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2023-10

今年の中秋の名月は薬師寺〜2023 - 2023.10.01 Sun

今年の中秋の名月の法要はどこにしよう、、2年続けて唐招提寺の観月讃仏会に行ったが、今年はちょっと変えて同じ西ノ京ながら、薬師寺の観月会にしてみた。


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中秋は年によってずいぶん時期に幅があるので、昨年なんか18時でもまだ明るい9月前半だったので、雰囲気いまいち、今年は29日と良い感じに暮れている日程となった。


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薬師寺の観月会は東塔西塔のある白鳳伽藍ではなく、道を挟んで反対側の玄奘三蔵院伽藍で行われる。この伽藍は平成3年建立という新しさ、できて間もない頃、平山郁夫画伯の大作「大唐西域壁画」を見に来たことがあるが、以後なかなか足が向かなかったので、久しぶりである。


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本当はもっと早い時間にご法話もあったのだが、法要にぎりぎり間に合う時間、まほろば会館にあわてて点心を受け取りに行ってもどってくると、、、


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あら、お坊さんご一行がすでに入堂を始めてはる。


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その頃月はちょうど伽藍の向こうから顔を出していた。おお、今日は雲一つ無い夜空、まさに美しい名月である。昼間は汗だらだらの暑さだったが、この頃になると風も涼しい。(もうすぐ10月というのに涼しい、、、なんて言葉を使わないといけないなんて)


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18時半に一斉に開くはずだった大唐西域壁画殿、ちょっと手違いでなかなか開かなかったが、暗い中で扉が開かれると明るい壁画が美しく広がる。


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玄奘三蔵像を祀る玄奘塔にて法要は行われた。

なぜ玄奘なのか?
薬師寺の宗派である法相宗は唯識思想を旨とする。唯識学派の教えを求めて「不東」の志で不屈の旅をしたのが玄奘三蔵であり、それを日本に持ち帰った道昭は唐で玄奘に学んでいるのである。

(不東:インドをめざし西へ進む玄奘の、教義を得るまでは決して東の唐へは帰らないという意志を表す)



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法要が進むにつれ目の前に見える月はどんどん昇っていく。
何枚も写真を撮ったが、なんとかきれいに撮れたのはこの一枚だけ。


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加藤朝胤管主さまのお顔が灯火に照らされる。
献茶もあったようだが、私が座った位置からは見えない。


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その後薬師寺ともゆかり深い世界的ハープ奏者・福井麻衣さんの演奏があった。


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ハープ演奏を入り口の門のほうから。
背景に玄奘三蔵さんのお姿が。


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この頃には月はここまで昇っていた。


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加藤管主さまのおしまいのご挨拶を聞いて、、、


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参拝客は順番に壁画堂へ、久々に大唐西域壁画を拝見。お坊さんのシルエットが背景と相まってちょっと玄奘っぽく見えない?(^_^;
壁画はインドのナーランダ僧院にたどりつくまでの険しく過酷な道のりをたどるように描かれ、天井にはラピスラズリの青に散華が舞い、日月がある。若い頃見たときよりは深く感動、あれから人生色々あったし(ありがたいことに大過はなかった)。


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不屈の精神の玄奘三蔵像を間近で拝むことができた。


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裏千家淡交会奈良支部のみなさんによる野点呈茶席。


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見えるかな、手前に月見団子。


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玄奘三蔵伽藍をあとにすれば白鳳伽藍の東塔西塔が。


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しかしお弁当、小さい箱なのにしっかり詰まってて、ボリュームもあり、美味しかった。右は拝領したお札。薬師寺さんってなんかいつも太っ腹なのよね。コロナの間は無かったが、花会式のお弁当や鬼追い式の後のおうどんや。好き♡




壺中日月長〜初秋の宵の茶事 - 2023.09.29 Fri



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北摂阪神間の妊婦さん達はほぼここで安産祈願すると思われる中山観音さん。宝塚に住んでいた頃、長男がお腹にいたのでここにお参りしたのも、生まれてから長女の手を引いて長男抱っこしてお礼参りしたのも懐かしい。これは参道のお礼参り用さらし(腹帯)を売っている景色、これもかわらない。


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中山さん(中山寺)の五重塔の上にはもう秋の雲だが、9月末と思えない暑さはまだ続く。


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お招きいただいたのは、広い露地と小間の茶室を擁する某道具屋さんの大きなお家。本日のご亭主はご懇意にされておられるので、ここをわれわれ客4人のためにお借りくださったとか。まあ、入り口からはいったところでその風情に感激。わくわくである。


