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2023-10

4ヶ月ぶり夕ざり茶事〜重陽・菊慈童 - 2023.09.12 Tue

エアコンのない茶室ゆえにこの酷暑の夏の茶事は断念した。(賢明な判断(*^_^*))
9月の声を聞いてようやく茶事でもしようかという気になるが、あいかわらず日中は暑い。


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ゆえに夏座敷、いつまでこのままにするか悩ましいところ。


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裏庭のススキを玄関に、、、これ毎年同じことしてる(^_^;


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芳名録を記帳してもらう机に阿以波さんのうちわ。
よく見ると草むらに鈴虫がかくれている。このところ昼はつくつく法師、夜は虫の声がきこえる。


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今年も作りましたよ、自作の茱萸嚢。(重陽の節句に薬玉にかえてかける疫病除け)


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今回の百人一首セレクトは

  心あてに折らばや折らむ 初霜の 置きまどわせる白菊の花 (凡河内躬恒)

初霜なんてどこをさがしてもでできそうもない暑さだけれどね。


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真夏の間、寒冷紗などで養生した露地の苔、なんとかがんばった甲斐があって良いコンディション。


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蹲居の苔もさすがに9月になって元気をとりもどしたよう。


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エアコンのない茶室に水屋の冷気を送る工夫をあれこれ。
この特注の久保田美簾堂さんの簾導入以降、なんとか茶室の涼しさを保てるようになった。透かしのついたてを立てても水屋が丸見えなのが欠点(^_^;


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菊慈童がテーマなので、菊水を汲む手桶を花入れに。秋海棠、山ホロシ、藪茗荷、すすきは自前の庭から。リンドウだけもとめた。


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これも毎年これを使わな〜、、、の菊置上香合(林美木子)


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♪菊水の流れ〜泉はもとより酒なれば(謡曲「菊慈童」)、、、、の菊酒。これで寿命を延ばしていただこう。


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鱧と言えば祇園祭の頃、と思われがちだが、実は秋の方が脂がのっていて美味しい。


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今回導入した三重箱に焼物、強肴を銘々皿にいれて回してもらうという策。ちょっと深さが足りず、底が汚れたのが今後の課題。でもこれ一人でやっていると手間も省けるしなかなか良いアイデアだと思う。


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主菓子はいつもお世話になっているみのり菓子さんの誂え。
中は菊花とスダチ入りの餡。いわゆる着せ綿のお菓子は上にちょぼっと綿がのっているのが多いが、本来菊の露をとろうとすると、花を全部包み込むくらいの綿になる。だから、これぞ「着せ綿」の意匠。


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中立で風炉中点検、良い感じに火が熾っている。


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後座は灯火をあちこちつけて。簾越しのこの灯火の風情がとても好きだ。これも暑い季節しか味わえない。
濃茶の茶杓の銘が「若水」。本当は井華水なんだろうが、若さを保つ水、ということで。酈縣山(れっけんさん)のしたたりを飲んで700才以上生きた菊慈童にちなんで。



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よって薄茶のお菓子は<したたり>♪ (亀廣永)
祇園祭の菊水鉾でおなじみだが、今は通年買える。

  ところは酈縣の山のしたたり 菊水の流れ、、、


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も一つ、亀廣保さんの菊のお菓子も


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9月ともなればさすがに後座はあたりが暗くなる。この暗さのなかで語り合うひとときは夕ざりの醍醐味であろう。灯火にてお見送り。


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おつきあいくださったお客様へ感謝をこめて、お土産。
したたりを買いに行ったときにご近所なんで一緒に求めた、今季最後の<浜土産(はまづと)>(亀屋則克)。これも印象的な夏の和菓子である。



新撰組結成160年・壬生界隈一般公開〜京の夏の旅 旧前川邸・新徳寺・壬生寺本堂 - 2023.09.10 Sun



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壬生、四条坊城通りの角にある梛神社(+隼神社)にまずお参り。名残の朝顔と狛犬さん。



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坊城通りを南へ。この通りは節分の焙烙おさめや、壬生狂言や、六斎念仏や、いろんなイベントでしょっちゅう来ている通りだ。今はかくのごとく人通りはないが、節分ともなればすごいよ。
ちなみに手前の線路は嵐電。



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今年は新撰組結成160年とのことで、京の夏の旅は壬生寺界隈、新撰組にちなむ場所の一般公開、前はよく通るのに、意外と中に入ったことの無い場所を三カ所回る。(他にも輪違屋とか角屋とかもあるよ。新撰組関連で「輪違屋糸里」なんて小説もあったねえ)

