぎつぎイマジネーションがわいてきて困った(´・ω・`) 。

維持管理は大変だと思うが、どれだけ遊べるのだろうとわくわくする空間である。




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そしてやっとみんなの興奮がおさまったころ、本日のイベント、「ペンと珈琲」主宰の奥田先生のペンと古民家。
芳名録、色紙、柿渋紙、半紙など好きな用紙に好きな言葉を書いていく。書く道具も筆、筆ペン、ガラスペン、などなど。





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私は数年前ベネチアで買ったままほうりっぱなしだったガラスペンを持ってきた。




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下書きの半紙に向かうと、、、はてさて、一体何を書いた物やら、、、
先生は心にうかんだどんな言葉でも、お手本としてもってきた南方録の一節でも、と。
う〜ん、こんなに自由な「習字」は初めてだ。自由に書け、といわれるとかえって何を書いていいのかワカラナイ。

悩んで、英語の歌の歌詞を書いてみたり、南方録を抜き書きしてみたり、なぜか心に浮かんだ明恵上人の歌を書いてみたり、西行の歌を書いてみたり、、、

これって不思議な時間だった。
自分の内面を垣間見たような気がする。自分の心と向き合うことがはからずもできた時間。

かくてこの場所に惹起された深層心理の中からうかびあがった万葉集の狭野弟上娘子の歌を、柿渋紙に書くことにする。




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「君が行く 道の長手を 繰り畳ね 焼ほろぼさむ 天(あめ)の火もがも」


この激しさが好きだ。いくつになっても。



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苦しんでいる最中に差し入れられる朝宮茶ロールと珈琲。これも古伊万里。ありがたし。




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かくて皆様の作品完成!

これに布や和紙にのせて軸のようにすることができるというご提案もあり、小学校以来大嫌いだった「習字」をかくも楽しくこなせることがうれしかったのである。


これにて古民家をおいとましたが、平金さんはよき場所を見つけられた。そしてご縁のある方に開放してくださるありがたさ。これからますますいいものを作ってそしてお茶も楽しんでください。
今度はミニ五輪塔をつくりに行きたいなあ〜。







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● COMMENT ●

しぇる様へ

信楽はいかがでしたか。
私も先月初め、家内と紫香楽宮と近江国分寺の故地に参りました。
家からは、自動車で、外国人の観光客や研修生も来ている宇治茶の産地の
和束町を抜けて一時間弱で辿り着けます。
現在、宮跡は水田地帯の下に埋もれていますが、近年の発掘品が展示
されていますし、国分寺跡はよく整備され伽藍配置がよくわかります。
今度、行かれるときはそちらの方にも足を延ばしてください。



抜けて一時間弱でいけます。

narahimuro様

紫香楽宮の話題も出ました。どこらへんに跡があるかも聞きました。
さすがにこの土地だなあと。引っ越し魔の聖武天皇はなぜこんな所(失礼!)を選んだのでしょうね。
近いうち、また聖武天皇ゆかりの恭仁京のあたりに行くことになりそうです(^o^)


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