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待合の座敷には「楽しみはその中にあり雪月花」で、瓢箪の絵。どなたの作かと思っていたら、100歳を越えてお元気でいらしたお母上の手によるもの、本日のテーマに沿って久々にお使いになられたとか。


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腰掛待合にはきちんと蕨箒、夕刻の中立にはこの灯籠に灯りが入る。


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変則的に広間でまず懐石をいただく。なにしろ我が家と同じで小間の茶室にはエアコンがないとのことで。日中は暑いだろうと、夕刻のお招きのお心使い、感謝である。


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社中のお弟子さんの渾身の懐石。盛り付けにも、献立にもすごく繊細な心配りがあってこれも感激。自分の雑な懐石をちょっと反省。
金沢とのご縁で、加賀のお酒あれこれ数種、それぞれちがう酒器でいただいた。いずれも美味しい。今日は車じゃないのでいっぱい飲める♡


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写真にはうまいこと写っていないが、黄色の満月のようなしんじょうにはこぼれ萩にみたてた小豆が入っているという懲りよう。小豆も柔らかく炊けていて美味しかった。(小豆炊くのはけっこう時間がかかる)


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びっくり!が八寸である。
満月にみたてたサツマイモは私も作るが、尻尾を兎の耳に見立てた海老には感激!これも手がこんでいるのよ。梨の酢の物も美味しかった。参考にメモメモ。

大きな月とススキを描いたお皿に載ってでてきたのは栗きんとん。なめらかで栗の風味がとても、良い具合、、、と思っていたら、今朝、加賀の行松旭松堂から届いたばかりですと!なんてうれしいお心使い。


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懐石終わる頃には日も暮れて、灯火の美しい時間。
小間に場所を変えて炭手前。かかる軸は山田無文師の「壺中日月長」
これが本日のテーマ。われわれは時を忘れて壺中に遊ぶ客である。


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初代寒雉の車軸釜は鐶付がカマキリ。ちょうどこの季節に卵を産んで、小カマキリがあちこち出没する季節だな、、、と思う。(カマキリは不完全変態なので、芋虫時代がないので好き)

土風炉の時には風炉中拝見があるとは知らなかった。自流ではあるが、まだ知らないこといっぱい。勉強勉強。
曲げ物の香合は木賊に月、蓋裏には、ここにも兎。(木賊、兎、月の三点セットは昔からある意匠らしい)
昔からお気に入りだったという時代の火箸は、柄のところがエンドウ豆の莢そっくりで、かわいらしい。



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後座の迎付はあるかな?あるかな?とみんなで喚鐘の数を数える。よし、最後の一点はなし、手燭の交換あるわ〜、と喜ぶ。久々に客として交換させてもらってうれしくて舞い上がったので、ご連客の足下照らすのすっかり忘れて、とっとと一人席入りしてしまった(^_^;



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 花はかわいい紫のビーズ玉みたいな花のカリガネ草、柳蓼、あと菊に似た黄色い花、、名前を失念(汗)


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竹檠のほの暗い炎に照らされた小間はまさに世間から切り離された別天地=壺中である。
濃茶の主茶碗は黒楽なので、ご亭主はお手元暗い中、茶の分量、お湯の分量は手探りである。茶入が古丹波耳付き銘を「山路」、茶杓は淡々斎「峰の雲」。山路に上り来て、見上げれば峯の雲、このとき胸に去来(茶碗の銘)するものはなんであろう、、、というような景色が脳内に広がる。これが茶道具の銘のほんま面白いところなのだ。
かずらの蔓を巻いた建水がまた、伊勢物語の蔦の細道を連想させて、宇津の山越え〜山路につながって、、、と妄想はさらに広がる。



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薄茶では透明なクリアキャンドルをたくさんご用意くださって、これどうしてこんなに透明なの??と話題も広がる。
時代の升を煙草盆に、曳舟の図が描かれているのが印象的。この曳舟の意匠は淀川の景色だと以前教えてもらった。それから発展して、くらわんかの茶碗についてとか、茶道具についてご造詣の深いご連客の古老さまに、色々教えていただく。ほんまに今日は勉強した〜!


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干菓子はこれも加賀の諸江屋さんの菊煎餅。裏にちゃんと萼まである仕事である。
薄茶器も朱の彫り物の菊(人間国宝・北村昭斎)、茶杓がなんとヤジロベエになった案山子!私も好きで2本ほど持っているところの家具デザイナー久野輝幸さんのもの!