まずは坊城通りのランドマーク新撰組屯所・旧前川邸
立派な長屋門だが、中へははいったことがない。今回も公開はこちらの母屋ではなくて、、、


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東の蔵なんである。

現在は違う方がお住まいだが、前川氏は越前朝倉氏の流れをくむそうだ。新撰組屯所というと八木邸が有名で公開もされているが、この蔵は今回初公開なんだそうだ。

天保年間に掛屋(両替商)をしていた前川家は京都御所や所司代出入りの豪商だったようで、蔵の上には三重丸の門鑑(幕府から?)の紋が誇らしげに。西の蔵もあるがこちらは味噌など納戸的な機能だったが、東の蔵は金庫、重要書類の保管場所として四重の扉を持つ堅牢な作り。

この蔵が有名なのは副長・土方歳三が長州方の古高俊太郎をこの蔵の梁から逆さづりするなどの拷問をした場所であること。後に池田屋事件へとつながる。
二階に荷物をあげるのに便利な滑車が現在も残っているが、これ使ったのかな、、、恐っ!(古高は後六条獄舎で斬首 ナンマンダブ)

ちなみに母屋には(入れないが)山南敬助切腹の間がある。


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そこから少し南、壬生寺のちょっと北にある新徳寺。ここも前だけはしょっちゅう通っているがどんな由来のお寺なのか知らなかった。



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清河八郎によって江戸から率いられた浪士隊は、壬生の前川邸、八木邸、そしてこの新徳寺などに割り振られた。浪士隊は本来将軍上洛の警護の名目で寄せ集められたのだが、清河はここ、新徳寺の座敷で演説、実はわれらは尊皇攘夷、倒幕を目的とするという大演説を行ったという。そしてとっとと江戸に帰ってしまうのだが、反発して残留した近藤勇などが結成したのが後の新撰組である。


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(本堂屋根の猿の瓦)


座敷はそれなりに広いが、ここに200余人がひしめき合うには狭い。しかし新撰組の源流の地と思えば感慨もいろいろ。最近では若い女子の新撰組ファンが多いので、若い子ばっかりだったわ(^_^;
かくいう私も乙女の頃は新撰組関連の小説をたくさん読んだっけ。作者によって一番描かれ方が両極端なのが沖田総司なんよね。最近の京極夏彦さんの「ヒトころし」では性格最悪のサイコパスだったなあ。



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最後に壬生寺。
こここそ、何度も来ているが、実は本堂に入ったことが無いのだ!

いやびっくり、現代作家による美しい障壁画に長押の上の般若心経、天井は多色の向鳳凰丸紋の装飾、なかなか美しいお堂である。


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正面におわすのは平安時代の作と伝わる重文延命地蔵尊。
脇侍が平成になってから造られたそうだが赤いのと白い童子。最初制多迦童子・矜羯羅童子かと思ったが、あれは不動さんの脇侍やしなあ。
お地蔵さまの脇侍は掌善童子、掌悪童子なんだそうだ。学習した。


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本堂から門を見る。このアングルで見るのは初めて。

さて、入り口方向へもどると壬生塚があって、そこも特別公開とか。


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歴代住職の供養塔や、新撰組隊士の供養塔などがあるが、、、鳩のサンクチュアリになっているもよう、、、(^_^;


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あ、お地蔵様の前垂れが新撰組のだんだら模様の色!


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ここには近藤勇の胸像は前からあったが、今年7月、クラウドファウンディングで建てた土方歳三の胸像が仲間入りした。洋装の有名な写真とはまた雰囲気が違って厳しい顔をしている。


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そのクラウドファウンディングに参加した方のお名前プレート。今も根強い人気の新撰組、時代の狭間に咲いたあだ花的な存在が、それゆえになお惹かれる人は多い。
(ちなみに司馬遼太郎の「燃えよ!剣」が出る前は新撰組、そんなに人気なかったそうだが、、、)



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壬生寺でたとこの一画にだんだら珈琲店。
アイスクリームの色が、やっぱりだんだら(^_^;




野村美術館開館40周年記念シンポジウム〜「茶碗〜茶を飲む器の変遷と多様性〜」 - 2023.09.08 Fri

野村美術館開館40周年記念シンポジウムが、蹴上の国際交流会館で開催された。わがテリトリーであるのでチャリででかける。もちろん野村美術館自体がご近所〜♪



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長年野村のセミナーは楽しみにしていたのだが、コロナ禍を経てなくなってしまい、美術館との御縁も切れたような気がして寂しかったのだが、このたびのシンポ、うれしい限りである。出かけてみると200人という定員にかなりの人が押し寄せたようで、なんと今までお知り合いになったお茶友さんにことごとく会うこと会うこと!県外からもお越し、みなさん、知識欲に飢えていたのね〜。


