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漆搔き・猪狩史幸展と茶話会〜川口美術 - 2017.12.13 Wed



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鴨川・下鴨、糺の森はもう冬景色も近い。




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下鴨川口美術にて、岩手県浄法寺(二戸地区)で漆搔きをなりわいとし、漆を搔かない冬には漆器をご自分で採取した漆で作っておられる猪狩史幸(いがりまさゆき)さんの個展開催中。
本日は猪狩さん本人のお話しを聞きながらお茶する、という会。

現在日本で使われる漆の90%が中国産で、残りの10%のうち6割以上を生産しているのが浄法寺、このあたりは8年前、浄法寺漆を復興させた岩館さんの講演会で聞いて知識としてはある。

さて、漆搔きが職業としてなりたっているのはこの浄法寺とあと関東の方に一箇所だけと聞いた。漆の需要はそれなりにあると思うが、律速段階は漆の木の生育にあるらしい。漆の木を植林して、掻けるようになるまで15年、そして1本の漆からとれる漆は約200ml、ひとつの漆製品には平均約30ml、漆の木が生える山にはそれぞれの所有者がいて、彼らがいつ漆栽培をやめるかわからない不確定さ。いろいろ問題はあるようだ。
今は日光東照宮の修復に国が買い上げるというビッグウェーブがきているので、上向きなのだそうだが、それがおわるとまた低迷期にはいる、、、漆掻きはそんな浮き沈みを繰り返しているとか。




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作品ととともに展示されている搔いた後伐採して2年くらいたった漆の木。
この筋状の傷から漆の樹液を採取する。山に入って1日もくもくと漆を搔く仕事はとても孤独な作業らしい。一日中だれとも話をしない日もあるとか。

猪狩さんは採取だけでなく、漆の精製もされている。ここでとれた漆はもともと少し黒い色をしているそうだ。作品を見せてもらうと、色素もなにもいれないで、漆だけの重ね塗りで作られた器は、渋い赤味を帯びた黒、と言おうか。木地が透けて見える溜塗に近い。木地は木地師さんにお願いしているそうだが、シンプルで日常使いの器として手の中でのおさまりがよい。





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左手に、漆を採取する桶(これも木の樹皮を使った手作り)、右手に採取する道具。この道具も作り人が絶滅危惧種であるらしい。

価格的に日本産は中国産漆の約5倍だそうだが、昨今中国産も漆も値上がりしているという。都市化がすすんで漆掻きのなり手がへったこと、中国国内でも需要が増えたこと、、、など。漆を使う職業の方は漆の値段の高騰に苦労しているらしい。




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クリスマスも近いので、ヤドリギがいけられている。

質疑応答で中国産の漆は日本産に劣るか、という話がでたが、漆は生育した土地や気候によってそれぞれ色や性質に土地の特色があるのだそうだ。だから中国の漆も日本の漆と性格は違っても品質は劣らないそうだ。ただし、採取法の違いなどから不純物混入が多かったり、流通過程が長いので、その間の品質管理ができていなかったりで、悪いイメージがついたらしい。
そうなのか、目からウロコ。やはりたずさわっている方の話は勉強になる。




IMG_9583.jpg




漆の森や、漆掻き、漆精製の作業の動画など、見せてもらって茶話会は終了した。

茶道具に漆は必要欠くべからざるもの、それらを生産するためにいろんな段階でいろんな人が黙々と仕事をしているのだ。塗の棗一つをとっても、有り難いと思わなくてはならない。
そんな漆のお話しであった。







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