今うめだ阪急でふくいひろこさんの茶箱遊び展をやっていて、そこに久野さんの茶杓もたくさんでているのだが、同じようなの見たことある!と思ったら、昔ご亭主が、わざわざたのんで作ってもらったものとのこと、つまり原案は本日のご亭主だったのね!意外なつながりに感激。



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 かくして壺中に遊んだわれわれもついに壺から追い出される時刻に。
気心しれたご連客様方とご亭主と、本当に楽しくて、話もはずんだ一会であった。(水屋さんもご苦労さま、ありがとうございます)

余韻にひたりながら空を見上げれば美しい十二夜の月。いよいよまもなく中秋の名月だ。



芝・増上寺〜徳川家の菩提寺 - 2023.09.28 Thu

東京美術俱楽部から徒歩でいけるので、時代小説の中やTV時代劇で度々名前がでてくる増上寺ちゅう所に行ってみることにした。関東在住の方は見慣れた景色かもしれないけれど、私にはおそらく最初で最後のお参り。



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地下鉄のその名も大門駅から交通の激しい通りにどーんと建つ大門。(昭和12年・コンクリート製)これは東京ならではの景色か。


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増上寺といえば徳川将軍家の菩提寺、なんでも家康江戸入府の折、帰依していた増上寺のお坊さんに対面したのがきっかけでここを墓所と決めたという。
そのくせここで眠る歴代将軍は6名だけで、かんじんの家康は日光東照宮に眠っているからなあ。

ちなみに他の将軍方が眠っているのは上野の寛永寺(ここも一度行ってみないと)、三代家光はおじいちゃん大好きだったので日光、最後の慶喜公だけは谷中霊園。


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大門の先に建つ重文・三解脱門。ベンガラ塗りなのだろうか。時代は下るとは言え、京都奈良のお寺とは雰囲気をかなり異にする。
この増上寺は東京大空襲にてほぼ灰燼に帰したため、今ある堂宇は戦後の再建であるが、この門だけは江戸初期の名残である。

あ、ちらっと東京タワー!



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広い境内、大殿(本堂)は昭和40年代に復興されたとか。
ああ、しかしシュールな光景だこと。お堂の向こうに東京タワー、超高層ビル、、東京やな。さすがにこの景色は京都、奈良にはないわ。雰囲気は浅草寺にも似てるな。



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お参り。ご本尊の阿弥陀様は室町時代の作とか。
中はすっかり近代的である。できればお寺には畳のあるコーナーが欲しいと思ってしまうのだが。


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大殿から振り返って見る三解脱門。日比谷通りの慶応大学も近いエリアである。


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せっかくだから徳川将軍霊廟〜御霊屋へ入ってみる。
これは鋳抜き門とよばれる唐金で鋳た門で、現在は墓所の門となっているが、かつては広大だった御霊屋のほんの一部、六代将軍家宣の霊廟の門だったもの。


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中へ入るとおびただしい数のお地蔵様がお出迎え。(千躰子育地蔵〜昭和50年代から)

戦前の御霊屋の地図を見るとはかなり広い敷地で日光東照宮にも匹敵する規模だったそうだ。空襲できれいさっぱり、ほとんどの霊廟が焼失してしまった(戦前は国宝)ため、戦後3分の1くらいのスペースに色々残ったものをかき集めて再建したという。


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ちょうど時間がよくて、ボランティアガイドさんの30分くらいの説明を聞くことができた。

興味深かったのは二代秀忠公の宝塔が焼失したため、奥方のお江さんと合祀されていること。死後も尻の下にしかれているとか(^_^;
他の将軍生母や正室側室方はひとつの宝塔に合祀されているのに、おひとり和宮さんのお墓だけは青銅で復興、おとなりの旦那さんである十四代家茂公に寄り添ってはいるがこちらの宝塔は石製。やはりバックに皇室がついている差でしょう。しっかり菊の御紋もついてたし。

昭和33年、東京オリンピック前に土葬は衛生上良くないとかで、発掘調査が行われ、改めて各歴代さまが火葬にされた、というのは初めて知った!そんなことがあったんやなあ。それで各将軍の頭の大きさから脳みその大きさまで調査でわかったというから面白い。


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さて、この江戸の遺構三解脱門、まもなく10年ほどかけて解体修理がおこなわれるそうだ。今見ておいてよかった。


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この門の先には大門と大都会の通りが見える。ここで増上寺にお別れ。