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司会は館長の谷先生だが、シンポジストは先だって○交社から刊行された5冊の茶碗シリーズの監修者という贅沢さ。(楽茶碗の楽さんのみ個展で忙しく欠席)

今回は野村の40周年記念もあるが、関西の美術館・博物館をめぐって茶碗を楽しむ、というコンセプトのもと、関西の9つの美術館・博物館共催(*)(相互割引あり)のイベントの一つでもある。(本当は9館共催でしたかったが、野村単独開催になったとのこと)

*京都国博・楽美術館・湯木美術館・野村美術館・北村美術館・逸翁美術館・中之島香雪美術館・泉屋博古館・滴翠美術館



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シンポジストは

唐物(中国)・徳留先生(出光美術館)
高麗(朝鮮)・降矢先生(京都国博)  (実はここに一番興味あり!)
和物(桃山時代)・重根先生(岡山県立博物館←後楽園に隣接〜)
和物(江戸時代)・梶山先生(中之島香雪美術館)

という錚錚たる方々。

それぞれ持ち時間がかっきり30分で、タイムキーパーがかなり厳しく(^_^;、その時間では内容を盛り込むにも限度があって、スキミング的になったのはちょっと残念であったが、時間的にいたしかたなし。



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一番興味があったのは高麗、ついで唐物である。

唐物についていえば、中国の陶磁器の歴史を復習。
中国では荘厳、所有に価値があった建盞天目茶碗、日本では鎌倉室町初期までは同じ扱いであったが、佗茶の台頭とともに天目茶碗は建盞から灰被天目、黄色天目という本国では下位にあったものが逆転して珍重されるようになり、さらにその地位はもっと侘びた高麗茶碗、和物茶碗などにとってかわられる。青磁もまたしかり。(あの色は抹茶の色とはあまり合わない)。発色の一段とおちる珠光青磁や人形手にとって変わられる。ここらへん日本の茶の湯者の審美眼は世界に唯一無二だと思う。

でも、染付は別格、雲堂手、古染付、祥瑞、呉須は名前聞いただけでよだれたれるわ(^_^;



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高麗も見立ての茶道具から倭館での日本からの注文品まで、分類を復習。ちなみに高麗茶碗の名称分類は江戸後期に始まったモノ、今でもどこに属するのかよくわからない高麗茶碗は多々ある。

今回初めての知見であったのは彫三島。
いわゆる三島と違って、日本からの注文で作った時代の下ったものだと思っていたし、成書にもそうあるのだが、なんと出土品から判ずるに1570年までに遡れるのだそうだ。だとすると釜山の倭館窯(17世紀)よりはるかに古いということになって、彫三島も日本人発注でなく、朝鮮オリジナルということか??



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(つい買っちゃった二冊〜(^_^;)


和物は種類が多岐にわたりすぎて、全部はとりあげきれなかったと思われるが、瀬戸黒と黒織部、志野について、高台の釉薬の掛け残しの形、全体的なシェイプ、文様(檜垣、木賊、花紋など)の比較がいずれもつながりがあることがわかって、とても興味深く面白かった。

特に黒織部、かの有名な菊花紋茶碗、あの菊の絵のある部分が本来の釉薬をかけはずした部分、そこに志野の釉薬を加えたもの、というのは、そういう見方もあるのかと目からウロコである。


いずれのシンポジストもお茶のお稽古をそれほどされておられないように拝見する。しかし、その茶碗への愛はわれわれ普通の茶好きの比ではない。日々館所蔵のお茶碗を手に取っては、にま〜っとしているお姿が想像できるのである。
茶碗一つで、こういう楽しみ方ができるというよい勉強になった(*^_^*)







池半さんで「茶ト周縁」ふるまい茶 - 2023.09.06 Wed



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鴨川も五条あたりに下ると景色がかわってくる。京都タワーもはるかに見える。


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鴨川沿いに五条を少しくだったところ、古くは源融の六条河原院があったといわれる場所の近く、、


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時々展示やお茶でおじゃまする池半(池林堂半七の茶室/茶藝館)さんがある。(ここにたまに通うようになってこのあたりの鴨川の景色を知った)

