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2023-12

南山城の古刹〜和尚様の茶事 - 2017.11.05 Sun

南山城では洛中より一足早く木々が色づいている。



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恭仁京のあったあたりであり、文化圏的にはほとんど奈良、のこのあたりには、開山が奈良時代にまでさかのぼれる古刹がたくさんある。




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景色も奈良の景色に似て、どこかのどかだ。
柿の実も色づくこの季節に、師匠におさそいいただいてその古刹の一つのご住職がご亭主をされる茶事に。





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天台宗のお寺で鎌倉時代創建、ご本尊の阿弥陀様は南北朝時代のものとか。本堂にはいってびっくりした!脇侍が金彩の華やかな観音菩薩と勢至菩薩(たぶん、、)、黒っぽい阿弥陀様の背後に彩色鮮やかな3Dの極楽図か来迎図、、、、こんなの見たことない。

極楽浄土は美しくないといけない、という和尚様のお考えでこのような立体背景をつくられた。菩薩様の制作はなんと、あの(ご近所の)仏師、江里康慧さん、截金の人間国宝であった奥様の故・佐代子さんの截金荘厳も施されているそうだ。

ちなみに和尚様、おそらく70才代とお見受けしたが、この革新的なパワーは一体どこからくるのかw( ̄o ̄)w!

さて、寄付の前に、ここで般若心経をあげる師匠。




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茶室も和尚様がご自分で設計も、建材も注文をつけて作られた四畳下座床の小間。
これがうちの小間の間取りとまったく同じなのになぜこう広く感じるのだろうと思ったら、中柱と袖壁がないのだ。炉は向切らしい。これはいかにも給仕がしやすい。

この茶室、和尚様工夫の仕掛けがいろいろあって、即席?洞庫とか、障子をあけたら土間の椅子席がでてくるとか、天井は今時絶対手に入らないと思われる竹を薄くへぎにした網代とか、ほんま見所満載で楽しい。




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露地もこだわって作庭、蹲居も古い灯籠を思いついて礎石部分を蹲居にみたて据えた物、灯籠の後の岩石の枯山水のような景色は、もとあった石段を崩した物、とかこれも見所が多い。

初座で澤庵さんの「不生不滅」の短歌を拝んで、点前座、ああ、絶品の時代もののすり鉢を見立てた風炉!
エッジのきいた美しい灰型はお嬢様がつくられたかも、とのこと(親子でお茶!いいな〜!)
なにより萌えたのは前瓦の代わりの、砕いた瓦の破片。このすり鉢に似合いすぎ。


炭斗がまた唐籠の外側に圓能斎の消息貼り付けているのだもの、すごいわ。




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(裏千家の塵箸はこのような仕様です、、、最近までしらなかった)



懐石もお嬢様の手作り、ツボは汁のカボチャ団子がハロウィン仕様(^o^) そして八寸の里芋の揚げたの、醤油が薄くかかって、ほんま熱々で美味しかった。このレシピはいただきだな。


そして寄せ向こうの器がすばらしかったこと。
表がとろっとした平皿は裏をひっくり返して初めて三島なんや!とわかる逸品、これよかったわ〜よかったわ〜。金継ぎのある山茶碗のお向こう、これでお茶をたててもいいわね。

酒器がこのお寺の山を削ってでてきた土で焼かせたとっくりであったり、ここでも和尚様のパワーが炸裂していたが、お話しは軽妙洒脱で楽しく、さすがにお仕事柄だろうか。




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後座はお嬢様のお点前にて。
出てくるわ出てくるわの高麗系シリーズ、高台付近がもはや井戸!だろ、の堅手茶碗が濃茶に、続き薄では三島もあれば古唐津がまたいいのよ。
和尚様、あまりに好みが似ております。似すぎております。ヤバイです。

お点前がおわっても茶の湯談義、お道具談義、人生談義がつきない。
実は和尚様、某茶道学園の創立にちかいころのご卒業、しかし流派にこだわらず、ご自分の審美眼とポリシーのみを軸にすばらしい数寄をつっぱしって展開しておられる。

あと10年ぐらいで、あの境地に到達できればな〜が目標。(まあ、、、、挫折するかもしらんが、、、)

今回も心に残る茶事になった。師匠、ありがとう+゚。*(*´∀`*)*。゚+
和尚様、お嬢様、御連客様、ありがとうございました。





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