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近くには東京プリンスホテルなどがあるが、実は戦災で失われた霊廟の跡地に建っているんだって!
現在の境内からちょっと離れたところに有章院霊廟二天門が当時のまま残るが、現在は増上寺ではなく個人の所有なんだそうだ。ちなみに有章院は満6才で夭折した七代様、家継公である。


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御霊屋へ入る時に記念にいただいたクリアファイル。
大河ドラマが「どうする家康」の年にここへこれたのも、何かのご縁かもしれないね。






東茶会〜東京美術俱楽部 - 2023.09.26 Tue



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1週間に2回も東京へ行くなんて、、、(1回目は親族のお祝い)、で、今日はここ!東京美術俱楽部。昨年アートフェアに初めて来てから久しぶり。本日は御縁あって東茶会へ初参戦。

ひがしちゃかい??と思っていたら<とうちゃかい>と読むのね。東京茶道研究会の略称だったとは。茶道復興のため戦後から始まったというから、歴史は長い。年に5回ほど茶会がひらかれているそうで、席主は主に東京美術俱楽部所属の古美術商の方が多いとか。そりゃええ道具がでますわな〜。


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場所は東京タワーの見える芝、え?こんな都会のどまんなか、しかもビルの中に!というような立派な苔のある露地があるなんて、知らなかった、、、(会の間中、係の方がじょうろを持って水やり何回もされてた)

濃茶席の席主は東京台東区の古美術・那須屋さま。東塘茄庵とは、台東区と那須をもじっていてウイットに富んだ庵号ですこと。

寄付に冷泉為恭の「蝉丸の図」、謡曲の「蝉丸」の一節のご説明あり。蝉丸は仕舞でもやったし、蝉丸神社もいったことあるし、なじみがあってうれしい。場面は月の夜、琵琶の教えを請うために何度も足を運んでことわられた源博雅(安倍晴明のバディ 管弦の天才)の姿も。
気になったのは煙草盆、不昧公お気に入りの如泥の作、指物師として、継ぎ目がわからないくらいの腕前だったそうで、確かに、、と思いつつ。



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本席は寂蓮筆の歌二首、花入れが珍しい磁州窯の百合口瓶。下が磁州窯っぽい黒で鴨の図が彫ってあるが首から上は白く、まさに百合の花が開いたような口。初めて見た。
風炉が蝉紋、とあるが古代中国青銅器の文様っぽい(饕餮紋とか)。

濃茶席のハイライトは瀬戸茶入。金華山天目手。天目手って横から見ると首の上がなければ天目茶碗に見えなくもないシルエット。けっこう大きい、手に取らせてもらえるのがうれしい。遠州の箱で銘を「露滴」。遠州の長男大膳宗慶の添軸に、露の滴という歌を添わせている。遠州ファミリーとして権十郎(三男)の箱の無地刷毛目茶碗もでてた。同じような無地刷毛は持っているが、雨漏りの見事さと、権十郎の伝世ということで負けるわなあ、、、(^_^;
茶杓「何以生(いかんせん)」、玉舟、これも宗慶箱。

個人的にうれしかったのが、会記には載っていない薄器の蓋裏になじみのある庸軒の花押を見たこと。(今庸軒がマイブーム)


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薄茶席は世田谷の古美術ささき様。小堀遠州流のお茶をされていて、お道具も遠州系が多いが何度かお世話になっている。(そのご縁で案内いただいた)

ユーモアを交えたお話がお上手で客の心をわしづかみ。
春屋の一行「秋沈萬水家々月」は季節にぴったり。珍しいところでは脇床に毛利家伝来の伽羅箪笥(香道具と伽羅の包みを入れる蒔絵の箱)、繊細で美しいお道具。

多摩川の近くにお住まいだそうで玉川にこだわったのが、多摩川べりの花々、玉川図風炉先(六玉川のうち4つが描かれる)、蓋置が玉川焼。
メインの茶杓は遠州作・石州箱という「黒さび」。たしかに煤竹でつやつやで黒い。(Fe3O4ではない(^_^;)

一番萌えたのが、脇床に飾られた益田間道(赤・黄色)に添えた鈍翁の茶杓、銘を「唯識」。箱を見るとなんと横山雲泉に送る云々ではないか!先だっての関の茶事で、鈍翁と雲泉の関係をしこたま見せてもらって間もないので、主の茶杓よりうれしかったりする。しかも唯識といえば薬師寺だしね!