今回プロダクトデザイナー三上嘉啓さんの茶ノ周りのもの展示と、堀口一子さん(「茶絲道」主宰・季の雲などで中国茶教室主宰など、時々茶会におじゃましている)によるふるまい茶があると聞いてさっそくやって来たわけだが、、


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これだ〜!!
究極の野点用熱源涼炉!
と、池半の万太郎さん席にて。
せんだってこれをゲットして、早速鴨茶で使ってみて、持ち運びの便利さと機能に感激していたのだ。今まで色々ためしたが、これに行き着いた。これをデザインしたのが三上さん、そしてアドバイスしたのが堀口さんだったのね。

あ、でもつや消しブラック。私のは白。鉄瓶をのせてしっくりくるのはやっぱり黒やな、とうらやましく見ていると、黒とグレーを今回新しくつくらはったとのこと。
うーん、黒のスプレーペンキで黒くしようかしら。耐熱スプレーがおすすめですよ、と相客さんにアドバイスいただく(^_^;



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ちなみにこれが私のだが、このように紙の箱にコンパクトに収納して持ち運びできるのである。使うときは組み立てて、中にアルコールランプを仕込む。


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こちらは池半さんご自慢の鴨川が見えるコーナー、堀口さんの席である。
ちょうど1年前うるわし屋さんとのコラボで旅するお茶の会を万寿通りのギャラリーで開かれた時に行ってからだからお久しぶりである。


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この席からは鴨川で泳いでいる(^_^;人の姿も見えたりして、、


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ちなみに堀口さんの席では銀瓶に似合う白い涼炉。
うーん、白も捨てがたい。と思っていると、サイズは同じ規格だから白黒組み合わせるのもありですね〜と言うお言葉、黒も買おうかと悩んでしまうわ(^_^;


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堀口さんとお菓子屋さんコラボのラズベリー和三盆糖も白茶といっしょにいただく。


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このガラス杯は上から見ると州浜型をしているな、と思ったらなんと茶の実の形を表しているそうなんだ。なるほど〜。そういえば家の茶の実もまだ青いけれど、このプリプリの形に実っている。

帰りに朝日焼のマツバヤシさんとすれ違って、あら?と思ったがなんとこの炉を制作した三上さん、先だっての宇治興聖寺朝日焼423展の茶碗のディスプレイを手がけておられたんだ!ガラスとライトを組み合わせた素敵な展示であったなあ。アートの世界は狭い、、(^_^;


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帰りに池半さんに行くときはいつも気になっている同じ並びの川間食堂、初めて入った。


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エアコンのいらない季節なら、この鴨川が見えるガラス戸は100%開放されて気持ちいいのだが、まあ仕方ないよね。涼しくなったらまた来よう。


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帰りはこれもお気に入りの散歩道、高瀬川沿いを七条まで歩く。このあたりも少しずつ新しいホテルなどができてきて景色が変わっていっているので、今のうちに堪能しておこう。






蝦蟇窟主人の茶事〜鮎尽くし懐石 - 2023.09.03 Sun

昨年末新幹線に閉じ込められて遅参した美濃の国の茶事にまたお招きいただける幸甚、今回は師匠と、師匠の師匠?東京の大御所さんとご一緒でますますテンションあがる。



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いただいたご案内状には蛙(蝦蟇)の絵、そして、お、ウナギ、鮎が食べ放題?いつもお手紙には素敵な絵を描いてくださるご亭主だが、この蝦蟇はなにの謎かけか?


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8ヶ月ぶりの日本料理・須多さんの茶室と内露地、前は初雪の日でだったが、今日は酷暑の茶事である。芳名録の文鎮がまた青銅の蝦蟇。


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蹲居の左手に蒲の穂、、、蒲(がま)、、、蝦蟇?(がま)

寄付には片桐石州の消息、松平織部宛。竹の花入れを送ったがいかがでしょうか云々、、、。(松平織部家という旗本家があるらしいが、詳細不明)


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前回はここの小間を使われたが、


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今回は続きの広間にて。

本席の軸は「蝦蟇窟」

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(ご亭主からいただいた写真、お使いくださいとのことでありがたくアップさせていただく)


鈍翁お気に入りの出入りの道具商であった横山雲泉に贈ったものだそうだ。
ご亭主の茶事を語るとき、鈍翁と雲泉にまつわるお道具の逸話は欠かせない。茶道具を介しての、この年の離れた二人の仲は知れば知るほど親密であったのだなあと思う。



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(汁は奥様お仕込みの味噌)

雲泉のお父上だったか?露地に蝦蟇を放ってそのゲコゲコの声を楽しみながら道具談義をしていると聞いて、その茶室を蝦蟇窟と鈍翁が名付け、その扁額の元になった字がこの軸である。(老稚園といい、当時の数寄者のネーミングセンスが(^_^;) 横山家のご親族からご亭主が譲り受けた軸と聞いた。新しい蝦蟇窟あるじ誕生である(4年前だそうです)。


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(鮎尽くしの最初は鮎のつくね!)


其中庵さんと並ぶ数寄者のご亭主、あちらは雲泉が所持していた鈍翁の「茶狂」が旗印、こちらは「蝦蟇窟」、なんて仲良しな両巨頭!
今日の茶事に先だって過日其中庵さんが正客をされたよし、どんな数寄な会話がなされたのか聞きたかったなあ。


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(鮎の塩焼き 蓼酢  長良川より今は和良川の鮎の方がよいのだそうだ)


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(こちらもご亭主からいただいた写真)

炭手前の羽根が鵜と白鷺、なんと御自作。長良川の鵜飼い、この鮎も鵜がとったのかしら?鵜の羽根は黒く、小さくて、かわいらしい。一番手前に添えた小さな白鷺の飾り羽根がご亭主のセンスである。灰匙が南米インカの匙、というのもびっくりだ。灰器は須恵器、南鐐と銅の紅白捻り鐶も初めて見た。


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懐石の鮎尽くしはまだまだつづく。
これは味噌ダレの鮎、この後もう一回塩焼きがでて、もう1年分の鮎を食べ尽くした感あり。


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鵜難儀(うなぎ)も出ましたよ、白焼と蒲焼きの紅白。
お酒も岐阜恵那市の「女城主」というお酒が水のようにさらさらとして美味しかった。



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(前回もいただいて酒のアテに最高の自家製柚餅子、これで今期最後なんだそうだ)


中立にて、今回の後座入りのお鳴り物はなんだろうとわくわく。前回は宗旦狐の妖しさたっぷりの笛の音であった。

ここ、須多さんのすぐ横を電車が通るのだが、その踏切の音がとまるやいなや ♪ おもしろや〜
のお謡いが。(能「鵜飼」の多分<鵜の段>)そのBGMになんとゲコゲコの蝦蟇の声!
ま、まさか本当の蛙?と驚いたが、実は赤貝の外側をこすりあわせて出した音だった!今回も十分意表をつかれてヤラレタ!


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(主菓子 ほんのり暖めた黒糖葛焼 ここの餡子、ほんまにいつも美味しい)


後座の床は、待合の石州の消息に書かれていた花入れまさにそのものである。一重切の太くて艶のある花入れにいれてあったのは高砂ホトトギスの花と、モミジバハグマの葉。切れ込みの深いこの葉を蝦蟇の手に見立てて。(どこまでも蝦蟇へのこだわり(^_^;)


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(さらにご亭主からいただいた写真)


濃茶の主茶碗は外側がほとんど伊羅保に見えて内側は御本に見える蕎麦斗々屋。了入の黒、井戸脇など各服でたくさんの茶碗の名品を手に取る。茶入はご当地、瀬戸の広沢手。パイナップルの繊維で織った出帛紗が思いのほか美しかった。
煤がはいった華奢な蟻腰の茶杓は小堀権十郎、歌銘が小野小町の歌(色見えでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける)。



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最後のハイライトが薄茶の主茶碗「蝦蟇」

鈍翁が77才にして初めて作った白楽の茶碗であるが、ゆがんでちょっと不格好、よって蝦蟇みたいと揶揄されて開き直って?「蝦蟇」と命名したとか。
この茶碗は流れて最終的に蝦蟇窟の雲泉の元にきたそうだ。そして今ご亭主の手元に軸と茶碗とふたつともという大団円。すばらしいストーリーを聞かせてもらった。

もう一つ印象的だったのがこれも鈍翁が益田家の婚礼の際、引き出物として配ったという手焙り型の横に長い平水指(鈍阿?)。これは一目見てびっくりする意匠だ。
薄器が原羊遊斎の「蝶蒔絵」、茶杓が玄々斎。


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(これが蝦蟇の声の正体、拝領いたしました!)


振り返ればご亭主の、審美眼と教養と郷土愛に裏打ちされた茶事であり、それをわかるには少々役不足ではありましたが十分楽しませていただいた。感謝です。

さて、2年前は福の神(大黒様)、去年は宗旦狐、今年は蝦蟇で、次はなにかしら〜?と早くも厚かましいことを考えているのである(^_^;




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