ちなみに益田間道は鈍翁の次弟・克徳(非黙)がインド土産に買って鈍翁に送ったパトラの布でできている。本席の菓子器が非黙旧蔵の縁高だったのにちなむ。


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頭と心一杯の後はお腹をいっぱいに。三友居さんの点心をいただく。


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今季初物の松茸〜!(冬瓜の下は鱧、つまり土瓶蒸し)




宇治川鵜飼 - 2023.09.24 Sun

「鵜飼い 数をつくしてひと川浮きてさわぐ、、、」 (蜻蛉日記)


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平安貴族もしたという鵜飼い遊びを我もと、、宇治へ。

実は毎年行こう行こうと思いつつ、いつのまにか9月になって、天候悪くて中止とか、それっきり、、、で10数年、今年はぎりぎり9月ではあったがついに滑り込み。(9月30日までだがもちろんハイシーズンは7,8月)


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宇治川は今日もご機嫌で流れが荒い。

鵜飼いは17時受付、18時過ぎ(7,8月は18:30)乗船、早くに受付したが、さすがに9月、ややオフシーズンに入っているのもあり、さらに雨模様でもあり、船は2艘だけ、10数人、しかも半分インバウンド、という感じ。(周辺の店はこの時間ほとんど閉まっているので早めの夕食がオススメ)


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乗船前に舟乗り場近くの鵜舎へ。
鵜飼いに働くウミウたちを見ることができる。小屋は半分が野生の鵜、半分がここで孵った<ウッティー>たちだ。(国内で初めて産卵・人工孵化・育成に成功)
ペリカンの仲間というが、たしかに思ったよりでかくて口がペリカンっぽい。


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さて、舟に乗っている間、もうしのつくといっていいほどの雨で、屋根はあるものの、しぶきがはいってくるのなんのって、、、


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いつも福寿園の抹茶ソフトを食べているところの川沿いの道には灯籠がならぶ。


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客舟に遅れてやって来た鵜飼い船、宇治には女性の鵜匠さんが3人もいらっしゃる。今日も若い女性の方、雨にずぶ濡れになりながらまずは宇治の鵜飼いの説明など。


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宇治川の鵜飼いは平安貴族のお遊びでもあったようだが、その後貴族の没落とともに衰退、大正15年に復興されたとか。


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かがり火に集まる魚を捕る鵜。かなりの頻度で捕まえていた。鵜呑みにする前に綱をたぐり寄せられて魚を吐かされるのだ。


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魚を吐かせているところ。大物もいれば小物のことも。ちょっと鵜、かわいそう、同情してしまうわ(^_^; しかし野生の鵜のような自由はないが、食いっぱぐれることも天敵(猛禽?)に襲われることもない。動物にはどっちがええやろか、いつも悩むわ。


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川面にかがり火が映って美しいが、実は大雨がふっていて、舟から水をかいだす係の人も乗っていた。

嵐山の鵜飼いは学生の時に行ったことがある。ハイシーズンだったので川面にはたくさんの舟が出ていて、かがり火が昼のように明るかった記憶が。しかしこの初秋のわびた感じ、もの悲しい感じの方が好きやな。場所も都をちょっとはなれた宇治、宇治十帖の宇治である。



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びしょぬれになりながら鵜をあやつる鵜匠さん、真剣なまなざしが美しい。


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鵜も大雨の中(あ、どのみち濡れるか、、(^_^;)がんばる。けなげ。

「おもしろうてやがて悲しき鵜飼いかな (芭蕉)」

の、気持ちがちょっとわかる。あれは長良川の鵜飼いであったが。


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そういえば先だって岐阜の茶事では長良川ならぬ和良川の鮎をしこたまいただいたっけ、、、
残念ながら宇治川でとれるのは、主に鮒や、なんとブラックバスが多いのだとか。


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水と火と、ついでに雨と人と鵜、なんとか今年見に来ることができてよかった。


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小一時間のページェントは終わり、舟も帰路につく。川風が心地よいと書きたいところだが、なにせ大雨、涼しくはあった。でもおわりかけになるとすっきり雨が上がってしまうと言うこの不思議。



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舟からあがって宇治川をふりかえる。鵜たちも今夜のお仕事終了、ご馳走をもらって鵜舎へかえるのだろう。お疲れ様〜。


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この灯籠にはそれぞれ源氏物語の各巻の代表的場面が描かれている。さすが源氏物語の町、宇治、そういえば来年の大河は紫式部が主人公だったなあ。また宇治もさらに脚光を浴びるのかな。



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